『ラストナイト・イン・ソーホー』をモーっと楽しもう

軍師かんべえ

おかえりなさいませ(*- -)ペコリ
『ラストナイト・イン・ソーホー』
徹底解析 完全ネタバレとなっております
賞前のお客様はご遠慮下さいませ

本記事は 『ラストナイト・イン・ソーホー』 感想レビューとなっておりネタバレが含まれております。
本編未鑑賞の方は予備知識編『100倍楽しもう』の記事をご確認の上で再度お越しください

ラストナイト・イン・ソーホー

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2021年:アメリカ、イギリス、日本公開
監督:エドガー・ライト
脚本:エドガー・ライト
   クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
原案:エドガー・ライト
製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー
   ナイラ・パーク、エドガー・ライト
出演者:トーマシン・マッケンジー、アニャ・テイラー=ジョイ
音楽:スティーヴン・プライス
撮影:チョン・ジョンフン
編集:ポール・マクリス
製作会社:フィルム4・プロダクションズ
     パーフェクト・ワールド・ピクチャーズ
     ワーキング・タイトル・フィルムズ 他

『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ』『ベイビードライバー』など手掛けてきたエドガー・ライト監督。今までコメディ映画を作ってきた監督だったが今回は初のジャンルとなるサスペンス・サイコホラーの『ラストナイト・イン・ソーホー』でも好評を得ることができました。

そもそも『ホラーとコメディは似ている』と映画の世界ではよく言われます。『恐怖』と『笑い』という感情は対極の位置に存在していると思われているが実は紙一重の隣り合わせの位置に存在している…と唱えている人もいるぐらいなのです。

例えるなら1998年に公開された中田秀夫監督の『リング』。日本中を恐怖のどん底に陥れた貞子現象は…この数十年の経過で貞子を見ても『恐い』という感情が生まれなくなっていませんか?パロディ化されすぎてプロ野球の始球式にまで呼ばれていましたよね(笑)

13日の金曜日のジェイソンもエルム街の悪夢のフレディも呪怨の加耶子も恐怖の感情は薄くなっている気がしませんか…これは『恐怖』と『笑い』を演出する時は共に感情の起伏である『緊張と緩和』を利用している点が同じであるから対極ではなく紙一重の位置に存在しているので『恐怖』と『笑い』を引き出すための演出方法が似ている…と言われています

つまりホラー映画を撮れる監督はコメディーも撮れるし…その逆も然りなのです。この点を鑑みればエドガー・ライトが初めてでありながらサスペンス・サイコホラーの『ラストナイト・イン・ソーホー』で世間から高い評価を得ることができたのは納得がいくことでしょう。

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本作で感じた恐怖の質はホラー要素よりも人間怖いといったサイコパスな要因が強いと私は感じました。

能動的に見る男性
受動的に見られる女性

ロンドンに訪れたばかりのエロイーズはタクシー運転手にミラー越しに『見られる』という洗礼を受けてしまう。60年代のサンディは身体目的の男どもから『見られる』という恐怖を体験するのである。

『見る/見られる』という力関係は1975年に映画研究科のローラ・マルヴィが発表した『視覚的快楽と物語映画』で諭されていて映画やショービジネスなどの世界では『男性のまなざし』つまり『男が女をみつめる』という構造を深く抱え込むことで この世界は成立していると記されていました。

簡単に説明すると映画やショーにおいて昔から女性は男性の欲望対象として描かれている場合が多いという事である

この恐怖は男性が理解するのは難しいのかもしれません。何故なら男は生理的に女を見てしまう生き物なのだから…女性の顔を確認してしまうのが男の性(サガ)なのである。

この男性特有の性質を不愉快に思い恐怖すら感じてしまう女性は少なからずいるのでしょう。更に世の男性は能動的に女性を見るという行為に対して罪悪感を感じていないということである。

