『バトル・ロワイアル』を100倍楽しもう

おはこんばんちわ(-ω-)/
管理人軍師かんべえです。
鑑賞前の予備知識!映画はもっと面白くなる。今回の作品はコチラ!
『バトル・ロワイアル』を鑑賞されている方は
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目次
バトル・ロワイアル

今日は皆さんに…
ちょっと殺し合いをしてもらいます
2000年:日本公開 監督:深作欣二 脚本:深作健太 原作:高見広春『バトル・ロワイアル』 製作:片岡公生、深作健太 製作総指揮:高野育郎 出演者:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明 柴咲コウ、安藤政信、北野武 他 音楽:天野正道 主題歌:Dragon Ash『静かな日々の階段を』 撮影:柳島克己 編集:阿部浩英 配給:東映
2000年に公開された『バトル・ロワイアル』監督である深作欣二が日本映画界に叩きつけた挑戦状とも呼べる映画作品。原作は高見広春の同名小説『バトル・ロワイアル』を映画化。
中学生同士が最後の一人になるまで殺し合いをするという道徳的にも倫理的にも欠けた内容であった事から第5回ホラー小説大賞の最終候補まで残ったものの審査員を務めていた荒俣宏、高橋克彦、林真理子から『非常に不愉快』『こういう事を考える作者が嫌い』『賞のためには絶対にマイナス』など酷評を買ったことで受賞を逃がしてしまう…が逆に落選させられた事が作品に対して良い宣伝効果となってしまった。
中学生同士が殺し合うという設定を映画化したのが『仁義なき戦い』『蒲田行進曲』『里見八犬伝』など多くの名作をこの世に生み出してきた深作欣二監督。
監督自身が中学3年生時に体験した太平洋戦争での『国家への不信感』や『大人への憎しみ』が本作を撮るキッカケとなったと語っている。
ただ…いくら名監督であっても…内容が内容なだけに映画化されるまでのプロセスは相当に厳しいものがあったみたいだ。
配給元の東映からは企画書の段階で『NO』と判断され『物騒なものを撮るんじゃねぇ』と一喝されたと脚本・製作総指揮を担当していた息子の深作健太が語っている。
当時映画営業部門の担当であった岡田裕介(現東映会長)からは『3億円の予算の半分は出すから…残りは自分たちで集めてこい』という条件で映画『バトル・ロワイアル』の撮影が始動したとのこと。
紆余曲折を経て撮影に入ったのだが…公開直前にまたしても一波乱が起きてしまう。
公開の是非に対して国会で議題に上がってしまったのである。結果として中学生以下は鑑賞できないというR15指定という条件で公開が可能となったのだがココでも騒ぎがニュースで報道された事が良い宣伝効果となり…年齢制限がかかっていながら興行収入31億円を超える大ヒットを記録する…しかし皮肉にも中学生に対しメッセージを送った作品であるのに中学生が鑑賞できないという事態になってしまった。
大ヒットを受け2003年には続編の『バトル・ロワイアルⅡ』が公開される事となったが…同年、深作欣二監督は前立腺がんによりこの世を去ってしまう。この『バトル・ロワイアル』シリーズが監督の遺作となってしまった
この作品を通して深作欣二が鑑賞する事ができない中学生に伝えたかったメッセージとは…また成人した大人に感じて欲しかった事とは…少しの知識だけで映画はもっと面白くなる!『バトル・ロワイアル 』を100倍楽しもう!

