『エンジェル・ウォーズ』をモーっと楽しもう

軍師かんべえ

おかえりなさいませ(*- -)ペコリ
『エンジェル ウォーズ』
徹底解析 完全ネタバレとなっております
鑑賞前のお客様はご遠慮下さいませ

本記事は『エンジェル ウォーズ』の感想レビューとなっておりネタバレが含まれております。本編未鑑賞の方は予備知識編『100倍楽しもう』の記事をご確認の上で再度お越しください。

エンジェル ウォーズ

2011年:アメリカ、日本公開
監督・原案・脚本:ザック・スナイダー
出演:エミリー・ブラウニング 他

アニメやコミックに造詣の深いザック・スナイダーが自身の趣味だけを詰め合わせただけの作品という酷評に近い評価を得ていた『エンジェル ウォーズ』。たしかにセーラー服にニーハイにツインテールで更にベイビードールを演じていたのがロリ可愛のエミリー・ブラウニングとくれば…この評価になるも致し方がないのかもしれない。

更にドラゴンやサムライであったり…ロボットが登場したりと『男の子の好きな物を詰め込んで1本の映画にしました!』の評価は正しいとも言える。ただ本作の表面的な部分に監督ザック・スナイダーの趣味が全面的に出ているせいで好き・嫌いがハッキリと2分化されてしまいザックの世界観に対しピンと来ない方には非常に手が出しづらい作品となっている。しかし本作には表面上には出てこない…食べてみないと分からない隠し味的な要素がひっそりと隠されている…何故『ひっそり』なのかは謎なのだが(笑)ただ数回鑑賞しただけでは分かりづらい仕掛けが施されているなど結構に奥深い考察ができる作品となっている。もちろん萌えキャラがファンタジー世界で暴れまわるといった世界観を楽しむだけでもアリなのですが…深掘りすれば原題でもある『SUCKER PUNCH』(不意打ち)を喰らってしまう作品でもある。ココからは管理人の完全な個人的感想となるためネタバレが含まれる記事となります更に鑑賞されているという前提で記事を書いていますのでご注意ください。

軍師かんべえ

ただ可愛いだけの映画にとどめていたら…非常にモッタイない映画

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感想(0件)

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多重構造

・ロボトミー手術が行われようとするリアル世界
・多くの少女が娼婦として働いている妄想世界
・ベイビードールが妄想の世界で夢見る幻想世界

3つの世界が存在する『エンジェル ウォーズ』なかでもザックの色が出ているのが第3層の心理 幻想世界だが中二病ヨロシクの荒唐無稽といえる世界でココには整合性というものは感じられない。

軍師かんべえ

よくある手法のメタ的構造なのだがこういった使い方はザックしか思いつかないのかもしれませんね

リアル世界

冒頭とラストの方で出てくるリアル世界だが冒頭ではキーアイテムとなる地図、ライター、ナイフ、鍵が誰がどのように管理しているのか…という伏線が違和感アリアリで貼られており、鍵を持っている職員が娼婦館のオーナーのブルー、ライターを持っている守衛が市長、ナイフを持っているコックは妄想の世界でもコックとして登場。そしてロボトミー手術を行う医者は5日後にやってくる大富豪と主要人物もココで登場してきました。いかにも伏線を張っているというバレバレの演出方法は笑ってしまったが…一つ関心したのが…これとは逆でさり気なく この物語の主人公はベイビードールではなくスイートピーだったという伏線の貼り方は見事でした。

劇場と呼ばれる大広間の舞台には一人の少女がベッドに腰かけており『世界を動かすのはあなた…』と言われていました。この少女こそがスイートピーでこの物語のオチでもある伏線がしっかりと貼られている演出…2度目以降の鑑賞で気付く作り込みって映画ファンにとっては嬉しいものなんですよ。

リアル世界はホントにリアル?

