『ペットセメタリー』を100倍楽しもう

軍師かんべえ

おはこんばんちわ(-ω-)/
管理人『軍師かんべえ』です。
映画ライフを楽しんでますか!鑑賞前の予備知識!これで映画はもっと面白くなる。今回の作品はコチラ!

映画『ペットセメタリー』を鑑賞された方は
コチラの『鑑賞後にモーっと楽しもう』
お入りくださいませ⇩

ペットセメタリー(2019年)

2019年:アメリカ公開 2020年:日本公開
監督:ケビン・コルシュ・デニス・ウィドマイヤー
原作・脚本:スティーヴン・キング
出演:ジェイソン・クラーク

あらすじ

映画『ペット・セメタリー』本予告

メイン州の田舎町に家を購入した若い医者のルイス・クリードは妻のレーチェルと娘のエリー、生後間もない息子のゲージ、そして猫のチャーチルを持つ『幸せ一家』。新しく購入した家の庭には山奥に続く細道がある。隣人のジャドによると細道の奥にはペット霊園があるらしい。しばらくして娘のエリーが可愛がっていた猫のチャーチルがトラックに撥ねられ死んでしまう。隣人のジャドは詳しい説明もなくルイスに猫の死体をペット霊園の更なる奥にある丘に埋めるよう案内をすると、翌日の朝、死んだはずのチャーチルが家に帰ってくる。しかしチャーチルは腐臭を発し狂暴化した別の何かだった…

ベストセラー作家スティーヴン・キングが1983年に発表した『PET SEMATARY(原題)』を1989年に監督メアリー・ランバートが映画化。そのリメイク版として2019年(日本公開は2020年)に公開されたのが今回の『ペット・セメタリー』。近年では『IT THE END』やシャイニングの続編『ドクター・スリープ』といった様にリメイクであったり、続編を出したりとスティーヴン・キングの作品の映画化が相次いでいる。そして2019年版『ペット・セメタリー』となる訳だが…先ほども書いた様に1989年版も話題となった事から多くの方が既に大まかな内容を把握しているという前提で今回の記事は作成したいと思っております。1989年版『ペット・セメタリー』の完全ネタバレ記事となっていますのでご注意ください。1989年版『ペットセメタリー』の予備知識を入れるだけで映画はもっと面白くなる!

軍師かんべえ

2019年版だけでも十分に楽しめますけど…1989年版を観た人にしか分からない要素もあるので時間がある方は1989年版を観る事をオススメします!

キングが出版を見送った理由とは?

アメリカ・モダンホラーの巨匠スティーヴン・キング。『シャイニング』『IT』『ミザリー』といったホラー作品だけでなく『グリーンマイル』『ショーシャンクの空に』『スタンドバイミー』といったヒューマンドラマや青春ドラマの作品も多く手掛け彼の作品の殆どが映画化され世界が認める巨匠作家。

長編小説『ペット・セマタリー』

長編小説『ペット・セマタリー』は1983年の作品となっているが実は原稿事態は4年前の1979年に完成していたみたいなのだ…しかしあまりの内容の恐ろしさに発表が見送られていたのだが妻の説得で1983年に出版される事になった…というエピソードがあります。この『恐ろしさ』というのは小説の内容ではなくキング自身の実体験をもとに創られた作品だったので…キングは思い出しただけでも『おぞましい』何かがあったみたいなのです。

実体験

過去にキングは映画同様に多くの車が行きかう幹線道路沿いに家を購入した時に息子たちが可愛がっていた猫が車に轢かれ死んでしまうという経験をしている。更に家の近くの細道の先にはペット・セメタリー(動物霊園)が実際にあったとキングは語っています。

その数日後に数秒目を離したすきに最愛の息子が道路に飛び出て、あわや車に轢かれそうになったという『おぞましい』体験から生まれたのが小説『ペット・セマタリー』。キングは『子供が車に轢かれて死んでいたなら』と考えた時に親なら蘇ってきて欲しいと願うだろう…という着想から物語が生まれたと語っていました。しかし自らの子供の死(実際は死んでいないが)を題材にしている点がキングが『ペット・セマタリー』を『おぞましい』と感じ取ってしまった事から発表が4年間見送られる事となったのです。