運よくマスコミが騒いだ事で爆発的にヒットした『バトル・ロワイアル』今だに継続的に人気があるのは内容の素晴らしさやメッセージ性の高さによるものだと私は思っている
『バトル・ロワイアル』を鑑賞されている方は
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新世紀教育改革法(BR法)
『バトル・ロワイアル』が公開されたのは2000年。今となっては遠い過去になりつつあるが…実は2000年の流行語大賞に『キレる17歳』という言葉がノミネートされていた…という事を覚えているでしょうか。
2000年という年は17歳前後の少年による凶悪犯罪が頻発した年でもあった事から皮肉めいた流行語が生まれてしまいました。
豊川市主婦殺人事件や西鉄バスジャック事件、大分一家6人殺傷事件など…少年たちの犯行理由は『キレたから…』では被害者は浮かばれないし…残された者もたまったものではない。
ただ2000年になって急に少年犯罪が増えた訳ではなく…いつの時代からか年々と犯罪件数も増えている上に犯行も凶悪化もしてきている。
私が記憶する中で最もインパクトのあったのは1988年に起きた女子高生コンクリート詰め殺人事件。説明するだけで反吐が出そうになる事件だっただけに概要は各自で調べて欲しい。他にも1997年に起きた酒鬼薔薇聖斗(さかきばらせいと)の名で世間を騒がせた神戸児童連続殺人事件。
いずれにしろ犯行を行ったのは未成年であるため少年法が適用されていて今では普通に社会復帰しているのかもしれません。そんな凶悪化する少年犯罪に一石を投じたのが…新世紀教育改革法で通称BR法なのである。
コンピューターで管理された脱出不可能な無人島で中学3年生の1クラスが最後の一人になるまで殺し合いをするというのがBR法。
色々と細かいルールはあるがコレは最後の一人を決めるために必要な合理的なルール。
では…なぜBR法という中学生同士が殺し合う事を国の法案として可決したのか…
『大人をナメてんじゃねぇ』
全てこの言葉に集約されています。少年少女たちは20歳になるまで少年法という法律によって守られています。※2022年4月1日から少年法の改正が施行されています。
もちろん特例はあるが人を殺めたとしても重い罰を背負わされる事は殆どありません。この甘すぎる少年法が子供たちの犯罪をより凶悪化させ増長させてきた原因になった事は事実でしょう。
BR法は今後の未成年犯罪に対する抑止力という考えで施行された法案で対象となったクラスは残念ながら人柱(生贄)という事になってしまいます。もちろん最後まで生き残った勝者だけは家に帰れる事になるのだが…
城岩中学3年B組40名+転校生2名の中で最後まで生き残るのは果たして誰なのか…

北野武のサイコじみた演技がヤバすぎるくらいに恐いんですよ。

城岩中学3年B組
BR法の対象クラスとして選ばれた城岩中学3年B組の40名の生徒たちに転校生2名を加えた計42名で生き残りを懸けたデスゲームが遂に開始される。
2000年公開時にはまだ無名であった生徒役を演じていた若手俳優たちも今ではハリウッドスターもいれば大河ドラマで主役を演じる有名俳優もいるし…政治家になった者もいます。本作『バトル・ロワイアル』でメインとなる生徒をココでは紹介していきましょう。
七原秋也

本作の主人公である七原秋也を演じたのは演出家の蜷川幸雄に見いだされ『カイジ』などの多くの作品で主演を務めてきた藤原竜也。本作が映画初出演であり初主演でもある。
母親が蒸発し父親も自殺したことで施設に送られ天涯孤独の身となってしまう。
しかし学校ではクラスの中心的存在で正義感も強く皆に頼られている存在でありイケメンなので当たり前なのだが…非常にモテるキャラです。
クラスメイトの中川典子とは交際まで至っていないがお互いに意識し合っている仲である。
中川典子

本作のヒロインでもある中川典子を演じたのは実姉でもある前田愛と共に当時は子役として『チャイドル』とも呼ばれ幅広く芸能活動をしていた前田亜季。
どこにでもいそうで…中々いない…といった可愛いタイプの女の子で個人的に好きか嫌いかでいうと好きの部類に入ってしまう(笑)
役柄として男子から人気はあるが女生徒からはイジメられているという何か非常にリアルな設定。しかしクラス一の美少女の相馬光子を抑えてなんと3人の男性から想いを寄せられているという超人気者。
三村信史

七原の親友であった三村信史を演じていたのは現在は俳優として活躍している塚本高史。
一見ヤンキーなのかな?と思うような茶髪ツンツン頭でピアスをしている少年なのだがコンピューターに関しては大人顔負けの実力の持ち主。
更に運動神経も良く叔父が世界の戦場を飛び回っている事から中学生とは思えない知識を持っている。
公開当時は塚本高史は無名であったため見直した時に『出ていたんだ…』と最もビックリした人物である。
相馬光子

城岩中学最強女子でニキータ並みの殺人術で次々と男を抹殺していった恐怖の相馬光子を演じたのは今や主演女優として映画にドラマにと大活躍をしている柴咲コウ。
元ヤンという噂は本当なのかガセなのかは分からないが少なからず本作で魅せた相馬光子の目はヤクザ以上にギラギラしていた。
幼少の頃に人を殺めているブラックな過去があるためか…どこかクラスの輪の中から一歩引いている様な感じではあるが本当は寂しいのかもしれない
千草貴子

中学陸上で有名選手という設定なのか…こんな状況でも練習を欠かさずに島を走っている空気が読めない…ではなく読まない系女子の千草貴子を演じたのは本作でタランティーノの目に留まり2003年『キル・ビル』でハリウッド進出をした栗山千明。
その後も海外でも日本でも活動の幅を広げていき…趣味であるアニメが高じて機動戦士ガンダムUCの主題歌歌手としても起用されている。
川田章吾