舞台の幕が上がると…ベイビードールがベッドに座っている…というシーンから映画が始まっていく。いかにも『これから物語が始まりますよ』という幕開けの演出がされています。多重構造の世界観が舞台となるだけに、この演出は私がリアル世界と表現していた世界ですら深層心理の第一段階目の世界だった…という事なのかもしれません。リアルと感じていた世界は実はリアルではない…というザックの『Sucker Punch』をいきなり喰らった感じですかね。あと付け加えになるがこのベイビードールのベッドのシーンとスイートピーのファーストカットのシーン(上のスライド画像参照)が非常に似ているという点。ファーストカットから本当の主役は?という伏線をブッ込んでくるあたり この映画が ただザックの趣味だけを詰め込んだだけの作品ではないという事が分かります。

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妄想世界

『エンジェル ウォーズ』は妄想世界と幻想世界を行き来してアイテムを揃えるといった内容が基本となっていました。ただこの妄想世界ってそもそも何だったのか…というのは精神病院のゴルスキー先生がやっているポーランド式セラピーという治療法で彼女達自身が虐待を演じるという…謎としか言えないお芝居が妄想世界のベースとなっている。この治療法の効果などは不明で実際にポーランド式セラピーなどあったのかどうかすら不明。

なぜ精神病院を妄想の世界では娼婦館として扱っていたのかは…後ほど解説するが多くの少女たちが娼婦として館で働いている設定となっている。彼女たちは自由を夢見るが決して外の世界に戻る事はできないと諦め生活をしている。

翼の折れたエンジェル

この娼婦館では今の生活こそが当たり前の世界で外の世界を夢見るが何も行動をせずに日々を過ごしていた…『翼の折れたエンジェル』みたいな設定である。この妄想の中の小さい世界こそが我々現実世界の縮図になっているのではないだろうか…色々なことにチャレンジしたいと夢見ているが失敗を恐れるあまりに動けないでいる…確かに動かなければ失敗は少なく済むのかもしれないが成功も決して起こらない。それでも良いと思っている人も今の時代は多くいるのかもしれません。こういった人達が世界を占めているという警鐘をザック・スナイダーは鳴らしていたのでしょう。しかしベイビードールはそんな翼の折れたエンジェルたちに再び翼を授けました。大きな犠牲は出たがスイートピーは自由を手に入れ外の世界へと飛び出す事ができました…というオチになるのだが何かを手に入れるためには大きな痛みを伴う事がある…この大きな痛みが感じれるからこそ人は大きく成長する事ができるのです。

幻想世界

幻想世界に関しては…ただザック・スナイダーの世界観を楽しむだけで…美少女たちのポージングがいちいちカッコ良かったり、銃弾を剣で弾くなんて『緋村剣心かよ』と思ってしまう剣裁きに驚愕したり、ドラゴンまで出てくるいうファンタジーてんこ盛りの世界観に酔いしれたり…と何も考えずにワクワクしているのが一番正しい見方。ただ この世界観にピンと来ない方はエンジェル ウォーズという作品は向いていないのかもしれません。良い悪いという事ではなく好みの問題となってくる訳なので理解できないとからといって落ち込む必要はありませんので…。

幻想で手に入れた物、現実で失った物

『エンジェル ウォーズ』の基本設定として幻想世界で手に入れたアイテムを使って妄想世界の娼婦館から逃げ出す事が現実世界でロボトミー手術から逃げ出す事に繋がる…という本編を鑑賞した方ならこの説明で十分にご理解頂けるかと思いますが…この3つの世界はリンクしている

妄想世界で火事になった倉庫は現実世界でもしっかりと焼け焦げていて、コックの包丁がなくなっていたり、ブルーが怪我をしていたり…と何かと妄想世界と現実世界はリンクしていた事を考えると…ベイビードールが妄想の世界でダンスをしていた時に一体なにが現実の世界で行われていたのか?

