『羊たちの沈黙』を100倍楽しもう

おはこんばんちわ(-ω-)/
管理人軍師かんべえです。
鑑賞前の予備知識!映画はもっと面白くなる。今回の作品はコチラ!
本サイトは鑑賞前に読むことで映画を100倍楽しめる予備知識記事となっております
既に本編をご鑑賞されている方は鑑賞後の考察記事『モーっと楽しもう』にどうぞ
目次
羊たちの沈黙

引用元:羊たちの沈黙(洋画 / 1991)の動画視聴 | U-NEXT 31日間無料トライアル
どうだねクラリス
羊は鳴き止んだかね…
あらすじ
1991年:アメリカ公開、日本公開 監督:ジョナサン・デミ 脚本:テッド:タリー 原作:トマス・ハリス『羊たちの沈黙』 製作:エドワード・サクソン、ケネス・ウット ロン・ボスマン 製作総指揮:ゲイリー・ゴーツマン 出演者:ジョディー・フォスター、アンソニー・ホプキンス スコット・グレン、テッド・レヴィン 他 音楽:ハワード・ショア 撮影:タク・フジモト 編集:クレイグ・マッケイ 製作会社:Strong Heart Productions 配給:オライオン・ピクチャーズ ワーナー・7ブラザース
1991年に公開されたサイコホラー映画『羊たちの沈黙』第64回アカデミー賞で主要5部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞)を受賞。2023年時点現在では作品賞を受賞した唯一のホラー作品でもあります。
アカデミー賞の主要5部門を総ナメという結果となった本作は実はアカデミー賞を狙って製作された作品ではなく、もしかすると公開ができなかったかもしれないほど資金調達に苦労をした作品だったのです。
当初、原作権を購入したのは俳優のジーン・ハックマン。ハックマン自身が監督を務め主演にはミシェル・ファイファーかメグ・ライアンを考えていたみたいだったのです。ハックマンも捜査官のクロフォード役で出演する予定だったのだがオファーをかけていた主演2人からは出演を断られハックマンもプロジェクトから離脱。
この影響で資金調達が途絶えこることになったのだが製作会社のオライオン・ピクチャーズが改めて原作権を購入し後任の監督にジョナサン・デミを抜擢。それ以降はプロジェクトは急速に進んだみたいである。
引用元:『羊たちの沈黙』クラリス役のジョディ・フォスター、レクター博士役俳優が怖くて話ができなかった
1989年で既にアカデミー主演女優賞を受賞していたジョディ・フォスターは当初からクラリス役に興味を持ち、デミ監督に自身を売り込んたことで主演の座を獲得。その年のアカデミー賞では自身2度目となる主演女優賞を受賞したことになります。
殺人鬼レクター博士役はスタジオ側はショーン・コネリーを希望していたみたであるが第二候補のアンソニー・ポプキンスに役が決定。
作品自体の公開も危ぶまれていた上に監督、主演男優、主演女優も第一希望ではなかったのだが…面白いことに作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞を獲得するのだから映画というのは本当に何が評価されるのかは蓋を開けてみなければ分からないと言えますよね。
引用元:https://chicosia.com/hannibal-series/
ヒットすれば続編が作られる…は映画業界でも常であり、本作も2007年までに4作品が劇場公開されています。1991年『羊たちの沈黙』2001年『ハンニバル』2002年『レッド・ドラゴン』2007年『ハンニバル・ライジング』
羊たちの沈黙ほどのインパクトはないが続編3作品もかなり面白い展開となっていて私的にはオススメできますので時間がある方は是非ご鑑賞してみてはいかがでしょうか。鑑賞する順番は公開順でよろしいかと思われます…少しの知識だけで映画はもっと面白くなる!『羊たちの沈黙』を100倍楽しもう!

