『バトル・ロワイアル』をモーっと楽しもう

軍師かんべえ

おかえりなさいませ(*- -)ペコリ
『バトル・ロワイアル』
徹底解析 完全ネタバレとなっております
賞前のお客様はご遠慮下さいませ

本記事は 『バトル・ロワイアル』 の感想レビューとなっておりネタバレが含まれております。
本編未鑑賞の方は予備知識編『100倍楽しもう』の記事をご確認の上で再度お越しください

バトル・ロワイアル

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2000年:日本公開
監督:深作欣二
脚本:深作健太
原作:高見広春『バトル・ロワイアル』
製作:片岡公生、深作健太
製作総指揮:高野育郎
出演者:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明
    柴咲コウ、安藤政信、北野武 他
音楽:天野正道
主題歌:Dragon Ash『静かな日々の階段を』
撮影:柳島克己
編集:阿部浩英
配給:東映

『ねぇ、友達殺したことある?』の狂気じみたキャッチコピーと共に2000年というミレニアムの年に劇場公開された映画『バトル・ロワイアル』

監督は『仁義なき戦い』などを手掛けたバイオレンスの巨匠とも謳われている深作欣二。

戦争体験を原点に『抵抗』と『反逆』を数多くの作品で描いてきた深作欣二の遺作となってしまった本作は残念な事に15歳以下の鑑賞が不可という年齢制限が掛かってしまう。

たしかに過激な暴力的なシーンが満載ではあるが…ただのバイオレンス映画ではなく深作欣二ならではのメッセージが随所に散りばめられた社会派な一面も伺えるヒューマンドラマともなっている。

公開の是非が国会で問われた際も一部の議員から拍手が送られていた…といったように本作でのメッセージ性は響く人間には響いてしまう映画なのである。

私は鑑賞前の予備知識記事で本作は鑑賞する際に『バイオレンス映画』というフィルターを外した時にメッセージが浮かび上がってくると書きました。

皆さんは本作で何かを受け止めることができたでしょうか…残念なのは伝えたい対象であった中学生が鑑賞できない…という事態になった事で公開の翌年に当時鑑賞不可だった中学3年生のためにリバイバル上映を行っている。

それほどまでに深作欣二はコレから大人になっていく15歳の少年少女たちに感じて欲しかった事があったのでしょう…といったようにココでは『バトル・ロワイアル』を既に鑑賞しているという前提で記事を作成しております。ネタバレ注意となっておりますのでご了承ください

軍師かんべえ

鑑賞は幾度となくしているのだが…観た時の年齢によって作品に対する感じ方が…こうも変わってしまうとは…オッサンになった今はキタノ目線になっている自分がいました

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がんばれ!

中学生同士が殺し合いをするという過激な演出の先に監督である深作欣二が子供たちに伝えたかったメッセージとは…『がんばれ!』という言葉だったのだと私は感じている。

よく大人が子供に使う軽い感じの『がんばれ』ではなく極限状態の中でも必死にもがいて…苦しんで…最後まであがき続けて生き抜いてくれというメッセージの『がんばれ!』なのである。

深作欣二の中学3年生という時期は太平洋戦争の真っ最中であり国家総動員となった事で学生であった深作も軍に徴兵されていたと本人が語っていました。

不条理にも続く戦争に対し『国家への不信感』や『大人への憎しみ』が募っていく中で『がんばれ!がんばれ!』と必死に自分に言い聞かせ必死に生き抜いてきたのでしょう。

そのような経験があったからこそ本作を映画化しようと決意し…深作自身が15歳の時に体験した想いを今の15歳の少年・少女たちにメッセージとして伝えたかった作品が『バトル・ロワイアル』だったのです。

誰も守ってくれない現実

日本の法律では中学生までは義務教育としてほぼ一律に全員が教育を受ける制度となっている。それ以降は高校に進学する者、就職する者…と別れていくが それでも未成年(2022年に成年年齢が改正)という時期までは子供たちは国によって守られている存在なのである。

