『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を100倍楽しもう

軍師かんべえ

おはこんばんちわ(-ω-)/
管理人軍師かんべえです。
鑑賞前の予備知識!映画はもっと面白くなる。今回の作品はコチラ!

本サイトは鑑賞前に読むことで映画を100倍楽しめる予備知識記事となっております
既に本編をご鑑賞されている方は鑑賞後の考察記事『モーっと楽しもう』にどうぞ

この世界の(さらにいくつもの)片隅に

引用元:「この世界の片隅に」ロケ地巡り国際平和拠点ひろしま

周作さん、ありがとう
  この世界の片隅に、
    うちを見つけてくれて。

あらすじ

引用元:『この世界の片隅に』予告篇

昭和19年2月の広島市、18歳になったすずは軍港のある呉の北条家の長男周作に見初められ嫁ぐこととなる。持ち前の明るさで新しい環境にも慣れてきたすずではあったが戦争は次第に激化していくことに…

『この世界の片隅に』を観るなら
U-NEXT 只今30日間無料トライアル

この世界の片隅に:日本2016年公開
(さらにいくつもの):日本2019年公開
監督:片淵須直
脚本:片淵須直
原作:こうの史代『この世界の片隅に』
製作:真木太郎
製作総指揮:丸山正雄
出演者:のん、細谷佳正、稲葉菜月
    尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、花澤香菜 他

音楽:コトリンゴ
主題歌:コトリンゴ『みぎてのうた』
撮影:熊澤祐哉
編集:木村佳史子
制作会社:MAPPA
製作会社:『この世界の片隅に』制作委員会
配給:東京テアトル

2007年から2009年に漫画アクションで連載されていた こうの史代 原作漫画『この世界の片隅に』

こうの史代は戦争時代を生きてきた訳ではないが広島育ちという事もあり戦争への想いも人一倍に深かったのだと思われます。

彼女の出世作となった2004年『夕凪の街 桜の国』でも戦争が題材となっていて、原爆投下の10年後、40年後、60年後を舞台に被爆による主人公の日常生活がリアリティ豊かに描かれている

引用元:【公式】基本無料で読める、夕凪の街 桜の国

しかし こうの史代は原爆だけが戦争の全てではないと思い次作では激しい空襲を受けた広島県の軍都である呉を舞台と考えて着手されたのが今回ご紹介する『この世界の片隅に』の原作漫画だったのです。

連載は2007年のスタートとなっているが2006年には読み切り漫画として本作の前日譚となる『冬の記憶』『大潮の頃』『波のうさぎ』の3作品が漫画アクションで掲載されていたのである。

引用元:映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』

漫画としても数々の賞を受賞し2011年には日本テレビで北川景子主演のTVドラマが放送されていました。知った風に記事として書いはいるがこの時点では本作の存在を全く知らない状態でした

2016年には片淵須直監督による劇場アニメーション映画が公開される事になります。

しかし本作はクラウドファンディングで何とか公開に持ち込むことができた自主制作映画みたいなもので全国でたったの63館だけでの公開という小規模展開だったみたいである。

主人公すずの声優を担当したのん(能年玲奈)も事務所のゴタゴタ問題で業界から干されていた時期だったこともあり起用がスムーズに決定したみたいなのだ。

ただ期待が低かった事が逆に功を奏して監督が思い描くように自由に時間をかけて製作できたのかもしれません。その結果とんでもないアニメーション映画が完成してしまったのである。

引用元:「この世界の片隅に」こうの史代

本作で片淵監督は何度も広島に訪れ現地の取材を繰り返した事で当時の広島がリアルに再現されているのである。単純に通行人として存在しているだけのモブキャラですら取材の中で聞いた事をヒントに生まれた人物ということにはビックリしました。

引用元:作品で描かれた広島市の中島本町

このような才能豊かな監督が時間をかけて徹底的に作り上げる事ができた作品はスタートこそ期待は薄かったが…口コミで噂となり公開の2か月後には約3倍の198館で上映が開始。更に2019年までロングラン上映がされる事となり規模は484館まで膨れ上がってしまいました。

2019年12月には約40分の新規場面を追加した長尺版『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開。主人公すずの人間的な側面がより浮き彫りになった作品となりオリジナル版とはまた別の映画という意味で(さらにいくつもの)というタイトルが付け加えられています。

今回の記事はオリジナル版ではなく長尺版である『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を取り上げてみたいと思います…少しの知識だけで映画はもっと面白くなる!『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を100倍楽しもう!