クラリスとレクター
引用元:https://renote.net/articles/16762が
ホラー映画では初のアカデミー作品賞となった羊たちの沈黙。注目すべきはFBI訓練生のクラリスと殺人鬼レクター博士の掛け合いのシーンであることは間違いありません。
本作のストーリー(あらすじ)はアメリカで発生している猟奇殺人事件の真相に息詰まったFBIは同類である犯罪異常者に聞けば事件解決の糸口が掴めるのではないのか…と殺人鬼レクター博士に協力を求めるがレクターはこれを拒否。
ココで白羽の矢が立ったのが訓練生であるクラリス・スターリング。彼女の使命はレクター博士から助言を貰いバッファロー・ビルの正体を探るということ。彼女はレクター博士が収容されている精神病院の地下牢に向かっていく…というのがあらすじとなっている。
クラリスとレクター博士の会話のシーンだけでアカデミー主要5部門を受賞したと言ってもいいほどで後にこの掛け合いをオマージュした作品が次々と世に出てくる事になりますが…
引用元:http://clearmountain.jugem.jp/?eid=1741
踊る大走査線THE MOVIEではオマージュどころかパクリとも言えるほど小泉今日子がレクター博士を模倣していました。もちろん狙っていたのは分かりますが映画館で苦笑いした事を思い出してしまいました。
要は本作の注目すべきところはクラリスとレクター博士の会話劇なのです。しかもこの会話には殆どインサート(挿し画)が入っておらず映し出されるのはクラリスとレクター博士のワンショットという画としてはかなり寂しいショットとなっているのです
監督のインタビューを拝見させてもらったら二人の会話に挟むインサート映像は考えていたみたいであるがあまりにも迫力ある会話のシーンが撮れたので敢えて画を挟まなかったと語っていました。
何度も書くがこの二人の会話だけのシーンでアカデミー賞主要5部門を受賞したのである。それほどまでにインパクトの強いシーンだったのです。
クラリス・スターリング
引用元:【解説】映画『羊たちの沈黙』ジョディ・フォスターとジョナサン・デミが作り上げた、新たな女性像
FBIアカデミーでは優秀な成績を修めているがまだ訓練生という立場であるクラリス・スターリング。クロフォード主任捜査官の目にかかり正式な捜査官ではないのだが特別にバッファロー・ビルの猟奇連続殺人事件の捜査の一員に加わることができたのである。
もちろんクラリスのアカデミーでの評価も抜擢の要因ではあるが最もたるは彼女の『美しさ』と『若さ』にあったのでしょう。
視姦
引用元:「羊たちの沈黙」で有名なハンニバルシリーズ徹底解説!
ジョディ・フォスターからの熱い要望で主演が決まったという事ではあるが監督のデミは彼女の小柄な体型こそがクラリス役にピッタリであると判断したみたいなのである。
裏テーマという訳ではないが本作は『一方的に見られる女性』というセクシャルなメッセージも込められていました。だからこそ屈強な男と正反対の小柄な美しい女性というイメージにジョディはピッタリだったのでしょう
ストーリーの展開とは関係ないのだが クラリスの横を通り過ぎていく男たちが振り返ってしまうのです。なかには口説こうとする男も出てくるがクラリスも自身の美貌には気づいていて男をかわす上手い術も知っているのである。
一般的に見るとクラリスは非常に強い女性と思えてしまうのです。アカデミーで肉体を鍛えて、精神力も高く、頭も良くて、向上心もあり…そして美しく若さもある。そんなクラリスがハンニバル・レクター博士の前に出てしまうと どうなってしまうのか…
ハンニバル・レクター博士
引用元:『羊たちの沈黙』30周年
1933年リトアニアで生まれたハンニバル・レクター。父方も母方もイタリアの名門貴族であるためハンニバルは幼いころから英才教育を受け6歳の頃には英語、ドイツ語、リトアニア語の3か国語を修得するほどの才能を発揮。
1944年第二次世界大戦の東部戦線の拡大で両親を亡くし妹ミーシャと二人きりになってしまうのです。
更にリトアニアを大寒波が襲い身動きが取れなくなってしまったため暫くはリトアニア兵士たちと共に暮らすことになるのですが…次第に食料が尽きていき飢えを凌ぐためにリトアニア兵士たちは妹ミーシャを殺害し食料にしてしまったのです。
この異常な体験がハンニバル・レクターの人格を決定付けしたのです。
後にレクターはアメリカで医学を修得。1970年頃には精神科の開業医として独立。しかしレクター博士は開業と共に内に眠っていた欲望や狂暴性が目覚めたらしく自分の患者を殺害してはその肉を食うという連続猟奇殺人が始まってしまうのです
1979年に逮捕されるまで9人の人間を殺害し食していたのである。あまりの狂暴かつ異常性に裁判所はチェサピーク州立病院ボルティモア精神異常犯罪者診療所への終身拘束を決定。
狭い独房に閉じ込められることになってしまったのだがレクターは独房の中から臨床精神病理学会誌や精神医学会誌に論文を発表するなど殺人者として終身刑となった身でも世間に影響を与え続けていたのである
精神科医レクター
心の病気を診療する精神科医であるハンニバル・レクター。彼が医者として勤めていた頃は多くの患者の悩みの相談を受けてきたことでしょう
特に精神科医は問題となる部分が『心』だけに医者と患者の信頼関係が構築されていないと治療とはならないのである。レクターの頭脳を持ってすれば患者の心を開く事なんて事は造作もないことなのでしょう。
レクターは多くの患者の治療を施すという事を名目に多くの人間の過去を探ることができたのです。いつの日か それらがレクターの好物となってしまったのである。
レクターは誰でも彼でも食していたのではなく、治療に来た患者のトラウマとなった過去が自分の好物だった場合のみ食していたのかもしれません。