PET "S"EMATARY

PET SEMATARY(ペット・セメタリー)というのは『ペットの墓地』という意味で正しくはPET CEMATARYが正しい綴り。これはこの墓地が正式に州によって作られた墓地ではなく地元の子供たちが空き地に勝手に作った墓地であった…という解釈ができます。子供達が作ったのでスペルの"C""S"を間違ったんだ…と映画の中で語っていました。

映画の中でのペット・セメタリーは確かに思うがままにペットを埋め墓標を建てていました。さすがに公式な動物霊園なら区画整理がされているはず。墓標も手作り感が満載で、いかにも子供達が勝手に作ったという雰囲気はありました。

ただ この演出って必要?って思いませんか?小説版でも映画版でも『子供が綴りを間違った』という説明がなされていますが物語の進行には全く影響してきません。ここからは私個人の勝手な妄想となるが、スティーヴン・キングが実際に家の近くにペット・セメタリーが存在していたと語っていましたが、おそらく実際にあったペット・セメタリーも地元の子供たちが作った簡易的な動物霊園で看板の綴りもPET SEMATARYと間違っていたのではないでしょうか?

軍師かんべえ

大金払って購入した家の敷地内に墓地があったら…さすがに不動産に文句を言いに行くなぁ~

インディアンによる転生論

物語の中でペット・セメタリーの奥に『ミニマク族』が儀式として使われた場所に猫のチャーチを埋めた事により物語が最悪の方へ進んでいくことに…この『ミニマク族』というのは先住民の事で分りやすく言うならインディアン。このインディアンにも仏教用語でいう輪廻転生に似た考え方がありました。彼らは全ての物の中には魂が宿っていて、この世の中心にはグレートスピリッツと呼ばれる魂の故郷があると考えていました。人が死ぬと魂はグレートスピリッツの元に帰っていく…とされていましたが生きている間に悪事を働いた者はもう一度人間に再生される…といった死生観。つまり生まれ変わったモノは前世で悪事を働いていた…という事になりますね。

軍師かんべえ

蘇ったモノが狂暴化していたのはインディアンの死生観によるものかもしれませんね

1989年版『ペット・セメタリー』

引用元:ペット・セメタリー/字幕 | TELASA(テラサ)-洋画が見放題

1989年:アメリカ・日本公開
監督:メアリー・ランバート
脚本・原作:スティーヴン・キング
出演:デイル・ミッドキフ

ここからは1989年版『ペット・セメタリー』の完全ネタバレとなっています。ご注意ください

OPのペット・セメタリー

OPで本作の舞台となるペット・セメタリーが映し出される。ココでは子供の声で『さよならシェップ天国でね』『ココには僕の子猫が静かに眠っている』と亡くなってしまったペットに子供たちが最後の言葉をかけているが…全てのペットたちは3~4年の短命で、おそらく近くにある道路で車に轢かれて死んでしまったペットたちだったのでは…しかも墓地の荒れようから一度も墓参りに来た様子は伺えない寂しいセメタリー。そして墓の並びが後に出てくる先住民が行っていた儀式の形と非常に似ています(インディアンによる転生論で写真を掲載)

幸せなアメリカンファミリー

OPの薄暗い演出とは対照的に次のシーンでは誰もが羨む幸せいっぱいのクリード一家の引っ越しシーン。お隣さんのジャドも良い人そうで会って直ぐに打ち解けています。ただ唯一の心配事といえば自宅前のトラックの通りが多い幹線道路くらい…

『死』に対するトラウマ

お隣のジャドの案内で近隣のペット・セメタリーに向かう事になったクリード一家。ジャドの『墓地は子供に死を教えてくれる』という言葉に直情的に怒りを表す妻のレイチェル。この後も『』という言葉に対し異様に恐れている。