8月のおすすめ作品ラインナップ【U-NEXT】

この世界にいた北条すずさん

引用元:映画『この世界の片隅に』のあらすじ解説

日本で僅か63館だけのスタートであった『この世界の片隅に』。蓋をあければ全国484館で上映され更に世界29か国で公開。なんとアメリカでも公開されるという…アメリカ人はどんな気持ちで鑑賞したのか非常に気になる所ではあります。

長編アニメーション映画の中で最高峰となる本作は2018年現在で27億円の興行収入を記録、累計動員210万人を突破という大ヒット作品となったのです。

ヒットの要因は色々とあるのかもしれませんがニコ生やYouTubeで考察動画をあげている岡田斗司夫氏の解説が私には非常にしっくりときました。

正直パクリとなりますが岡田斗司夫氏が語っている考察をより詳しくココで解説したいと思います。

引用元:【この世界の片隅に】見た後は呆然…泣かずに観るべき大傑作映画を解説します!

『すずさんがこの世の中に存在した
      …という事を信じさせる』

なぜ私がココまで本作を推すのかと言いますと全てを鑑賞し終わった時に戦争を題材にした作品の中では今まで受けたことない衝撃を味わったからかもしれません。この衝撃が何だったのかは考察記事で語りたいと思います。

そして他にも本作を推す理由がありまして…男性なら同じ気持ちになった方が多いのではないかと思われますが僅か2時間の間で『北条すずさん』の事が好きになってしまったのです。

フィクションの中だけに存在する2次元の『北条すずさん』を何故好きになってしまったのか…それは過去に彼女が存在していたのではないか…と思わず信じてしまっている自分がいたからなのです。

それもそのはずで、岡田斗司夫氏が言うには本作は『すずさんの存在』を私たちに信じさせることだけに集中して映画は製作されていたのだ。

引用元:この世界の(さらにいくつもの)片隅に【映画】

片淵監督は彼女のことを『北条すずさん』と必ず『さん』付けをして呼んでいました。監督自身もあの時代の広島に『北条すずさん』が存在していた事を信じていたという表われだったのでしょう

この監督の想いが本作をとんでもないレベルまで引き上げてしまう要因になった訳です。

徹底取材

引用元:この世界の片隅に: 虎猫の気まぐれシネマ日記

上記しているように片淵監督は広島に何度も訪れて徹底的に取材を行い当時の広島の街並みを見事なまでに作品の中に再現しているのです。

街並みだけではなく当時の生活であったり料理までもが事細かく表現をされていて当時を知っている人なら懐かしさを感じたシーンが多かったのだと思われます。

とんでもない膨大な量の取材によりリアルに再現しているのだが…なぜそこまでする必要があったのか疑問は確かにあります。

当時者が少なくなってきた今の世の中で忠実に再現をしたところで…あの頃を知らない私達には再現度の高さの判断がつかないのではないでしょうか…

引用元:この世界の片隅に – Google Play の映画

しかし本作が目指していたのは当時の広島をリアルに表現することではなく

『すずさんがこの世の中に存在した
      …という事を信じさせる』

すずさんが歩いたかもしれない道、渡ったかもしれない橋、作ったかもしれない料理をリアルに再現する事は『北条すずさん』がこの世界に存在していたんだと私達だけではなく製作サイド自身にも信じ込ませようとしたのでしょう。

