『NOPE』を100倍楽しもう

おはこんばんちわ(-ω-)/
管理人軍師かんべえです。
鑑賞前の予備知識!映画はもっと面白くなる。今回の作品はコチラ!
本サイトは鑑賞前に読むことで映画を100倍楽しめる予備知識記事となっております
既に本編をご鑑賞されている方は鑑賞後の考察記事『モーっと楽しもう』にどうぞ
目次
NOPE

引用元:「NOPE/ノープ」”Nope”(2022) – CINEMA MODE
絶対に見つめるな
やつらに狙われる
あらすじ
2022年:アメリカ公開、日本公開 監督:ジョーダン・ピール 脚本:ジョーダン・ピール 製作:ジョーダン・ピール、イアン・クーパー 出演者:ダニエル・カルーヤ、キキ・パーマー スティーヴン・ユアン 他 音楽:マイケル・エイブルズ 撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ 製作会社:モンキーバウ・プロダクションズ 配給:ユニバーサル・ピクチャーズ 東宝東和
2017年アフリカ系アメリカ人が体験した恐怖が描かれた『ゲットアウト』で監督デビューを果たし2019年にも黒人主演の格差社会を描いたホラー映画『アス』を製作。新進気鋭の監督として注目されたのがジョーダン・ピール。
引用元:芸人からホラー監督へ転身!? 『Nope/ノープ』
映画俳優でもあり脚本家でもあり監督でもあり映画プロデューサーでもあるジョーダン・ピール。複数の顔を持つ人物ではあるが彼の根幹を辿っていくとコメディアンとしてのキャリアが浮かび上がってきます。
アメリカでは冠番組まで持っている有名なコメディアンだったのですが2016年に『キアヌ』の脚本に関わったことがキッカケで映画製作の方へとシフトすることになっていきます。
2017年にはダニエル・カルーヤを主演とした『ゲットアウト』で初監督と脚本を手掛けアフリカ系アメリカ人として初のアカデミー脚本賞を受賞。新世代の映画監督として注目される存在となったのです。
2019年製作の『アス』でも大ヒットとなったことでジョーダン・ピールは長年の念願であった超スペクタクル映画の製作を開始。2022年に劇場公開されたのが今回ご紹介する『NOPE』なのである。
引用元:ジョーダンピールのノープを見る方法
『ゲットアウト』も『アス』もホラー映画としても十分に楽しめる作りとなっていますが実は作品の中には監督が詰め込んだ社会を風刺したブラックなテーマが存在しているのです。
ジョーダン・ピール自身もアフリカ系アメリカ人という事もあり『人種差別』というテーマを作品の中に投げかけていました。しかしこの投げかけ方に彼のセンスの高さを感じてしまうのです。
アメリカだけでなく全世界で依然として横たわる『人種差別問題』しかし白人が『人種差別』をテーマとした映画を作ったら『偽善』であったり『上から目線』といったような声があがってしまいます。
近年は他者を傷つけない『優しい表現』がコンプライアンス的には好まれる傾向にあります。しかし鋭い風刺を描くのであれば本来は攻撃性が必要になってくるのです。
白人が作ると何かと面倒な事になるのだったら黒人が人種差別映画を攻撃的に作れば文句が出ないだろ…という逆転の発想から生まれたのがジョーダン・ピール作品なのである。
分かりやすく言うとハゲがハゲに『ハゲ』と言っても『お前もハゲだろ』という自虐的なギャグになってしまうという仕組みである。
引用元:ハマリタガリ (hamaritagari.com)
『ゲットアウト』や『アス』に関しては自虐的な黒人差別といったテーマをストレートに訴えているため観てる私たちもメッセージ性を理解しやすかったのだが…ココから少なからずネタバレをするのでご注意してください。
今回ご紹介する『NOPE』に関しては非常に分かりづらいのである。
監督が本作に掲げていたテーマが過去作とは違い直接的に訴えていないため理解できずにスルーしてしまうのである…とは言っても冒頭の部分でテーマがハッキリと記されているのだが日本人である私達には慣れ親しんでいないためスルーしてしまう方が多いのです。
ちなみに私も1回目の鑑賞の時はスルーしてしまったことで本作の魅力の半分も理解できなかったのです。2回目、3回目を鑑賞し…他の方の考察動画や記事を見た上での今回の記事という事になるわけです。
ただ同作品を短期間で何回も鑑賞するのは映画オタクくらいで殆どが一発勝負で評価を決めるのではないでしょうか…もちろん決定的なネタバレはしませんが100倍楽しむという前提で必要な情報は書いていきたいと思いますのでご注意ください…少しの知識だけで映画はもっと面白くなる!『NOPE』を100倍楽しもう!
旧約聖書 ナホム書3章6節
わたしは汚らわしい物を、
引用元:ナホム書3 : 聖書日本語 – 旧約聖書 (wordproject.org)
あなたの上に投げかけて、
あなたをはずかしめ、
あなたを見ものとする。
本作は旧約聖書のナホム書3章6節からの引用で始まります。残虐行為を繰り返してきたアッシリア帝国に対して神が放った言葉であり『力の行使によって支配を行う者は、逆に神によって滅ぼされる』という警告の意味を持っています。
つまり喧嘩の口上で神も汚い言葉を発するんだ…と思わず笑ってしまいました。この文章で重要なワードが『見もの』つまり『見世物』という言葉であります。
『NOPE』に於いて最大のテーマが『見世物』なのです。
見世物
引用元:[福岡県]筥崎宮 放生会の見世物小屋
最近は目にすることはなくなったが昔はお祭りなどで見かけていた『見世物小屋』
芸達者なパフォーマーが芸を披露するということで庶民から親しまれていましたが中には身体に障害を持つ者が見世物として扱われていたという事実もあります。
引用元:映画グレイテストショーマンのパフォーマー紹介解説!
世界初のサーカスであるP・T・バーナムが主宰する『世界最大のショー』
映画『グレイテスト・ショーマン』でも描かれていましたがパフォーマーの中には小人症や巨人症、髭の生えた女性といったように多くの障害を持つ者が見世物として扱われていました。
障害者を見世物として扱う…という是非は取り合えず置いておくとして
エンターテインメントの世界では
見世物となる者が消費されていく
…というのが本作のテーマなのです。
消費されていく者
引用元:上戸彩,杉咲花,樋口可南子,ダンテ・カーヴァー,犬 ソフトバンク
分かりやすく例えるなら芸能人。彼ら、彼女らは自らの意志で芸能の世界に入り、見られるという事を仕事としています。しかし露出が多くなれば飽きられるまでの時間も短くなってしまうのが芸能という世界の恐ろしい部分でもあります。
まだ人間は自らの意志で飛び込んでいる訳ですから覚悟もあるでしょうが動物はどうでしょうか…
動物タレントでパッと思い付いたのがソフトバンク犬の『お父さん』
ソフトバンクの『お父さん』は自らの意志で動物タレントになったのだろうか…考えるまでもありません。もしかすると人に見られる事に対し非常にストレスを感じているのかもしれません。
人間の勝手な思いでタレントとして扱われている事に不満を抱えていたのならいつ爆発しても不思議ではないのです。
『まさか…』と思う方がいるかもしれませんがアメリカでは過去に動物タレントのチンパンジーが飼い主に暴走をしてしまう事件が発生しているのです。
引用元:チンパンジーに顔面を破壊された女性の痛ましい姿
このチンパンジーは飼い主の顔や両手両足を食いちぎるなどの大怪我を負わせ今でも彼女は顔に傷が残っているとの事だ。駆けつけてきた警官によって銃殺されるという最悪の結果となった事件である。
コントロールできていたように思えた動物も何かをキッカケで暴走する恐れがあるという事です。
人種差別映画
引用元:人種差別を考えるにあたり参考になる映画やテレビ番組など
社会風刺を鋭く突いた映画として『人種差別』や『格差社会』をテーマとした作品を多く見ます。このテーマとした事の是非を問う訳ではありませんが結局は金銭が絡んでくるわけですからエンターテイメントとして消費していませんか…という事である。
ジョーダン・ピール監督自身も前作で『人種問題』『格差社会』をテーマとして映画をヒットさせている訳ですから、この問題は自分で自分に問いかけている事になります。
わたしは汚らわしい物を、
引用元:ナホム書3 : 聖書日本語 – 旧約聖書 (wordproject.org)
あなたの上に投げかけて、
あなたをはずかしめ、
あなたを見ものとする。
『NOPE』は力による支配で『見世物』とされている者たちがテーマとなっています。そして旧約聖書のナホム書によれば神によって滅ぼされたと記されていました。
正直、冒頭の引用されていた一文だけでココまでの事を理解するのは不可能に近いです。しかし『見世物』に対するテーマを理解したのならそれほど難解映画ではありません。
『見世物』となる存在がいるなら『見せようとする者』の存在もいるという事です。本作ではこの二つの構図が複数登場してくる訳です。この関係性がどう逆転していくのか…を楽しむ映画なのかもしれません。

簡単に言うなら『俺たちは見世物じゃねぇーぞ!』って事ですよね

オマージュ映画
引用元:スピルバーグ映画のオマージュと作風の明確
『NOPE』を楽しむ上での一つとして本編ではたくさんのオマージュがされているのです。
オマージュとは…
引用元:「オマージュ」の意味や使い方 わかりやすく解説
「既存の作品、人物、発言などに対して敬意を表する」ことである。一般的には描写・セリフ・設定などを引用・まねる・似せる・匂わせる・彷彿とさせる…といった形で行われる。
引用元:未知との遭遇 ファイナルカット版
ジョーダン・ピール監督はスティーヴン・スピルバーグの熱烈なファンであり『NOPE』の中にはスピルバーグ作品のオマージュが複数されているのです。
人類と宇宙人のコンタクトを描いた『未知との遭遇』が本作のベースとなっていました。更にスピルバーグ作品の『ET』や『JAWS』からも影響を受けていたことは監督自身がインタビューで語っているのです。
引用元:AKIRA | 1980年代 | TMS作品一覧 |『あ
日本のアニメ業界にも精通しているジョーダン・ピールは1988年に公開された『AKIRA』からも大きな影響を受けているとの事だ。さらに言うなら『新世紀エヴァンゲリオン』もピールは好きなアニメ作品だと語っている…という事は…

結局のところジョーダン・ピールも強烈な映画オタクという事だったのですね

『NOPE』を楽しむポイント

引用元:「NOPE/ノープ」”Nope”(2022) – CINEMA MODE
2020年に世界中に広まった新型コロナウイルスの脅威。映画業界もダメージを受けてしまい映画館での感染を恐れ上映を一時的に中止せざるおえない状態にまでなりました。
新作映画が延期や中止になるなか客足も遠のき自宅映画としてサブスクなどで鑑賞する方が増えた事で更に映画館のダメージが増えていく中でジョーダン・ピール監督は是非とも映画館に足を運んでもらうためにと製作したのが今回ご紹介した『NOPE』
通常カメラより縦幅が広くなったIMAXカメラで撮影したことでIMAX対応の劇場で鑑賞すれば大迫力の映像体験ができる作品だったのです。上映が既に終了しているので今更こんな事を書いても仕方がないのだが…できるだけ大画面でのご視聴をオススメします。
引用元:『NOPE/ノープ』未体験ゾーンの日本オマージュにブチ上がる
正直に申しますと1回目鑑賞の感想はテーマを理解する事ができずにいたので面白い映画とはとても思えなかったのです。しかし『見る者』『見世物となる者』というテーマを理解した上で鑑賞した時に本作の魅力が浮かび上がったのです。
インタビューで監督のジョーダン・ピールは『何度見ても楽しめるようになっている』と語っていたように本作は何度か鑑賞する事で面白さに気付く作りとなっているのだと思います。
特に前半部分は伏線が貼られまくるので退屈に思えたシーンも2回目の鑑賞時にはワクワクしてしまうという変化が色々な所にあるという作品となっています。
ただこういった作品はネタバレなしであれこれ語るのは非常に難しく、更に画像からのネタバレもあるので大変でした(笑)
そして4回ほど鑑賞しているのですが…どうしても意味の分からない部分がありまして他の方の解説記事や動画を見てもしっくりこないのです。ココではこれ以上は語りませんが考察記事で詳しく語りたいと思います…少しの知識だけで映画はもっと面白くなる!『NOPE』を100倍楽しもう!
映画を観るならU-NEXT
それでは素敵な映画の世界へ行ってらっしゃいませ