どうみても中学生とは思えないのは当たり前で…3年前のバトルロワイアル優勝者という設定で現在は高校2年生という事になる
それでも高校生には見えない川田章吾を演じたのは今は政治家になってしまった山本太郎(当時25歳)。
謎の転校生という七原たちの敵なのか…味方なのかは一切不明であるが本作のキーパーソンになる事は間違いないだろう。ビートたけしと共演となった本作は私たち世代になるとどうしても『めろりんQ』が頭をよぎってしまう。知らない方はぜひググってみて下さい。
桐山和雄

川田以上にありえない中学3年生の桐山和雄を演じたのはイケメン俳優の安藤政信。
深作欣二作品に惚れ込み自ら出演交渉した際に桐山役を頼み込んだと本人が語っていました。
『こんな中学生は絶対に嫌だ』といった大喜利をしているかのような恐怖のキャラクター設定。見た目通り危険な人物で川田同様に転校生ではあるが存在自体は川田以上に謎となっている。絶対に目を合わせたくない中学生である。

紹介した7人の画像…4人が武器を持っていて、1人が大怪我、そして1人が目から血が出ているキチガイ…まともな画像は三村君だけ(笑)
キタノ

生徒以上に異質な存在感を放っていたのが1年生時にこのクラスの担任を務めていた『キタノ』。
この学校はクラス替えはないのか…というツッコミはさておき『キタノ』の名前が『タケシ』なのかは明かされていないが…おそらく『キタノ・タケシ』でいいのでしょう。
一人の教師としても…一人の親としても…気弱な性格だったのか担任時代は生徒からナメられていたみたいで…更に実の娘からも気嫌いされていました。
BR法を使って生意気な子供たちに復讐をしているのか…時折見せる不気味な笑みはどんなホラー映画よりも恐怖でしかありませんでした。
ただ『キタノ』は復讐のためだけに3年B組の生徒たちをBR法に当て嵌めたのでしょうか…『七原秋也』目線で本作を楽しむのもアリですが…『キタノ』目線で本作を鑑賞するのもアリかもしれません。特に成人した人には『キタノ』目線をオススメします。

もしかして…バトル・ロワイアルの主人公は『キタノ』なのかもしれませんね。

新世紀エヴァンゲリオン
1995年に放送された『新世紀エヴァンゲリオン』2021年に劇場版4作目『シン・エヴァンゲリオン』で遂に完結。根強い人気を誇りファンの間では20年以上も考察が繰り返し行われるほど特にラストは謎めいた内容になっている。
世界中でエヴァを信望する者が多く…製作総指揮を務めた息子の深作健太もその一人で『こういうのが売れる』といって監督でもあり父親でもある深作欣二にエヴァのアニメを全話見せたらしい。
その結果 本作はエヴァのオマージュがかなりされていて…分かりやすい所でいうとバトルロワイアルの説明VTRに出演している女性はエヴァンゲリオンで人気キャラであった惣流・アスカ・ラングレーの声を担当した宮村優子が務めている。
私自身、そんなにエヴァンゲリオンに対し思い入れがある訳ではないが…それでも『なんか…エヴァっぽい演出してるなぁ』と感じてしまうほどなので全く見ていない方は致し方がないが…殆どの方は私と同じ感覚に…いやそれ以上に陥ってしまうのではないでしょうか
宮村優子の出演以外にもオマージュされている箇所はたくさんあるので是非気にかけて見るのも面白いかもしれませんね。

ガンダムなら詳しいのになぁ…


『バトル・ロワイアル』を楽しむポイント

『バイオレンスの巨匠』と謳われた深作欣二が最後の遺作として残した作品が『バトル・ロワイアル』。
年齢制限がかかってしまうほど残酷な内容となっている上にゴア描写も満載の作品なのだが…もちろん人によって好き嫌いがハッキリ分かれる作品だということは充分に承知している。
その上で楽しむポイントをあげるならバイオレンス映画というフィルターを外した時にこそ監督・深作欣二が本作で伝えたかったメッセージが浮かびあがってくる作品となっている。
有名なエピソードであるが…2000年の公開直前に国会で議題に挙がった時に『バトル・ロワイアル』を国会で上映したとの事。そして上映終了後に一部の議員から盛大な拍手が送られていたみたいで…『分かる奴には俺の伝えたかった事が分かるみたいだ』と監督は口に溢していたみたいだ。
多感な時期に戦争を経験した深作欣二だけに戦争経験のない私たちとは違い理不尽な暴力に対して違った角度から表現できるのでしょう。少しの知識だけで映画はもっと面白くなる!『バトル・ロワイアル 』を100倍楽しもう!
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それでは素敵な映画の世界へ行ってらっしゃいませ