この製作サイドの尽力があるからこそ私たちとすずさんの世界線が同じなのでは…と感じてしまう要因になってしまったのです。

ショートレンジの仮現運動

引用元:片渕須直監督が『この世界の片隅に』で挑戦した作画表現について

仮現運動と表現してしまうと難しく考えてしまうがさほど簡単な事なので気軽に考えて欲しい。

昔、パラパラ漫画を作った記憶はありませんか?教科書の端っこを使って作った方は多いのではないでしょうか…私は漫画を描く技術などありませんが意外にも簡単にパラパラと動いているように見えるものなんです。

これは仮現運動という心理的現象が働いているからなのです。アニメーションはこの仮現運動の仕組みを使って人物などが動いているかのように見せているわけです。

アニメではないがゴルフのスイングの連続写真を使って説明したいと思います。アニメだと思ってください。

通常はこのようにクラブを振りかぶってボールをミートさせ撃ち抜く画像を連続で細かく見せる事で人が動いているように見せるのが動画の仕組みとなるわけですが…

実はアニメでは全てのコマを細かく見せなくても人が動いているように見せる事が可能なのです。
上の画像から4コマ分を省いているのが下の画像になる訳ですが脳内では勝手に省いた分の画像を補填して見せているのである。コレが心理学的に言う仮現運動ということみたいです。

本来あるべきはずの画像を中抜きした状態でも違和感なく動画が成立してしまうという事なのだ。だから画力のない私でもパラパラ漫画が簡単に作れてしまうのであります。

ちなみに中抜きをした動画を『ロングレンジの仮現運動』と業界では呼んでいるとの事

では『この世界の片隅に』はどうなのでしょうか…全てのカットではないが要所的にロングレンジとは逆となる『ショートレンジの仮現運動』を取り入れているのである。

画像の中抜きをせずに細かく描く事でより人間らしい『ヌルッ』とした動きがアニメの中で表現されているのである。

全てのアニメで『ショートレンジの仮現運動』を取り入れればもっと凄いアニメ映画がドンドン出てくるのではないか…と安易に考えてしまうが確かに正解ではあります。

しかしとんでもない時間とお金が掛かってしまう事から分かってはいても中々とできない作業なのです。『この世界の片隅に』では『ショートレンジの仮現運動』を取り入れたことでアニメーションとして違う次元のレベルにまで押し上げていたのです。

このリアルを追求した理由は…やはり

『すずさんがこの世の中に存在した
      …という事を信じさせる』

…ということなのです。

のん

引用元:のんが『この世界の片隅に』すずの姿を完全再現!

本作で主人公『北条すずさん』の声優を務めた のんさん。彼女の存在がなければこのアニメ映画の成功はなかったかもしれません…それほどまでのハマり役であり彼女以外はすずさん役は考えられません。

おそらく すずさんに合わせて声色を変えてはいなく のんさんは地声でやっているのだと思われます。だからこそリアルに感じる部分があったのでしょう。

岡田斗司夫氏が言うには『北条すずさん』を存在させるために声優を務めるのんを徹底的にサポートしているみたいなのだ。

すずさんの動き、表情といったものは のんをイメージして作られているため声色を変える事をせずに地声で演技ができていたのでしょう。

つまりは のんがすずさんに寄せていたのではなく映画版の『北条すずさん』は のんをイメージとして作られていた訳ですから彼女が役にハマるのは当然の事だったのでしょう

長々と語ってしまいましたが…岡田斗司夫氏が語っていたことをパクッただけですので…申し訳ございません。しかし非常にしっくりきたので引用させていただきました。

軍師かんべえ

本当に岡田さんの知識量と解説の旨さには翻弄されてしまいます。

8月のおすすめ作品ラインナップ【U-NEXT】

さらにいくつもの

引用元:『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は、追加シーンによって何が変わったの

日本のアニメーションとして129分という時間は長編の部類にあたるオリジナル版『この世界の片隅に』ではありますが、本作『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は更に40分追加した168分の3時間弱という大長編作品となってしまいました。