レクター博士の過去を知ることでグッと作品が面白くなりますよね


プロファイリング捜査
引用元:topcourt (topcourt-law.com)
今となったら犯罪ドラマや映画などでよく耳にする『プロファイリング捜査』 本作が公開された1991年頃では実際にFBIの捜査では既に活用はされてはいたみたいが一般的には知られてはおらず聞きなれない言葉だったのです。
プロファイリングとは…
犯罪捜査において犯罪の性質や特徴から行動科学的に分析し、犯人の特徴を推論すること。基本的な構造は『こういう犯罪の犯人はこういう人間が多い』という統計学である。
引用元:プロファイリング – Wikipedia
引用元:LADY〜最後の犯罪プロファイル〜
日本でもプロファイリングを題材としたドラマが数多く作られているが実際にFBIなどが活用しているプロファイリングとは少しズレがあるみたいで、ドラマなどは物語を面白くするために作られていると考えてほしい
あくまでもプロファイリングは統計学であり予測不能な行動を取る異常犯罪者の心理分析のデータが足りていないというのが実情である。それでもプロファイリング捜査が始まった1972年に比べれば参考データも増えてはきているのである。
プロファイリングは捜査ツールの一つでありドラマのように心理分析官の推理だけで犯人逮捕に繋がることはまず無いということなのである。
そしてプロファイリングの危険性もココでは触れておきたい。
何度も書くがプロファイリングとは統計学なのである。データとなる分母が少ないと正確な統計はできませんし、プロファイリングから導き出されたデータを扱う人間の知識が乏しいと誤認逮捕となる可能性も秘めてしまうのです。
1997年に神戸で発生した『神戸連続児童殺人事件』酒鬼薔薇聖斗という謎の男からの声明文と一緒に児童の遺体の一部が校門の前に置かれていたという異常犯罪。
プロファイリング捜査に関して後進国であった当時の日本で浮かび上がった犯人像は知能指数の高い30代の孤独な男性という結果だったのだ。しかし犯人は当時14歳の中学生だったのです。
日本でも増えてきたとはいえ、それでも分母となる異常犯罪数が少ないためミスリードとなってしまう結果が出てしまうのであります。
ちなみに異常犯罪が桁違いに多いアメリカのFBIが神戸連続児童殺人事件をプロファイリングしたところ未成年者の犯行と推察していたみたいなのである。
引用元: 似顔絵ブログのようなもの (jugem.jp)
1995年に地下鉄サリン事件などを指示したオウム真理教の麻原彰晃
もちろん裁判が長引いたという理由もあるが死刑が執行されたのは事件発生から23年が経った2018年。麻原彰晃だけでなく幼女誘拐殺人事件を起こした宮崎勤も1989年の逮捕から19年後の2008年に死刑が執行と想像以上に長いのである。
蛇の道は蛇ではないが異常犯罪のプロファイリングを作るにあたって手っ取り早いのは異常犯罪を起こした人物に聞くのが正確なデータが取れるのだと思います。死刑執行が長引いたのは おそらく事件の真相解明や裁判とは別にプロファイリングデータを取るために設定された期間なのでしょう。

なんかプロファイリング恋愛とかもあるみたい(笑)導き出される理想の女性とは………浜辺美波かな?