しかし成人した瞬間に未成年というカテゴリーは外され厳しい現実社会へと放り出されてしまう。たとえ成人したばかりであっても社会は決して容赦はしてくれない。

信じていた相手の裏切り行為、甘い誘惑の罠、仲間同士の騙し合い…一瞬でも気を抜けば身ぐるみを剥がされてしまう現実社会は…バトルロワイアルが実行されていた無人島の状況に似ていませんか…まさしくバトル・ロワイアルの世界は現実社会の縮図なのかもしれません。

灯台で女子グループが仲間割れをしてしまい殺し合ってしまったエピソード。

最初は和気あいあいとした雰囲気の仲良し女子グループが最初の犠牲者が現れたのをキッカケにお互いが疑心暗鬼になってしまい殺し合いをしてしまう…何か一つトリガーが引かれた時に急に状況が一変してしまう事なんて現実社会ではよく起こることで、今までは提携していた会社が一気に掌を返したように牙を向けてくる経験なんて何度もしてきました。

『わたし…みんなのこと好きなの…忘れてた』

現実社会もそうなんです。当初は『良い仕事をしよう』と思い協力体制の基で他の会社と始めた事業も蓋を開ければ相手を出し抜くことに必死になってしまい蹴落としてしまう事なんて当たり前で…なんなら落とされた方が油断していて悪いなんて考え方が常識となっている。

しかし、この少女のように当初は『良い仕事をしよう』という気持ちを忘れていただけなのである。現実世界は権力者が得をするシステムとなっている…コレは理解できる。そして弱者が保障制度などで守られている…コレも理解はできる。

しかし普通に暮らしている一般的な生活をしている人達が全くといっていいほど守られていない…コレが理解できない。自分の身は自分で守る…『誰も守ってくれない』それが現実社会なのである。

撃たないと…撃っちゃうよ

バトル・ロワイアルの中の『キタノ』は深作欣二そのものだったのでしょう。『どうした中川…撃たないと…撃っちゃうよ』のセリフは『がんばれ!がんばれ!』といった様に聞こえたのは私だけでしょうか…

この世界は弱肉強食で油断をしてしまうと寝首をかかれてしまう。もちろん他人の養分となり生きて行くのも一つの選択であるが…可能性を存分に秘めた中学3年生にはもっと明るい素晴らしい未来を生きていって欲しい。そんな願いが本作のメッセージとなっている。

軍師かんべえ

確かにメッセージ性は強いが…さすがに暴力的な演出はやり過ぎで…R18でも全然可笑しくない内容(笑)

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キーパーソン

バトル・ロワイアルというゲームの中でキーパーソンとなっていたのが転校生の川田章吾と桐山和雄…そして相馬光子の3人。この3人の存在がゲームを膠着状態にさせず絶えず『殺し合う』という環境を作り上げていました。

演出的にもこの3人を中心に多く描かれていましたが…深作欣二のスゴイ所は他の40人ほどいた生徒たちの個性をしっかりと表現していた所。

ゲームで支給されるバッグを軍人が生徒に叩きつけるように投げる際にそれぞれの個性が演出されていました。慌ててバッグを取り損ねる者やゲームには絶対に参加しないと叩き返す者…生き残ると宣言するかのように両手を上げる者…

時間の制限もあるので全生徒のバックボーンを映画の中で語る事はできないが…この演出でモブキャラ的な生徒たちにも人物像を作り上げていました。

この演出は見事としか言いようがありません。しかし中心になっていたのは…主人公の2人とキタノを除くと やはりこの3人になってしまいます。

川田章吾

3年前の優勝者として今回の大会に強制参加させられた川田章吾。恋人が最後に見せた笑顔の真相を探るために今回の大会では七原と中川を見守っていました。

愛する人には生きていて欲しい…という願いからの笑顔だった事に気付く川田だが…最後は桐山との死闘での負傷が尾を引き脱出する際の船上で息を引き取ってしまう。

川田は武器を向けてきた者にだけ容赦はしないというスタンスを取っていて決して攻撃的な性格ではない。拡声器で主張を訴えようとしていた女子2人にも威嚇射撃をして逃げるように促している。