この答えこそが何故?精神病院を娼婦館で表現したのかの答えにもなってきます。現実世界では表現するには残酷な出来事が繰り広げられ妄想の世界ではダンスという表現で表していたが…そのダンスも最後まで概要を見せる事のない演出がされていました。ベイビードールはアイテムを手に入れるために自らの身体を犠牲にしていたのでしょう…これを考えるととんでもない作品だと思いませんか?幻想の世界でドキドキ・ワクワクとアクションに酔いしれている頃…現実の世界ではこの少女は何をされていたのか…この練りに練りこまれた脚本に数々の伏線が散りばめられ隠れた演出が施された『エンジェル ウォーズ』そして最後の最後にブッ込んできたザック・スナイダーのテーマこそが本作の『不意打ち』となります。私がこの作品は奥が深いといった理由がご理解頂けたのではないでしょうか…

主役は私じゃなかった

最後の最後にブッ込んできたザックの衝撃の不意打ちは『エンジェル ウォーズ』の主役はスイートピーだったという事実。先にも書いたが序盤のスイートピーのファーストカットでも伏線が貼られていたのだが…それは2回目鑑賞で気付く事でこの作品の構成自体がミスリードするように作られているので気付く訳がない

この作戦に必要なアイテムは地図、ライター、ナイフ、鍵…そして最後はベイビードール自身。『そう…私だったんだ…主役は私じゃなかった…』最後のアイテムは自分だと気付いたベイビードールはスイートピーを逃がすために自己犠牲を払う。さすがにこの展開にはビックリしてしまった。しかし後で調べた話によると…このエンジェル ウォーズの映画化が決まった時に真っ先にキャスティングが決まったのがスイートピー役を演じたアビー・コーニッシュだったらしい。

この話を聞くと本作の主人公が実はスイートピーだったというオチはキャスティングの時に決まっていたのかもしれませんね。

最後にスコット・グレン演じる謎の男がスイートピーを警察から救って『後ろの席で眠りなさい…長い旅になる』というセリフからまだ戦いは続くという事を示唆されます。『誰が自由へのカギを逃げっているのか…それはあなたです…武器はそろっている…さぁ戦って…』というナレーションの流れでエンディングとなります。スイートピーから主役の座が貴方に移った事を意味しているのだと思います。これこそが本作のテーマで戦うための勇気を私たちに贈ってくれたのです。何かを失うかもしれない…犠牲を払うかもしれない…痛みを伴うかもしれない…しかし何かを手に入れるためには戦うしかない…そして戦いに必要な武器はすでにあなたは手に入れています。スイートピーという名の武器を…

軍師かんべえ

『一人でも逃げ出すことが出来れば…それは私たちの完全勝利』とベイビードールは言い放ってスイートピーを送り出しました…貴方の元にスイートピーは届きましたか?

総括

2011年の公開時の事を今でもしっかりと記憶があり…とある映画雑誌でザック・スナイダーの趣味が詰まった映画が公開されると聞いて観に行ったのが1回目の鑑賞。そして1回目の鑑賞後に衝撃が走り続けざまに2回目の鑑賞をしたのを今でも覚えています。3回目の鑑賞は公開が終了する間際でDVD化された時はすぐに購入して…そして今に至るといった感じで今回の記事作成で2回見直しているから…おそらく計14-15回は見ている恐ろしく気に入っている作品の一つ。さすがにコレだけ鑑賞していたら色々な事に気付く訳でココでは書いても伝わらないだろう…といった情報も何個か知っているというハマり方をしています(笑)ビジュアル的にもテーマ性的にもドンピシャだっただけに続編を期待したのだが一般的にはウケていなかったので非常に残念ではある。ただ監督のザック・スナイダーは現在はDCコミックスのスーパーヒーロー達が終結するジャスティス・リーグを手掛けているだけに…もしかしたらワンチャンでエンジェルウォーズの美女たちも参戦…なんてあるか?・・・いやないだろうなぁ。。。って事でオツカレっす!

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