『レミニセンス』をモーっと楽しもう
おかえりなさいませ(*- -)ペコリ
『レミニセンス』の
徹底解析 完全ネタバレとなっております
賞前のお客様はご遠慮下さいませ
本記事は 『レミニセンス』 の感想レビューとなっておりネタバレが含まれております。
本編未鑑賞の方は予備知識編『100倍楽しもう』の記事をご確認の上で再度お越しください
目次
レミニセンス
2021年:アメリカ公開、日本公開 監督:リサ・ジョイ 脚本:リサジョイ 製作:ジョナサン・ローラン、リサ・ジョイ マイケル・デ・ルカ、アーロン・ライダー 出演:ヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガソン ダンディ・ニュートン、ダニエル・ウー 他 音楽:ラミン・ジャヴァディ 撮影:ポール・キャメロン 編集:マーク・ヨシカワ 製作会社:キルター・フィルム マイケル・デ・ルカプロダクションズ 他 配給:ワーナーブラザース・ピクチャーズ
2021年にSF超大作と期待され公開された『レミニセンス』。クリストファー・ノーランの実弟であるジョナサン・ノーランが製作に携わり、監督は義理の妹(ジョナサンの妻)のリサ・ジョイ。記憶潜入というワードからイメージされたのは『インセプション』。しかし蓋をあければ近未来というSF設定ではあるが描かれていたのは1940~50年代に多く作られていた犯罪映画『フィルム・ノワール』。この期待値の落差から評価は芳しくなく興行的にも大失敗となっている。しかし『インセプション』という先入観を取り除くと…コレが中々と見応え十分な現代版フィルム・ノワール…いや敢えて『SFノワール』と呼ばせて貰いましょう…本作が素晴らしい作品であることに気付かさせられてしまいます。
未だにウルヴァリンのイメージが強いヒュー・ジャックマンが本作では一人の女性をストーカーのように追っかけている姿に対し酷評を受ける事になったが…そもそも『ノワール』というジャンルであるのなら妖艶な女性に振り回され犯罪に巻き込まれる…という定義にはピタリと当て嵌っている。ただ予告で世界を救う的な触れ込みで宣伝されていたのが非常にマズかった…SFサスペンス映画として括ってしまうと物足りなさを感じてしまうがSFラブ・ロマンスと括れば程よいサスペンス要素に程よいアクション要素…そして十分なラブ・ロマンスと心は満たされていたはずである…といったようにココでは『レミニセンス』を既に鑑賞しているという前提で記事を作成しております。ネタバレ注意となっておりますのでご了承ください
レベッカ・ファーガソンの画像なら15分…動画なら1時間以上は我を忘れて見続ける事ができるだけに…出演作品なら何度でも永遠に見続けれる自信はあります( ゚Д゚)ハッ
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SFノワール
そもそも『SFノワール』なんて言葉は存在しない…本作が近未来を舞台に『フィルム・ノワール』を描いていたので『SFノワール』という言葉を勝手に造っただけで深い意味はない。時代設定は世界的な戦争が終焉したばかりの近未来が舞台となっていて、戦後の爪痕が残る雰囲気は街の映像でも映し出されていました。まさにフィルム・ノワールは第二次世界大戦中もしくは大戦後に多く作られていたので『戦後』という時代に合わせてきたのか…どことなく街の雰囲気は1950年代のアメリカを匂わせていました。
同じ『戦後』という設定であってもフィルム・ノワールのアメリカは復興と共に未来に希望が見える明るい時代であった…とは逆に『レミニセンス』の戦後は人々は未来に絶望し、過去にすがるしか喜びを見いだせない時代であった。過去の思い出に浸るしかできない人類に対してのメタファーが水没した都市マイアミだった訳です。