私が本作を観て『恐い』という感情が芽生えたのは…私が能動的に見てしまった女性が恐怖を抱いていたのではないか…という恐怖なのである。

本作は『見る/見られる』という力関係がテーマとなっている。この関係をココでは深く掘ってみたいと思います…といったようにココでは『ラストナイト・イン・ソーホー』を既に鑑賞しているという前提で記事を作成しております。ネタバレ注意となっておりますのでご了承ください。

軍師かんべえ

でも前を歩いている女性がいると…『見たい』という衝動が産まれる事は健康な男の子って事なのよねぇ~♡

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『ラストナイト・イン・ソーホー』でキーとなっていたアイテムが『鏡』。60年代にタイムリープしたエロイーズは鏡に映った自分の姿がサンディであったことでシンクロしてしまい…彼女の身に起こった恐怖の追体験をしてしまうことになる。

エロイーズとサンディは同じ世界線上にはいるものの過去と現在というお互いが干渉する事ができない別の時間軸でそれぞれが生きているはずであった。

しかしエロイーズの霊的な能力で鏡越しではあるが60年代のサンディの生活を覗き見することができる…というのが物語の設定でした。

つまりココでも『見る/見られる』という力関係が働いている事が分かりますよね

能動的にサンディを見るエロイーズ
受動的にエロイーズから見られるサンディ

この力関係は一方通行なのである。エロイーズは見ている事に対しての意識はあるがサンディは見られている事に対しての意識は全くないのである。

つまりエロイーズからの想いはサンディに決して届くことはない。いくら叫ぼうが…鏡を叩こうが…サンディにコレから起こる恐怖を止める事はエロイーズにはできないのである。

見ることはできる…しかし過去への干渉や改変することは決してできない…その境界線となっていたのが『鏡』だったのです。

鏡の中のエロイーズは…

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鏡の中にいたエロイーズはサンディの心情を表わしていたのだと感じました。サンディは男から性的対象として扱われた時に『自分を殺した』と語っていました。無表情のサンディに対し鏡に写っているのは必死に叫ぶエロイーズの姿…この叫びはサンディの心の中の声に違いありません

実はここでも『見る/見られる』といった力関係が働いていたのです。

観客 ⇨(エロイーズ ⇨ サンディ)

『ラストナイト・イン・ソーホー』ではエロイーズが鏡越しにサンディを見ているという構図で物語が進んでいました。

更に深掘りすると映画を観ている我々はスクリーン(テレビ)越しにサンディとエロイーズを見ているという構図も働いているのです。

エロイーズがサンディに干渉できないように我々も何もできないのである。しかし逆に考えればエロイーズも私たちも『見る』という事だけはできるのである。

過去は変えれない…
しかし想いは背負って生きて行く事ができる。

多くの男性を殺害していたサンディに対しエロイーズは『大丈夫…わたし見てたから…』といってサンディの体をそっと抱き寄せます。

過去を変えることはできなかったが…サンディがいかに苦しんでいて、助けを求めていたのか…誰よりもそばで見ていたのはエロイーズでした。

『男性のまなざし』で記されていた『見る/見られる』という力関係とは違い、エロイーズとサンディの『見る/見られる』の関係には『救い』が生み出されていたように感じました。

ラストで思わず『大丈夫…僕も見てたよ…』と心の声が出てしまいました。

軍師かんべえ

『鏡』というアイテムを効果的に使った映画でした。CGではなくアナログ的に撮ったことで臨場感がでていましたよねぇ。

復讐

60年代ロンドンはSWINGING LONDON (揺れるロンドン)と呼ばれ音楽にファッションにアートとロンドンが世界の中心でありました。

60年代の女性のファッションは変化していき肌を露出したミニスカートが流行。『女性が自由になった象徴』という解釈で当時のファッション文化を表現されていました。

しかし60年代の性差別というのは問題視すらされていなく、実際には男性の性的欲求を満たすための存在として多くの女性は扱われていた…という時代だったのです

2017年にアメリカで始まった『Me Too運動』性暴力とハラスメントによる被害経験をオンライン上に投降するキャンペンーンが世界中で広まったように…性差別が問題となっていったのは近年であり…21世紀になっても男女平等であると胸を張って言えないのは非常に残念なことである。

だったら映画で復讐しましょ!

