『ソルト』をモーっと楽しもう

軍師かんべえ

おかえりなさいませ(*- -)ペコリ
『ソルト』徹底解析
完全ネタバレとなっております
鑑賞前のお客様はご遠慮下さいませ

ソルト

2010年:日米公開
監督:フィリップ・ノイス
出演:アンジェリーナ・ジョリー 他

冷戦時代に実在されたとされるエリート・スパイ養成所の伝説を軸として作られたのがアンジェリーナ・ジョーリー(以下アンジー)主演の『ソルト』。

サスペンス要素が強いアクション映画とあってイヴリン・ソルトはいったい何者だったのか…最後の最後まで謎として明かされることなくエンドロールを迎えてしまう事になったのにはビックリ。この消化不良とも感じさせる終わり方は果たして何だったのか?

そしてアンジーの演技が微妙に過去作と比べると戸惑っているというか…キレが悪いというか…アンジーの調子が悪いという訳ではなく そういう演技をしていたというか…ただ最後の最後には キレっキレのアクションを見せてくれる。これはかなり爽快

ココでは『ソルト』を徹底解析&徹底考察という事で完全ネタバレ記事となっております。ソルトとは?彼女はいったい何がしたかったのか?アメリカ側なのか…ロシア側なのか…そしてフィリップ・ノイス監督が用意していた3つのエンディングとは…『ソルト』は鑑賞後考察こそが面白い!本記事を確認した上でソルトを再鑑賞すれば…モーっと面白くなる!

軍師かんべえ

『ソルト』は鑑賞している私たちを何度も裏切ってくる…こいつは一体なんだったのか?この記事で明かされる…

ソルトは米派?露派?

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引用元:ソルト│番組一覧│映画専門チャンネル「ムービープラス」 (movieplus.jp)

結局最後までソルトがアメリカ側、ロシア側なのかは語られることなくエンドロールを迎えてしまうが少なくとも最後はロシアのKGBの残存部隊を殲滅するためにヘリから脱出を試みている。かと言ってアメリカ側に付いた訳ではなく考察を生き甲斐とする我々には実に最後まで楽しませてくれる作品になっている。

私の個人的な見解からするとソルトはロシア側の人間という結論が出ている。何故ロシア側の人間なのかを説明する前に皆さんは本作に対する異様な違和感を感じなかっただろうか…それは主人公のソルトに対し感情移入が最後まで出来なかったという点である。

感情移入をさせない作品

映画だけではなく小説、舞台とストーリーを追っていく上で作品にのめり込むための要素として主人公や登場人物にどれだけ感情移入が出来るのか否かという点は非常に大切な事である。

そのために主人公の性格や生活といった日常を作品の中で表現していくのだが本作ではソルトは愛する夫がいるという点だけで生活感が殆ど表現されていないため彼女自身がどういった価値観の中で生きているのかが殆ど見えてこない。(わざと見せていないのだが…)

更に彼女は一人で行動をするため殆どが無言でアンジーの表情だけで読み取っていかなければいけないという…これまた映画考察者を困らせる様な演出を繰り返している。

この無言演出がベースとなるため、ロシア大統領の暗殺をした時点でロシア側の人間だったのかと思っていたらKGBのオルノフ部隊を殲滅…という事はアメリカ側?といった様に行動の前に『私はコレをやる!』といった発表がされないので観てる側は非常に混乱する作りとなっている。

もちろん、こういった演出は全て狙ってやっているので鑑賞者側にわざとソルトに感情移入させないようにしている監督の意図が見えてきます。では誰視点で鑑賞すればよかったのか?

ウィリアム・ピーポディ

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引用元:ゾンビハンターの日常:ソルトの珍しい銃器について (militaryblog.jp)

『えっ?こいつ…』って思われるかもしれないが彼の視点に立って鑑賞することが正解なのだと私は思っています。

何故ならソルトがアメリカ側なのか ロシア側なのか という点を制作側は謎のままにしておきたかったからでしょう。

ソルト視点だと彼女の内心が表現されるため隠し通す事は難しくなります。しかしピーポディ視点だと『あの女は一体何者なんだ!』といった様にソルトという人物を終始隠す事ができるからです。

時代遅れのKGB

それでは何故?ソルトはロシア側の人間なのかといった話に戻していきます。

特に難しい話ではなく、かつての旧ソ連ではアメリカに潜入するためのスパイ養成として計画されたのがKAプログラム

養成されたスパイはアメリカに渡り何十年も指示を待つ事となる。しかしソルトはCIAというアメリカの最先端でもある機関に所属していた事でKGBが如何に時代遅れであるのかを理解していたのでしょう。

