『リアル・スティール』をモーっと楽しもう

軍師かんべえ

おかえりなさいませ(*- -)ペコリ
『リアル・スティール』
徹底解析 完全ネタバレとなっております
賞前のお客様はご遠慮下さいませ

本記事は 『リアル・スティール』 の感想レビューとなっておりネタバレが含まれております。
本編未鑑賞の方は予備知識編『100倍楽しもう』の記事をご確認の上で再度お越しください

リアル・スティール

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2011年:アメリカ公開、日本公開
監督:ショーン・レヴィ
脚本:ジョン・ゲイティンズ
原案:ダン・ギルロイ、ジェレミー・レヴェン
原作:リチャード・マスシン『四角い墓場』
製作:ショーン・レヴィ、スーザン・モントフォード
   ドン・マーフィー、ロバート・ゼメキス
製作総指揮:ダン・リン、ジョシュ・マクラグレン
      メアリー・マクラグレン、スティーヴン・スピルバーグ 他
出演者:ヒュー・ジャックマン、ダコタ・ゴヨ 他
音楽:ダニー・エルフマン
撮影:マウロ・フィオーレ
編集:ディーン・ジマーマン
製作会社:ドリームワークス
     リライアンス・エンターテインメント
     21ラップ 他
配給:タッチストーン・ピクチャーズ
   ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ

2011年に映画化された『リアル・スティール』は1956年のリチャード・マシスンの短編小説『四角い墓場』が原作とされています。近未来の世界では人間ではなくロボットにボクシングさせているという全く同じ設定なのだがストーリーは原作の『四角い墓場』の方がかなり陰湿となっている。

試合前に突然に壊れてしまったロボットの代わりにマネージャーがロボットの中に入り試合をしたことでボコボコになりながらもファイトマネーを貰う…という『なんのこっちゃ』と言うような物語。

実は既にオムニバス形式の『トワイライトゾーン』というテレビ番組でドラマ化されているとのこと。

原作もドラマも陰湿な物語ではあるがスティーヴン・スピルバーグの手に掛かれば感動の親子再生物語に変貌するのだから映画の可能性にただ脱帽するしかありません。

ボクシングを通じて親子の絆を深め合う映画といえば1979年の『チャンプ』や1985年『ロッキーⅣ』を連想してしまいますし…親子がトラックに乗って旅をするロードムービーは1987年『オーバー・ザ・トップ』。他にも親子の絆という点だけをみれば1979年『クレイマー、クレイマー』などなど…

『リアル・スティール』は『四角い墓場』をベースに…更に多くの感動超大作映画のオマージュから成り立っている映画だと私は感じました。

『リアル・スティール』はどこかで見た事のある既視感の様なシーンが多々ありますが…なぜか新鮮で目新しく感じてしまうのは ただ模倣しているだけではなく『リアル・スティール』の世界観にしっかりと落とし込んでいるからだと私は思いました。

試合後にリングにマスコミがなだれ込み…息子のマックスと抱き合うシーンなんかモロに『ロッキー』じゃないですか…何度も見ているパターンなのですが何故か涙腺が緩んでしまう

コレは水戸黄門の印籠と同じ現象なのかもしれませんね…といったようにココでは『リアル・スティール』を既に鑑賞しているという前提で記事を作成しております。ネタバレ注意となっておりますのでご了承ください

軍師かんべえ

『四角い墓場』のテレビドラマを探しているのですが…無いっすね

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ATOM

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一世代前の練習用スパーリング・ロボットとして開発されたATOM。おそらく動くサンドバック用として扱われていたのか容姿はかなりボコボコになっている。

誇れるのは数々のスパーリングを耐えれるだけの強度だけかと誰もが思っていたがATOMには模倣機能とAI機能という他のロボットには搭載されていない強みがあったのです。

更にマックスが壊れてしまったアンブッシュやノイジーボーイの部品をATOMにカスタマイズしたことで音声入力機能まで搭載されることになる。

劇中ではサラッと流していたが…とんでもない機能をATOMにカスタムしたことで一気にパワーアップすることになっていました。

そして最後にパワーアップのスパイスとなったのが…チャーリー・ケントンなのである。

AI機能と模倣機能

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他のロボットには付いていないAI機能と模倣機能。ココからは私の邪推となるのだが…基本はリモコンで操作するロボットの練習用パートナーとあってATOMだけに搭載された機能なのでしょう。

サンドバックみたいにただ殴られるのではなく回避をした方がより本番に近い練習ができます。おそらくATOMの側には模倣する人間がいて相手の動きに合わせて回避していたのではないでしょうか…そのための模倣機能だったのでしょう。

更にAI機能は模倣させる人間側の負担を軽減するための機能で…最終的には人間がいなくてもAI機能が働き勝手に防御していたのかもしれません。

どちらにしてもATOMには模倣機能とAI機能が搭載していたという事になります。そしてATOMにボクシングの動きを叩きこんだのが…

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元プロボクサーで世界ランキング2位と名勝負を繰り広げた実績を持つチャーリー・ケントン。まさにATOMは本物のボクサーからボクシングの指導を受けAI機能に叩きこんだロボットなのである。

ジャブを一つ撃つにしても理にかなった本物のジャブを撃てる訳なのです。ゼウスのオーナーであるレンコヴァはマックスにATOMを買い取りたいと交渉していました。

レンコヴァの財力を持ってすれば一世代前のロボットはすぐに製造できるのにも関わらずATOMを手に入れたかった理由は…ATOMにインプットされたチャーリーのボクシング技術だったのでしょう。