水没都市マイアミ
オープニングで流れた水没都市マイアミの映像。パッと見は幻想的な街並みにヴェネチアを彷彿させる水上都市のように見えるが…クローズアップされると過酷な環境の中で人類は生活していた事が伺えます。度重なる戦争と環境破壊の影響で地球は温暖化が進み海面が上昇。アメリカ南部のマイアミがこういう状態なら中央部はどうなっているのか…人類に未来はない…という設定から海面上昇はまだ途中段階と考えた方がよいのかもしれません。
この地獄とも云える環境の中でも生まれるのは『貧富の差』である。多くの人間は海面とギリギリの中で生活をしているのに対し富裕層は防波堤でしっかりと水の浸食を防いでいる『土地』という場所で暮らしている。富裕層も貧困層も心は街同様に荒廃しきっていて、いつ自分も水の中に沈んでしまうのか明日はどうなってしまうのか…という世界観が『レミニセンス』での基本設定なのである。
ファム・ファタール
フィルム・ノワールで欠かせないのが主人公を惑わし犯罪に巻き込んでいく謎の美女の存在。もちろんSFノワールでもレベッカ・ファーガソンが演じたメイがファム・ファタールにあたります。メイはニューオリンズで麻薬組織に関わり薬漬けの生活を送るがマイアミに逃亡。しかし昔の仲間に出会った事で犯罪に関わっていく無限ループにハマってしまう。そんな状況で出会うのが潜入捜査官のニック…
曇りなき眼(まなこ)で…と思わず『もののけ姫』のフレーズを想い出すほどの『一目惚れ』しました演出。ココからニックは暴走モードに突入してしまう…ヒュー・ジャックマンほどのイケメンに猛烈なATTACKをされたら女性心理としては嬉しいものなのか…。ドライな恋愛しかしてこなかった人には響かないのかもしれませんが…殆どの人がニックの気持ちに共感できたのではないでしょうか…
本作の最大の見せ場でもあったレミニセンス装置を使ってのニックとメイの再開シーン。なるほどコレを演出したかったから主観映像ではなくホロスコープにしたのか…と邪推してしまうほどにウットリしてしまう名シーン。レミニセンスのファム・ファタールは謎に包まれた美女という点ではフィルム・ノワールと変わらないがニックと出会う事で真実の愛を手に入れる事ができたという点は現代版ノワールという事なのか…命を落とす事になってしまうが果たして、それが彼女にとってバッドエンドなのか…ハッピーエンドなのか…は後ほど語っていくとしましょう
ハートのクイーン
オープニングでトランプのハートのクイーンをニックが拾い上げるカットがあり…エンディング間際では落ちてるハートのクイーンをニックは拾い上げない…といった対照的なカットがあります。ハートのクイーンというイメージからメイを連想しがちなのですが…私の考察では…
ハートのクイーンで私が連想したのが不思議の国のアリスに登場するハートの女王。些細の事で激昂して『首をはねろ!』と死刑宣告する不思議の国の独裁政治を行っていた女王。つまり恐怖の象徴でもある。近未来のマイアミは見えない明日という恐怖が街を支配していた。しかし富豪のセバスチャン・シルヴァンの不正行為によって人々は再び奮起し街が暴徒化してしまうのである
この暴動は何を意味するのか…生きる事に無関心、未来に絶望しか持っていない人間が暴動を起こすだろうか…暴力によって物事を解決する方法は認めないが、この行為は再び未来に希望を持った人間だからこそ起こした行動という意味に捉える事ができます。ニックがカードを拾い上げなかったのは…ハートの女王が支配していた恐怖は人々から消え去り過去ではなく未来を見据えた生き方を選んだことを意味していたのではないでしょうか…
アリスの女王まで飛んでしまうのは考えすぎか…でも思いついたんだから仕方がないでしょ!