しかし幼少の頃からマインドコントロールされていたためロシアを裏切る事は中々できることではなかったのだが…このマインドコントロールを打ち破る事ができたのはマイクに対する純粋な『愛』だったのです

愛こそが

幼少の頃から親の愛を受ける事なく感情を抱かないスパイとして育てられてきたソルトであったが身の危険を顧みず北朝鮮から救い出してくれた夫マイクの愛によりマインドコントロールから抜け出す事ができたソルト。

しかしKGBはソルトのロシアへの忠誠が本物かどうかを試すためにマイクをソルトの前で射殺してしまいます。

マイクの射殺があった事でKGBを殲滅させたことがストーリーを難解にさせてしまっているが(これもわざとではあるが) ソルトは旧ソ連のスパイである以上はロシア側の人間というのが私の見解。

ただマイクを射殺してしまった事でソルトの怒りを買っただけである。

更にソルトはCIAに所属していた事でKGBの時代遅れの考えがロシアの為にならない事を悟っていたのでしょう。ロシア側の人間のケジメとしてKGBを葬る事こそが使命であると捉えていたのかもしれません。

軍師かんべえ

私は女を怒らせてはいけない…という事だけを忠実に守って生きています。

3つのエンディング

ソルトが移送用のヘリコプターから海へ脱出を図り逃亡、そして未知の黒幕を倒すべく決意を固めるといったのがエンディングとなっているがコレは劇場用で使用されたエンディング①とされていて一般公開されているソルトのエンディングは①が使用されています。

この事を言い換えるとソルトには別のエンディングが用意されていた事になります。Blu-ray特典に付いていたのがエンディング②とエンディング③と呼ばれる2タイプのエンディング。

エンディング②

ステッペンズ新大統領はソルトこと、ナターシャ・チェンコフの死をもってテロ集団の脅威は消滅したと述べました

『ソルト:特典映像』エンディング テロップから引用

映像はエンディング①と同じものを使用しているがソルトが逃亡している時にニュース音声として上記の文章が読み上げられます。

エンディング①とほぼ同じなのだが唯一違う点は①はアメリカからも追われる事になるソルトに対し②はソルトの死亡が確定されたことでアメリカからは追われる事がなく自由に行動が出来るという点。

もし続編を作るなら制約の少ない①を使う方がアメリカとの確執も描くことができるし和解して協力体制も取れ自由度がアップします。

エンディング③

エンディング①と②とは違いウィンター殺害後 ソルトをヘリコプターで移送するシーンが丸々カットされていてピーボディによる尋問シーンに飛びます。

そこでソルトは自殺を図り救命室に運ばれますが、見事に病院を抜け出す事に成功。そしてシーンは変わりロシアのスパイ養成学校がある宮殿に映ります。そこには殺したはずのオルロフの姿が…再び対峙する2人そしてソルトはオルロフを葬り、宮殿を爆破…

本来はエンディング③はソルトのエンディングとして成立しているのだが③を使用すれば続編を作る時に難しくなります。比較的自由度の高いエンディング①を使用するのが最もだったのでしょう。

映画の世界で別エンディングを撮影していましたというのは別に珍しい事ではなく、よくある事なのだが特典映像でしっかりとアピールしている点は余り聞かないケース。

ソルト公開時は続編を匂わせるようなエンディングから次回作を期待していたのだが公開から10年以上が経っても情報は入ってこない。つまりエンディング③こそがフィリップ監督が望んでいたエンディングであり、その主張を特典映像に載せる事で意思を伝えたかったのではないでしょうか…

総括

引用元:ソルト(洋画 / 2010) – 動画配信 | U-NEXT 31日間無料トライアル (unext.jp)

個人的には続編を非常に期待ている女性スパイ映画だったのですが…結果としては単発作品と終わってしまいました。

感情移入をさせてくれない主人公という設定が面白く、最後の最後までソルトがどっち側なのかを探る楽しみ方をさせてくれる作品。

そのこともあってソルトの動きに戸惑いを感じてしまう演出が多々ある…これはソルト自身も移り行く現状でその場で状況判断せざる得ないという事だったのでしょう。

しかし最後のウィンターとの対決は躊躇は全く感じさせずに手錠ダイブを決めてしまうシーンはトリハダ物で背筋がゾクッと凍ってしまう程…やはりアンジー!見せる所は見せてきました。間違いなく本作はアンジーの代表作と呼べる作品。そしてソルトは今も闇の中で蠢いている…といった所でオツカレっす!

今回も長文失礼いたしました
それでは…

またのお越しをお待ちしております

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