人間が行っていたボクシングが衰退した事でプロボクサー自体が存在しなくった中でのチャーリー・ケントンの価値は希少だったに違いません。

おそらくマックスは気付いていました。ATOM自身ではなくチャーリーの技術を欲している事を…ただ残念な父親はココでも発動してしまいチャーリーは自分自身の価値に気付いていなかったのです。

軍師かんべえ

いくら技術が進歩しても偽物は本物には勝てないという事なのでしょうか…本物を目指しましょう

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The secret is with me

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頭を使わない感動系スポ根映画の『リアル・スティール』の中でラストにマックスのセリフの『The secret is with me』の解釈の考察が映画マニアの中で繰り返し行われています。

字幕では『秘密は守るから』となっていますが…実は たいして難しい解釈は必要ないのである。

では何故こうも考察されてきたかと言うと単純に字幕が間違っているだけの話なのです。

軍師かんべえ

『ATOMが言葉を理解できるという事は秘密だよ』という解釈が多いみたいですね。

秘密は守るから

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『The secret is with me』というセリフは中盤でマックスが『ATOM 言葉が分かるの?心配しないで秘密は守るから…』と同じセリフを使っていました。

マックスとATOMが初めて心を通い合わせた感動のシーンであり、これ以降は何かとATOMは心を持っているかのような演出がされていました。

話の流れからココのシーンでは『The secret is with me』『秘密は守るから』で正解なのですが…

ラストのシーンではチャーリーが”最初はお金でお前を預かることを決めたが…今はお金なんてどうでもいい…お前は俺の息子なんだ…”という言葉が続きそうな告白をマックスが遮っての『The secret is with me』なのである。

文脈を見た時に『秘密は守るから』という訳し方は不自然だと思いませんか…中盤に出てきた同じセリフが使われた事で引っ張られた可能性が高いと私は思いました。

では答えは…実は難しく考える必要はなく吹き替え版では正しく表現されていました。

チャーリー『分かって欲しい この事だけは…俺は…』
マックス『分かってる…分かってるよ…』

『パパの気持ちは全部わかってるよ…』同じセリフではあるが違った解釈なんてよくある事です。

マックスは常に『チャーリー』と呼んでいましたがラストのシーンで初めて『ダディ』と呼びます。

『The secret is with me』というセリフはATOMと初めて心が通じ合い…そしてチャーリーと本物の親子になる事ができた魔法の言葉だったのかもしれません。

軍師かんべえ

『ATOMが言葉が分かる事は内緒だよ』なんて あの感動のラストでブッ込んでくる訳がない(笑)

僕のために…

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お子さんがいる親であるなら『僕のために戦って…』の時に心が揺れたのではないでしょうか…残念ながら私には子供はおろか嫁さんもいないので中々と複雑なシーンとなってしまいました。

劇中でチャーリーは中々とクズっぷりを見せていました。親と云うより人間として間違った生き方をしていました。方々で借金を繰り返す生活をしている上に踏み倒そうともしていましたし…マックスの親権を金で売っていましたし…もしかすると恋人に子供が出来た事が原因で分れたのかもしれません。

チャーリーは都合の悪くなったものは修復しようとはせずにスグに捨てる性格だったのかもしれません。

アンブッシュが牛に壊されればスグに捨て…ノイジーボーイが破壊されれば直そうともせずにスグに部品売りをしていました。マックスが望んでいたものは…ロボットでもなければ…玩具でもありません。チャーリーが僕のために戦ってくれる事だったのです。

ゼウス戦の4ラウンド目はチャーリーはマックスのためだけに戦っていました。

男は愛する者を守る時には恐怖すら克服するのです。親は子供を守る時は勝てないと分かっていたとしても戦うものなのです。

『リアル・スティール』…それは全てこのシーンに集約されていたのかもしれません。本物の愛は『リアル・スティール』(本物の鋼鉄)のように決して崩れる事はないのでしょう…

軍師かんべえ

誰か…僕のために戦ってくれる方いませんか…( ゚Д゚)ハッ!俺が戦う方なのか…

総括

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感動系の映画の中では王道中の展開ではあったが…やはり万国共通で親子の絆という題材はウケるのか…大ヒットとなった『リアル・スティール』。

公開が終了された頃には続編の噂もあったが…どうなったのでしょうか…と思っていたら2022年に監督のショーン・レヴィが『いつも構想は頭にある』といった意味深なコメントをしているが…具体的な話が進んでいる訳ではないので期待せずに待つ事が賢明なのかもしれません。

記事の中でも書いたが過去の『親子の絆』を扱った名作のオマージュがされている作品だが『リアル・スティール』ならではの演出もされていました。

考えてみれば当たり前の事なのだが不思議とされてていない演出…

チャーリーとマックス…親子という設定なのだから当たり前なのだが非常に二人は似ているのである。

チャーリーがノイジーボーイで会場入りした時はイケイケのチャーリーに対しマックスは慎重に事を進めるよう助言していたのが…マックスがATOMを使い出すとマックスがイケイケドンドンになってしまいチャーリーが慎重派になってしまい立ち位置が逆転してしまうのである。

更に二人共に頑固で一度言い出した事は最期まで曲げない性格…普通に考えれば親子なのだから当たり前の演出なのだが…あまり見た事がない演出でした。

そして最後にATOMの電源オフ状態が夜中にソフトバンクSHOPで見た電源の入っていない脱力したペッパー君に似ていました…って所でオツカレっす!

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