妻のレイチェルは幼い頃に脊髄に障害を持つ実の姉を見殺しにした事で『死』に対するトラウマを抱えていた。旦那のルイスやジャドが娘のエリーに対し『死に対する心構え』を教えようとすると『まだ娘には早い…』と異様な嫌悪感を示しています。

パスコ―

医者のルイスが引っ越しをおえて病院への初出勤の日にパスコーという少年が車に轢かれ瀕死の状態で運ばれてきます。パスコーは死ぬ間際に『男の心ってのは岩よりも固い』という謎の言葉を残し息絶えてしまいます

ルイスが必死に命を助けようとしたが亡くなってしまった少年パスコー。幽霊となってルイス達を見守るのだが若さゆえの過ちか…展開はどんどん悪い方向へ向かっていく事になります。しかもトラックのシーンではジョークまで飛ばしている…コレって笑っていいんですか?

猫のチャーチが…

妻のレイチェルと娘のエリーそして息子のゲイジが感謝祭で実家に戻っている時にエリーが可愛がっていた猫のチャーチが車にはねられ死んでしまう事に…ルイスはエリーに『チャーチは逃げた…』と感謝祭から帰ってきたら説明すると言うとジャドは『もっといい方法が…』と言い放ちルイスをペット・セメタリーの奥にある先住民が儀式として使っていた土地へ連れていきます。

ジャドの案内で連れてこられた先住民の儀式が行われていた土地にチャーチを埋める事になったルイス。ココで疑問が残ったカットがコチラ

朝日をバックに…この満面の笑み。この後にジャドは『何であの場所を教えてしまったんだ!?』と後悔しているのだが…それだったのなら、この笑みが意味するのは何なのだろう?

翌朝、死んだはずのチャーチが蘇って戻ってきたのである…しかも腐臭を漂わせ狂暴になって…あの場所は死んだ生き物を蘇らせる呪われた土地だったのです。

最愛の息子ゲイジの死

猫のチャーチが蘇った謎の出来事があったものの日常を過ごしていたルイスだったが…ある日、息子のゲイジが少し目を離した瞬間に幹線道路に飛び出し…トラックに轢かれ亡くなってしまう。絶望に打ちのめされるトロイは…ジャドとのある会話を思い出していた…

猫のチャーチが蘇った後でにジャドに詳しい説明を聞きに行った時にルイスは『今までに人間は?』と尋ねるとジャドは思いっきり動揺した事でルイスは『人間で試したことがあるんだ』と確信していました。ルイスは息子のゲイジをあの場所に埋める事を決意します。

この行動が正しい事なのか?誤った行動なのか?は結婚もしてなければ子供もいない私には判断できないが親としては当然の行動なのかもしれない…スティーヴン・キングはこの親として当然の気持ちを『おぞましい』と考えたのではないでしょうか…

蘇ったゲイジ

蘇った息子ゲイジは手術用のメスでジャドのアキレス腱をえぐり取り(あまりにも残酷だったので映像は控えました)、母親のレイチェルをも殺め…チャーチ同様に狂暴化した状態で蘇る事に…

蘇ったゲイジが着ていた服に既視感を覚えていたのだが…もう一度見た時に気付きました。

レイチェルの実家に飾られていた不気味な肖像画で女性の足元にはチャーチっぽい猫が…では、この女性は誰なんでしょう?