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歴史の中で女性の立場は常に不遇であり、現在は昔に比べるとマシにはなっているがまだ問題はたくさん残っている。だからといってリアルで男性に復讐を果たすのは問題であり、遺恨も残るので…(笑) せめて映画の中で復讐を果たしましょう…といったのが本作品。

『ラストナイト・イン・ソーホー』はジャッロ映画をベースに作られています。

・フーダニット形式(犯人捜し)のミステリー
・ホラー、サイコスリラー色が強い
・残酷な殺人シーンがある
・どことなく女性がエロい

私の勝手なジャッロ映画の定義となるが…更にもう一つ付け加えると

・殺されるのはブロンド美女

だからブロンド美女のサンディが殺された事に対し何の違和感も持たなかったはずである。だってジャッロってそういうものなのだから

しかし蓋を開けてみたら残酷に殺されていたのが男どもで狂気的になっていたのがブロンド美女だったという逆転劇。

しかも死体を壁やら床に埋められていて…エロイーズが60年代に呼んでいたのは殺された男たちの無念からであった…というオチ。

女性は男性に対して色々と思う所はあるでしょうが…映画でサンディが復讐を果たした…という事でどうか勘弁して下さい

軍師かんべえ

男ってバカだから…怖い目に合うと分かっていても可愛い子を見ると声をかけてしまうものなのよぉ…ほんとバカよねぇ

母親が意味するもの

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幼い頃に亡くなってしまった母親の姿を鏡越しに見ることができるという演出はエロイーズが霊的な能力を持っている『見える系女子』であるという説明になっていました。

ただココでも『鏡』と『現実』は干渉ができないことになっており母親は無表情でエロイーズを見ているだけなのである。ある意味この視線が一番怖かった様な気がします。

また私の妄想が炸裂してしまうのだが…母親もデザイナーを目指しロンドンで暮らしていたと祖母が語っていました。そしてロンドンで自殺をしたと…

母親も霊感が強く『見える系女子』だったことからロンドンでサンディの夢を見ていたかもしれません。エロイーズ同様に半狂乱になってしまい自殺してしまったのでは…

いや、もしかすると同じようにサンディのアパートに住んでいたのかもしれません。

老婆になったサンディはエロイーズを偽装自殺に見せようとしていました。事実を知った母親は老婆サンディによって偽装自殺させられた可能性も…ただ全ては私の妄想ですが

だから冒頭でロンドンに向かうエロイーズの前に現れたのは娘を守るためだったのかもしれません。

そして最後のシーンでも母親は現れます。ロンドンは恐い街です。老婆サンディが語ったように至る所で人が死んでいるのがロンドンという街なのです。

もしかすると次の霊の魔の手がエロイーズに襲いかかろうとしているのを守っていたのかもしれませんね…って私の妄想ですけど(笑)

総括

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トーマシン・マッケンジーとアニャ・テイラー=ジョイなら…どっち派?なんて軽い感じで鑑賞したら手痛い目にあった男性は多かったのではないでしょうか…

まさにそれこそが監督の狙っていた所でどうしても男という生き物は女性をそういった目で見てしまう性癖があるみたいだ

ホラー映画としては期待通りではなかったが人間が持つ怖さであったり社会の闇という点では深く考えさせられる作品でもありました。

本作のシナリオの発想はエドガー・ライト監督の母親がロンドンで男性から受けた恐怖体験がベースにあると監督は語っています。

特に芸能の世界は今でも闇の部分が多く『枕営業』という言葉があるように女性は身体を切り売りして仕事を手に入れている…なんて話も珍しくないのかもしれません。

買う男もバカだが…売る女もバカだよねっていうのが私の正直な本音なのかもしれません。

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色々と考察はしてみたが本作のメッセージ性だったり社会的な問題の訴えであったりも大切なのだが…やっぱりアニャの妖艶的な魅力とマッケンジーの清廉で純朴な姿を観てるだけでオジサンは大満足なのである…といった所でオツカレっす!!

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