ただ本作の中で理解できなかった事が何点かあるのだが…川田はバトル・ロワイアルの経験者という事で首輪の外し方を知っている…と語っていて実際に最後に七原と中川の首輪を外していました。その方法が説明されていなかったのです。どうやって外したのか…最後まで疑問が残ってしまいました。

桐山和雄

興味本位で大会に参加してきたという設定であった桐山和雄だが…原作では転校生ではなくしっかりと3年B組の生徒だったみたいだ。

実は見直してもらうと分かると思うが桐山和雄には一言もセリフがないのである。当初用意されていた台本にはセリフがあったのだが…桐山役を演じた安藤政信が恐怖感を出す為に『セリフはナシにしましょう』という案が採用されたとのこと。

この演出が大当たりで桐山の異常ともいえる行動は観ている我々を恐怖のどん底まで叩き落としてくれました。これから殺す相手の口元に拡声器を押し当て断末魔を島中に響かせるなどの常軌を逸した行動をケラケラ笑いながらやってしまう残虐性には体温が3度ほど下がってしまいました。

ちなみに42人いた生徒の中で生き残った3人と桐山を引いた38人の中で桐山が殺したのは13人…とんでもない殺人能力を持った まるで戦闘民族サイヤ人みたいな男なんでしょう(笑)

相馬光子

幼い時に母親が連れてきたヤクザ風な男を階段から突き落とし殺した過去を持つ相馬光子。クラスの中でも一二を争う美少女にして不良グループのリーダーである光子は積極的にゲームに参加していく。

わたし…
ただ奪う側に回ろうと思っただけよ…

ブラックな過去を持つだけに一方的に奪われる側の恐怖を知っている光子はどんな相手でも自分は『奪って』でも生き延びるという信念を持っていました。

ただ…このセリフに既視感を感じませんか?同じ深作映画の『仁義なき戦い』で菅原文太が演じた広能のセリフ『狙われるもんより、狙う方が強いんじゃ…』に非常に似ています。

これは私の勝手な邪推になるが…おそらく監督の深作欣二は相馬光子というキャラを一番大事に演出していたと思います。

自身の作品のオマージュだけではなく光子が死ぬシーンでは劇場版エヴァで使用されていた楽曲『G線上のアリア』が挿入されていたり…ラストの回想でもバスケットボール大会で輪の中に入りたさそうな顔で寂しそうに体育館を去っていくシーンであったり…監督のお気に入りのキャラだったのでしょう。

軍師かんべえ

やはり柴咲コウは ずば抜けて可愛いんだなぁ…って思っちゃいますよね

キタノ

北野武が演じた『キタノ』とは一体 何だったのだろうか…大人を舐め腐っていた子供たちに復讐するために軍のプログラムに参加したのか…真相は明らかになっていないため想像の域は超えないがハッキリとしていた事は中川典子に対してだけは誠実でいた事である。

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いつ描いたのか分からないが無人島で繰り広げられた殺し合いの中で中心に描かれている笑顔の少女は中川典子だったのです。キタノは中川に生き残って欲しかったのでしょう。

ココからはまたしても私の邪推になるのだが…キタノは復讐のためにプログラムに参加したのではなく中川を守るために参加したのではないでしょうか…

今年のBR法の対象クラスが城岩中学3年B組だと知ったキタノは担任になる事を国に申し出た可能性はあります。キタノと因縁を抱えたクラスだっただけに国側も担任として認めたという訳です。

しかし興味本位で参加してきた桐山の存在を知り急遽 川田を中川典子を守らせるという役割で強制参加させたのでしょう。キタノの狙いは当たり中川典子は最後まで生き残る事ができたのです。

一人の少女を生き残らせるために他の全員を殺してしまう…とてもサイコパスな考えで恐怖すら感じてしまうのだが…

『誰かを愛するという事は…
     誰かを愛さないという事』

実業家でもあり作家でもある高橋歩さんの…この言葉を連想してしまいました。

人は神でもキリストでもない…全てを平等に愛する事はできない…一人を愛するという事は…他を愛さない。この考えが正しいのかは別としてコレも一つの恋愛の形なのでしょう。キタノが抱いた中川典子への愛は誠実なものだったに違いありません。