バッファロー・ビル
引用元:映画『羊たちの沈黙』バファロー・ビルについて考察してみました
え?顔を晒すのかよ…と思いの方、御安心ください。本作は犯人探しという部分でのミステリー要素はなく最初の犯行からバッファロービルは顔を晒していますのでココで隠す必要はないのです。
ぽっちゃりの若い女性ばかりを狙った殺人鬼で殺害後に皮を剥いでいたことからバッファロー・ビルと地元警察の間で呼ばれるようになったのです。レクター博士同様に異常犯罪者であることは間違いなく映画内では語られる事はないが彼も幼い時の体験が原因で凶暴性と異常性が生れてしまった人物なのです。
彼は幼少の頃から母親に酷い虐待を受けていた事で自然に別人格を作り逃避していたのである。このことが原因で成人しても彼には強い変身願望があったということなのだ。なぜか映画版では一切触れられることがないので敢えて書いておきました。
あくまでもバッファロー・ビルはフィクションの世界での人物なのだが実はモデルとなった凶悪犯罪者がいたのです
墓地から掘り起こした女性の死体を使ってマスクやベルト、靴下などの日用品を作っていたエド・ゲイン
体の不自由な人間を装って助けに来てくれた女性を拉致するという手口を使って30人も殺害したテッド・バンディ
他にも複数人モデルとなった人物がいたみたいだが胸糞が悪くなる事件ばかりなのでココまでにしておきます。
古畑任三郎や刑事コロンボなどのような既に犯人が分かった状態で推理していく倒叙形式に近いためクラリスがいかにバッファロー・ビルに近づいていくのかが本作のミステリー部分でのポイントとなってきます

事実は小説より奇なり…なんて言葉があるように実際の凶悪犯罪者は想像を超える事をしてきますよね



『羊たちの沈黙』を楽しむポイント

引用元:羊たちの沈黙(洋画 / 1991)の動画視聴 | U-NEXT 31日間無料トライアル
公開当時は高校生だった私こと軍師かんべえ。当時はインターネットなどない時代で…情報など全くない状態で彼女と見に行き鑑賞後に一人興奮している私を見て『二度と一緒に映画に行かない』と言われた事が昨日のように思えてきます(笑)
かんべえ少年がなぜ興奮してしまったかというのは当時はまだ世間には知れ渡っていなかったプロファイリングという画期的な捜査方法にあったのです。まるで魔法のように犯人像を浮かび上がらせる心理学的なアプローチの方法に度肝を抜かれたわけなのである
更に犯罪映画で不謹慎なのかもしれないが作品自体がアーティスティックな雰囲気を醸し出していてお洒落なのである。当時の私は芸術大学を目指していた高校生だった事もありパッケージに写っている蛾のドクロのような模様がスペインの芸術家サルバトール・ダリの作品であることにすぐに気づいたのです。
作品とは全く関係ないが大学時代はサルバトール・ダリが好きだったので友人からはダリ君と呼ばれていました(笑)
引用元:エミール電子出版タカブックス 現代美術作家シリーズ 7
そして私が一番に興奮したのはクラリスとレクター博士の鬼気迫る会話も…もちろんですがジョディ・フォスターがあまりにも美しすぎて一瞬で心を奪われてしまったのです。
引用元:ジョディ・フォスターの若い頃がかわいい!
こんな美貌の持ち主なのにレズビアンとは非常に惜しい。彼女もクラリスのように幼少期に何か暗い過去が…とネタバレになりそうなのでココで止めておきます。
最後にタイトルとなっている『羊たちの沈黙』原題は“the silence of the lambs“なので直訳で同じ意味となっています。なぜこのタイトルが付けられたのかを考察するのも面白いかもしれません…少しの知識だけで映画はもっと面白くなる!『羊たちの沈黙』を100倍楽しもう!
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それでは素敵な映画の世界へ行ってらっしゃいませ