レイチェルが実家で見た悪夢で姉が『ゲイジと私の2人で迎えに行くから…』と…あの肖像画の女性は姉のゼルダだったんです。

ずるい…すごくずるい

狂暴化した息子ゲイジに毒薬を注射するルイス。この時にゲイジが謎の言葉を…

『ずるい』???この言葉の意味は?話の流れから『パパ酷いよ!』とか『痛いよ!』とかなら理解できるのだが『ずるい』?しかも冷めた感じで拗ねてテクテク歩いて行って倒れてしまう。この『ずるい』の言葉を理解するのに何度映画を見返したか…

この『ずるい』こそが『ペット・セメタリー』スティーヴン・キングが訴えたかったテーマだったのではないでしょうか。(原作にこの言葉があったのかは不明だが)

この悪夢の様な惨劇の原因はルイスの行動が全て。トラックが走り回る道路の近くに家を購入し…息子から目を離したためトラックに轢かれ…呪われた土地にゲイジを埋めて復活をさせておきながら…最後は毒薬を注射して殺してしまう。ゲイジは遊ぼうと言ったのに『殺すなんて…ずるい…すごくずるい』という事になります。これは人間のエゴがもたらした恐怖だったのではないでしょうか!

小説『ペット・セメタリー』が発表されたのが1983年。その4年前には完成していたので1979年頃となります。映画化されたのが1989年。1979年~1989年の間で世界的に問題となっていたのが『環境問題』。特に地球温暖化というワードをよく耳にしていた記憶があります。これこそが人間のエゴがもたらした恐怖。生活をよりよくするために森林を大量伐採したり車から出る排気ガスや光化学スモッグなどを気にせずに排出してきたり…環境に悪い事を散々しておきながら急に規制をかけて厳しく取り締まっている始末。もちろん正しい決断ではあるが原因は人間にあった事は私たちは忘れてはいけない。『ペット・セメタリー』でも失った息子を蘇らせたいという親としては当然の決断最悪の結果を生み出している。その最悪の結果を毒薬を打つという身勝手な後始末をルイスが行った事に対して『ずるい…』だったのでしょう。これはキングからの警鐘だったのではないでしょうか…

ずるいルイスが最後にとった行動

ルイスはゲイジに殺されたレイチェルを蘇らせるために再び呪われた土地にレイチェルを埋めてしまいました。蘇ったレイチェルは…

軍師かんべえ

人間は間違ってしまった結果を間違った行動で消し去ろうとする生き物なのでは?と思ってしまう最後のルイスの行動。怖いですねぇ~人間って…

呪われた土地

1989年版『ペット・セメタリー』を観て最後まで疑問に残ったのが隣人のジャド幽霊のパスコーの行動。ジャドは猫のチャーチが死んだ時に禁断の呪われた土地に猫を埋める事をルイスに説明もせずに連れていき後で後悔しています。この行動が全ての元凶となる訳です。そして幽霊のパスコーはルイスをペット・セメタリーまで連れていき『あの境界線から向こうには行くな!』と興味を誘うようなアドバイスをしていました。更にパスコーは妻レイチェルの帰宅を至る所で手助けしています。レイチェルが帰る事がなければ死ぬこともありませんでした。2人の行動や発言は『善意』のように思えるが結果としては『最悪』の状況を生み出している。

これこそが『呪われた土地』悪魔の様な転生を伝承させるために誘った呪いだったのではないでしょうか?そのためジャドとパスコーは自分の思いとは裏腹にルイスやレイチェルを間違った選択をさせるように仕向けたのだと思います。ジャドの後悔は本物で『何で俺はあんな事をさせたのか…』と悩んでいましたが悪霊に取り憑かれていたのではどうしようもないですよね

この不適な笑みは…取り憑かれていたのでしょう…と思えば納得しますね。

2019年版『ペット・セメタリー』

1989年版も2019年版も共通して言える事はアメリカンホラーの『ワー!』『キャー』といった衝動的な怖さというよりもJホラーに似た精神的にダメージを与える…生活に支障を与えてしまうホラー映画。観ている時よりも観終わった後に怖さが溢れ出てくる作品。スティーヴン・キングのホラーって全部そうなんですけど…2019年版を観る上でのポイントは1989年版との相違点を探すこと。また2019年版ならではのテーマと怖さもアップデートされています。是非、鑑賞後は一緒に悪夢で悩まされましょう(T_T)

映画『ペット・セメタリー』を鑑賞された方は
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