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キタノを刺したナイフを大事に宝物にしていると告白した中川典子に対しキタノが発したセリフ。このセリフも既視感を覚えてしまう。新世紀エヴァンゲリオンで綾波レイが碇シンジに言ったセリフ

こういう時、どんな顔をすればいいかわからないの

どれだけエヴァをオマージュしている作品なのか…よくよく見たら黒バックの白テロップもエヴァでよくある演出でした。

確かにそんな物騒な物を宝物にしている少女の気持ちが理解できないと同時に何故か嬉しくも感じる…怒っていいのか…喜んでいいのか…その時の素直なキタノの気持ちに思える様なセリフである。

エヴァンゲリオンでは碇シンジ君は答えとして『笑えばいいと思うよ』と返している。そう…笑えばいいのだと思う

軍師かんべえ

キタノが描いた絵も怖かったが…後ろの黒板に書かれていた生徒の名前に赤線が引っ張られている細かい演出も恐いんですけど…

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とにかく徹頭徹尾で怖い演出がされている『バトル・ロワイアル』。公開された2000年は私自身はとうに15歳を超えていたのでプログラム対象外の年齢になっていました。

R15という事でプログラム対象年齢の少年少女は観る事ができないが…もし鑑賞したならばどういう気持ちになるのだろうか。相当な恐怖を植え付けられるのかもしれません。

さっきまで仲良く遊んでいた親友と殺し合いをさせられてしまうのです。このようなバイオレンスの極限と思われる設定でも深作欣二にかかればテーマ性の強いメッセージが込められてしまう。

決して本作は暴力を肯定している作品ではありません。子供たちに厳しい世の中で生き抜いていく事を…困難な事でも挑戦していく事を…愛している者を守り続ける事を…『がんばれ』というメッセージをのせて応援している作品なのである。

確かにやり過ぎてはいたが(笑)それでも本作を恐いと感じるのは私も同じで…特に最初の犠牲者2人の印象が強すぎました。

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『今日は皆さんに…ちょっと殺し合いをしてもらいます』というキタノの突然の言葉に戸惑う生徒たち。中には何かの冗談だろう…と疑う中でこれから本当にクラス同士の『殺し合い』が行われていく…という現実を強制的に感じさせる一瞬が最初の犠牲者でもありました。

生徒たちの表情が一気に変わっていく様子が見事に表されていました。ちなみにハッキリと記憶にあるのだが映画館で『マジかよ』って思わず呟いてしまい隣の人がコッチを見たの覚えています。

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2番目の犠牲者となったのが七原の親友であった国信君のシーン。首輪に爆弾が仕掛けられているという説明のために殺されていしまった可哀そうな国信君なのだが…爆弾が起動した時の他の生徒たちの村八分感の対応に相当に恐怖を感じてしまった。

たしかに誘発して自分の爆弾も爆発してしまったらタマらないのも理解できるが…どこかコロナに感染した人に対し差別的な言動をしていた少し前の現象を思い出してしまいました。

この初っ端の犠牲者2人で一気に映画が締まった感があり館内に本当に殺し合うんだ…という緊張感が走ったのを記憶しています。

ただ…一つだけ本作に対し『えっ?おかしくない』って思った事がバトル・ロワイアル法って過去に何回か取り行われているはずで…川田が3年前の優勝者という事は必然的に今回は4大会目以上になるはず…

しかも冒頭で昨年の優勝した少女が報道陣に囲まれていた事から世間的にバトル・ロワイアルという殺し合いを知らない訳がないのに…なぜか城岩中学3年B組は誰も存在自体を知らないのである。

『えっ?あのプログラムに私たち参加させられたの…』ではなく『何ですか?バトル・ロワイアルって』どんだけニュースを観てないんですか!今の中学生は…って所でオツカレっす!

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