主人公の北条すずさんがマイペースでのんびりとしたキャラであるため錯覚をしてしまいますが展開はポンポンとテンポよく進んでいくため168分という時間があまり気になる事はありませんでした。

引用元:【白木リン】CV:#岩井七世 迷い込んだ遊郭ですずさんを助けてくれた女性。

『さらにいくつもの』の方ではオリジナル版でも登場する遊郭の白木りんさんのシーンが多く追加されています。この追加により戦争アニメ映画感が薄まったように感じてしまうが本来この作品が反戦を強く訴えている内容ではないので気にする所ではありません

引用元:『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を熱く語ります(笑) | 気まぐれに気の向くままに

追加シーンはリンさんだけではなくテルちゃんという女性も登場してきます。オリジナル版には全く登場してきませんので彼女の存在にも注目してください。個人的にはテルちゃんも好きですねぇ(笑)

長々と違いを書いてしまうとネタバレとなってしまいますのでこの辺りにしたいと思いますが…もしオリジナル版も長尺版も未鑑賞であるなら断然に私は長尺版である『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の方を推します。

軍師かんべえ

北条すずさん…白木リンさん…『すず』『リン』( ゚д゚)ハッ!『鈴』

https://youtu.be/k7c2OON7UnI
引用元:「PEPSI SUMMER FESTA 2023」8/5(土) U-NEXTで独占ライブ配信!

コトリンゴ

引用元:コトリンゴ -「 悲しくてやりきれない 」

胸にしみる空のかがやき 
    今日も遠くながめ 
         涙をながす

白い雲は流れ流れて 
    今日も夢はもつれ 
       わびしくゆれる

悲しくて 悲しくて 
    とてもやりきれない

この限りない むなしさの 
     救いは ないだろうか

本作の音楽を担当し主題歌である『悲しくてやりきれない』を歌ったコトリンゴ。絵を書く事で心の声を表現していた すずさんの内面を表しているかのような歌詞となっていて…本作のために書き下ろした楽曲と思われますが実は1968年のザ・フォーク・クルセダーズのカバー曲だったのです。

やはりヒットする作品にはこういった運命的なことまで起因してくるのでしょう。この作品のために作られたのでは…と思わせる曲を優しい声で包んでくれるように歌うコトリンゴの存在があってこその事であります。

他にも作品の中には劇中歌として『みぎてのうた』エンディング曲の『たんぽぽ』もコトリンゴが歌っていてこの2曲も涙なしには聞けない曲となっています。コチラも鑑賞後考察記事で解説したいと思います

軍師かんべえ

小鳥とmacのappleでコトリンゴらしいです(笑)

映画『RRR』予告編<U-NEXTで好評配信中>

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を楽しむポイント

引用元:「この世界の片隅に」ロケ地巡り国際平和拠点ひろしま

日本で戦争を題材にした作品を作れば必然的に反戦がテーマとなってしまいます。もちろん本作も戦争の理不尽さや残酷さを見事なまでに表現していますがアプローチの仕方が今までの反戦映画とは全然違い小さいお子さんでも楽しめる戦争時代を舞台としたアニメ映画となっていました。

それ以前に本作は『戦争万歳』の右的な思想も『戦争反対』の左的な思想もなく純粋にあの時代を生きた女性の物語となっているのです。

日常であった何気ない生活が戦争によって次第に浸食されるかのように壊されていく…こういった中でも人間は生きていかなければいけないのである。

岡田斗司夫氏が語ってたように本作を鑑賞した後は呆然となっている自分がいたのです。あまりにも最後の20分にとんでもない感情が頭の中に入り込んでしまったため整理がつかなかったのであります。

1回目の鑑賞後の感想は『とんでもない映画を観てしまった』であります。私の個人的な思いでありますが本作の鑑賞は『国民の義務』にすべきであります…少しの知識だけで映画はもっと面白くなる!『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を100倍楽しもう!

映画を観るならU‐NEXT

『この世界の片隅に』を観るなら
U-NEXT 只今30日間無料トライアル

それでは素敵な映画の世界へ行ってらっしゃいませ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA