『プレステージ』をモーっと楽しもう

軍師かんべえ

おかえりなさいませ(*- -)ペコリ
『プレステージ』
徹底解析 完全ネタバレとなっております
鑑賞前のお客様はご遠慮下さいませ

本記事は『プレステージ』の感想レビューとなっておりネタバレが含まれております。本編未鑑賞の方は予備知識編『100倍楽しもう』の記事をご確認の上で再度お越しください

プレステージ

2006年:アメリカ公開 2007年:日本公開 
監督:クリストファー・ノーラン 
脚本:ジョナサン・ノーラン、クリストファー・ノーラン 
原作:クリストファー・プリースト『奇術師』 
製作:クリストファー・ノーラン、エマ・トーマス
   アーロン・ライダー 
製作総指揮:クリス・J・ボール、ヴァレリー・ディーン 他 
出演者:ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール
    マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン
    レベッカ・ホール、デヴィット・ボウイ 他 
音楽:デヴィット・ジュリアン 
主題歌:トム・ヨーク『アナライズ』 
撮影:ウォーリー・フィスター 
編集:リー・スミス 
製作会社:タッチストーン・ピクチャーズ
     ワーナー・ブラザース、シンコピー・フィルムズ 他 
配給:ブエナビスタ・ピクチャーズ・ディストリビューション
   ワーナー・ブラザース 他

『プレステージ』はヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベールのW主演とあってウルヴァリンVSバッドマンのマジック対決か!と当時は騒がれていたのだが蓋を開ければ意外と地味な奇術合戦という…当然と言えば当然なのだが、それでもマイケル・ケインも出ているので少しは期待してしまうのは至極当然なこと。

どうしてもこの2ショットを見たらバッドマンが頭をよぎるのは仕方がない(笑)このワザと様なキャスティングもノーランが仕掛けたトリックだとしたらホントに天才としか言えない。こういった罠を平気な顔でブッ込んでくるのがクリストファー・ノーラン監督の特徴で同じ作品を何回観ても新しい発見ができるという仕掛けをしてくる。それだけに1回の鑑賞だけで全てを把握する事は難しい…という考察好きには嬉しい悲鳴が出てしまうのがノーラン作品と言える。

もちろん『プレステージ』も同様でアンジャ―の複製機、ボーデンの双子というオチを知った上で鑑賞することで理解できる伏線が実は色々なシーンで張り巡らされていた事に気付かされます。実は本作は2回目以降の鑑賞の方が楽しめるのかもしれない…という珍しいタイプの映画なのです。…といったようにココでは『プレステージ』を既に鑑賞しているという前提で記事を作成しております。ネタバレ注意となっておりますのでご了承ください。

軍師かんべえ

『しっかり ごらん…』この語り掛けのような言葉で物語は始まっていく…これはノーラン監督からの隅から隅まで見渡さないと全てを知る事はできないというメッセージなのだと思われます

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ノーランが仕掛けたトリック

『実は観客は何も見ていないし 何も知りたくないし… 騙されていたいのだ』

マジックは3つのパートで成り立っている『確認』『展開』そして『偉業』。檻の中に入った小鳥を消すマジックで檻に仕掛けがない事を観客に『確認』させる…しかしマジックのタネは仕掛けられている…次に檻ごと小鳥を消してしまう『展開』を見せ観客を驚かせるのだが まだ拍手は起こらない…最後に消えた小鳥を元に戻らせる『偉業』を見せる事で観客はマジックに納得するのである。

このマジックでは一羽の小鳥が犠牲になる事で成立するのだが…観客は何も見ていないし 何も知りたくない…騙されていたいのだ。そう消え去っていくものに観客は興味を持たないのである…例え それが小鳥であっても…人間であっても

『プレステージ』は二人の奇術師が憎み合うように足を引っ張り合い破滅の道を辿っていく物語。奇術師という職業のため観客を『騙す』というのが生業なだけあって…私たち映画を鑑賞している側にもどこかストーリの中に『騙し』があるのでは?と構えさせてしまうような…素直に『言葉』や『内容』を信じてはいけないのでは…といったミスリードを誘ってくる作りになっている。

そしてノーラン監督が本作で仕掛けたトリックというのが作中で至るところに『マジシャンはウソをつくものだ』というワードを入れる事で私たちに推理させようと誘ってくるのである。私たちは必死に映画の中でノーランが仕掛けたトリックを探そうとするのだが…実はノーランは何も仕掛けていなかった…という事実に気付かされてしまいます。

序盤にカッターは『これはマジシャンではなく魔法使いが作った…マジックはウソだが彼のは本物だ』と瞬間移動で使うマシンを前に語っていた。この言葉は最後まで観た方ならお分かり頂けるようにウソ偽りは一切なく本物のマシンだったのである。更にカッターはボーデンの瞬間移動のタネは『替え玉』と語っている。そう…この映画ではウソは一切なく比較的序盤にカッターがオチを語っていたのである。しかし私たちは『奇術』という言葉に惑わされ、どこか何も見てないようにしていたいし…知らないでいたい…そして何より『奇術』の前では騙されていたい…という心理をノーランは使って私たちに『何もしない』というトリックを仕掛けていたのである。

軍師かんべえ

ヘタに映画を見慣れている人の方が騙されやすい作品で素直に観ていれば答えは序盤で明かされていただけに…やられましたね(笑)

偉業(プレステージ)

マジックに於いて最大の見せ場は『偉業』すなわち『プレステージ』なのである。いかに『プレステージ』を魅力あるものにするかでそのマジックの価値が決まると言っても過言ではない。しかし『プレステージ』の裏には犠牲になるものが存在する事もある。例えば小鳥で逢ったり…人間であったり…そして人生を犠牲にしてまで『プレステージ』を追い求めているマジシャンもいたりするのである

奇術師のチャン・リン・スーは金魚鉢を突然に出すマジックを得意としている。タネを明かせば単純なトリックで脚に金魚鉢を挟んでいるだけなのだが…チャンは普段から脚の悪い老人という役を演じることでこのマジックを成立させていました。日々を犠牲にすることで初めて『プレステージ』が成し遂げられていたのである。しかし観客はチャンが脚の悪い演技を普段からしていた…という事実には全く関心はありません…というより知りたくはないのです。奇術師というのは『プレステージ』で得られる喝采こそが全てで その為に何かが犠牲になっても仕方がないという考え方になるのでしょう

アンジャ―の偉業

アンジャ―は科学者の二コラ・テスラに瞬間で人間が移動するマシンを作ってもらうためにアメリカのコロラドまで向かうのだが実際に完成したマシンは複製機(コピー)を作るものでした。しかしアンジャ―はこの複製機を使って瞬間移動のマジックを成立させたのですが…その犠牲になったものが

複製されたアンジャ―そのものでした。ラストシーンでは何十体ものアンジャ―の死体が並べらていました。アンジャ―は複製したアンジャ―を舞台に登場させて元になる者を水槽で溺死させていたのです。アンジャ―はこのマジックを行う度に死んでいた事になります。日々を犠牲にしてまで得られる『プレステージ』とは…

ボーデンの偉業

ボーデンの瞬間移動のため…というより奇術師として生きて行くために伴った犠牲は双子という事実を隠してボーデンという一人の人間として生きて行くものであった。つまり自ら一人の人生を抹殺していた事になります。生まれてきた時から犠牲を伴った人生を歩んできたからこそチャンの金魚鉢のタネを容易に暴くことができたのでしょう。

軍師かんべえ

私たちの生活の中のサイクルに似ているような気がします。何か新しい物が生まれる…つまり『偉業』が成される時に伴う『犠牲』は決して私たちの目に触れる事はない…深いなぁ…この映画は

貼り巡られた伏線

映画『プレステージ』が何度鑑賞しても新しい発見があるという理由は作中の中で張り巡らされた伏線の多さである。冒頭からしっかりと伏線が張られていた事にお気づきだろうか…散乱されたシルクハットはアンジャ―が複数コピーされていくという伏線という事は分かりやすいのだが…実は『しっかり ごらん』という言葉は本作の言葉・表現の中には一切のウソはありません…という監督からのメッセージだったのでしょう

本作の中で最も多く貼られたのはボーデンが双子という伏線。妻のサラは『本当の日』『ウソの日』という表現でボーデンの双子を表していました。ただサラはボーデンが双子であるという事実を知っていたのではないでしょうか…夫からその真実を直接聞きたかっただけに知らないフリをして過ごしていたのだが最後はノイローゼとなり自らの命を絶ってしまう。色々な解釈があるだろうが私はサラは気付いていたのでは…と思っている。

『最初に世を変えた時に私は先見者だと称賛された…その次の時は引退を勧められた…』『世間は急な変化を好まない…』伏線とは違うかもしれないが科学者二コラ・テスラの言葉が気になり少し調べてみたのだが…二コラ・テスラは19-20世紀にかけて実在した科学者でトーマス・エジソンと発明を争っていた経緯がある。この二人の争いこそが『プレステージ』のアンジャ―とボーデンの対立の基になったのだろうと推測している。テスラが考案した交流電流はエジソンが推進していた直流電流にとっては邪魔な存在でエジソンの関係者の手によって科学の世界からはマッドサイエンティストとしてテスラは扱われるようになった。

金儲けや政治に興味のなかったテスラは人類に科学を寄与する目的で次々と革命的な発明をしていくが急激な変化により既存のシステムを書き換えていくような発明が多数あったことで起業家たちから煙たがられるようになってしまう。おそらく起業家たちからの脅威と敵視されていた念を言い表したのが先のセリフだったのではないでしょうか…

マイケル・ケインが演じていた二人のマジシャンのタネを発明する人物がカッター。この男はどこまで真実を知っていたのか…謎のまま作品は終わってしまう。ボーデンの双子という事実も知っているような素振りを見せている上で『あのトリックは替え玉だ!』と平気でタネをバラしている。その堂々とした態度が逆に『それはないな』と思わせてしまうのだが…

軍師かんべえ

細かく上げていくと膨大な伏線の数になってしまうので印象が強かった伏線だけとりあげたのだが…このカッターという伏線だけは回収ができていなかった…ただ『騙されていたい』という事なのかもしれませんね。

総括

天才と謳われたクリストファー・ノーランが初期の頃に手掛けた作品『プレステージ』。キャスティングから派手な演出を期待していたのは私の勝手なイメージなのだが淡々と進んでいく地味な展開だったことは逆の意味で期待外れ(良い意味で…)であった。あれがウルヴァリンが暴れるみたいに派手に演出されていたなら興ザメしたかもしれません。本作を記事にする事も含めて何回視聴したのか分かりませんが…何度見ても新しい発見ができるのは完成された原作と練りこまれた脚本…そして実力派の演者と最後に天才ノーランが手掛けたというハーモニーが合わさってのことだと思われます。公開から時は経つのだが今だ議論されているのがボーデンは双子説なのか…複製説なのか…ということ。記事を作るにあたり他の方が書いた記事を読んでいたことで、この2つの説がある事に気付きました。普通に双子説だと思います…というより複製されていたという説があった事に感心しました。すごい想像力だな…と。それはそれで面白い説なので反論はしませんが…映画って本当に面白いですよね。最後に『プレステージ』の面白い裏話を聞いたので…

ヒュー・ジャックマンが勝手にやった事らしいが替え玉の男ルートはゲイ設定みたいです。監督からは『ほどほどにね…』と忠告があったみたいだがヒューはおそらく楽しんでいたのではないでしょうか(笑)バーでボーデンが近づいてきた時に『ウホっ♡いい男wao!』と思っているつもりで演じていたとの事…ってところでオツカレっす!

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