ハッピーエンド
『物語を聞かせて…ハッピーエンドがいい…』
『幸せな物語は必ず悲しい結末になる…』
『じゃあ幸せの最中に終わる話を…』
果たしてニックとメイの物語はハッピーエンドなのか…バッドエンドなのか…それは『貴方がどう感じたのか』なんて鑑賞者に答えを委ねるパターンではなくハッキリと明確に答えは出ている『ハッピーエンド』に決まっている。なぜなら『幸せの最中に終わる話を…』とメイは頼んでいました。この後、二人はどうなったのか?という話は描かれる事はありません。ニックはレミニセンスの装置でエンドレスにこの物語を見ていく事になります。哀しい物語でもあり…愛しい物語でもある…しかしこの物語は間違いなくハッピーエンドなのである
オルフェウス
旅する英雄オルフェウスは、この世で最も有名な音楽家でもあった。オルフェウスには最愛の女性エウリュディケがいましたが毒蛇に噛まれ命を落としてしまいます。絶望したオルフェウスは冥界にいるハデスの元に迎いエウリュディケを生き返らせてもらえるよう頼み込むのですが…ハデスは一つの条件を出してくるのです。それは地上に出るまでは決して振り返らない事…しかしオルフェウスはエウリュディケが自分の後を本当に付いて来ているのかが気になり思わず振り返ってしまうのです。エウリュディケは泣きながら姿を消していったのです…
私も物語の内容は詳しく知らなかったのだが…何となく聴いた事のある話であった。しかし物語はまだ続きがあるのを知っていたでしょうか…
愛するエウリュディケ を失ったオルフェウスは地上に戻りオルフェウス教を広め始めました。これに怒ったディオニューソスはオルフェウスを八つ裂きにしてしまい冥界に落としてしまいます。そしてオルフェウスは冥界で再びエウリュディケに再開し幸せに暮らしました…
レミニセンスの物語自体がオルフェウスとエウリュディケの恋物語であることに気付かされました。ニックは過去を振り返る事で最愛のメイと記憶という冥界の中で永劫に暮らす事ができた…という物語だったのです。
過去と未来
レミニセンス装置で人々に過去の記憶を見せる商売をしていたニックとワッツだが対照的な結末を選択するのであった…ニックの未来は記憶の中にあるメイの存在でしかなく過去の中にある未来を見据えていました。そしてワッツは失いかけた家族を取り戻すために未来に生きる事を決意します。選んだ道は違うけれどもお互いに正しい選択をした・・・という結末を迎えます。そしてニックもワッツも心からの笑顔を見せ…この物語は終わるのです。
SFとかノーランとかインセプションとか関係ないですよね…真実の愛を追い求めたラブ・ロマンス映画として見れば見応え十分な内容なのではないでしょうか…
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記憶潜入の恐怖
ココからは個人的な妄想が暴発する中二病ゾーンとなるのだが…レミニセンス装置で記憶を探っていくというSF設定ではあるが、どことなく微妙に実現性を感じていないでしょうか。もしかすると近い形のものが存在する可能性もある。機械ではなく薬という可能性も…こうなってくると個人情報とかプライバシーなんてものは意味を要さなくなってしまう。例えるなら断片的な思い出や感情をTwitterなどに挙げているが…それだけを見れば単なる『呟き』となる…しかし断片的なツイートが纏まった時にはその人の『情報』が見えてくるのである。どの地域に住んでいるのか…どのような物が好みなのか…家族構成は…などなど。コレって非常に恐くありませんか。もしレミニセンスが実現するようなら一瞬で個人情報は盗み見が出来るのである。もしかすると本作は未来への警鐘なのかもしれませんね
無限列車
レミニセンスを見て思い出したのが『鬼滅の刃 無限列車編』自分が最も楽しかった過去にすがっていく恐ろしさが無限列車編の中では描かれている。最も楽しい出来事だけに過去から抜け出したくないのである。過去には中毒性がある…と本編でも語られている様に振り返りすぎるのは良くない事なのかもしれない…煉獄さ-ん!!
最後の『無限列車』の下り…急遽足したが…要らないなぁ(笑)
総括
SFドラマ『ウエストワールド』で製作総指揮に携わっていたリサ・ジョイとジョナサン・ノーランが手掛けた映画だけに色々な所で演出が仕掛けられている。こういうのって公表しないのかね…といつも思ってしまう…気付かなければ埋もれてしまうだけに、どっかの映画オタクがドヤ顔でブログに載せるのをただ待つだけになってしまう。そんな映画オタクが気付いた本作の仕掛けが…
本作を見れる方は確認して欲しいのだがタイトルが出る少し前とエンディングロールが流れる少し前に『カチッ』とボタンを押すような音が聞こえていたのはご存知だろうか…何かを起動させる時のボタン音と停止させるためのボタン音だとしたら…って今どき『カチッ』と音のするボタンかよ!というツッコミは置いておくとして、本作自体がニックが何度も観ている記憶だとしたら…って所でオツカレっす!