『ウトヤ島、7月22日』をモーっと楽しもう

軍師かんべえ

おかえりなさいませ(*- -)ペコリ
『ウトヤ島、7月22日』
徹底解析 完全ネタバレとなっております
賞前のお客様はご遠慮下さいませ

本記事は 『ウトヤ島、7月22日』 の感想レビューとなっておりネタバレが含まれております。
本編未鑑賞の方は予備知識編『100倍楽しもう』の記事をご確認の上で再度お越しください

ウトヤ島、7月22日

https://mirtomo.com/utoya-22juli/
2018年:ノルウェー公開
2019年:日本公開
監督:エリック・ポッペ
脚本:ジウ・ラジェンドラム・エリアセン
   アンナ・バッヘ=ヴィ―ク
制作:フィン・イェンドルム
   スタイン・B・クワエ
制作総指揮:スタイン・B・クワエ
      フィン・イェンドルム、エリック・ポッペ
出演者:アンドレア・ベルンチェン、アレクサンデル・ホルメン
    ブレーデ・フリスタット 他
撮影:マルティン・オッテルベック
製作会社:Paradox Film 7
配給:東京テアトル(日本)

2011年7月22日、ノルウェーのウトヤ島で実際に起きた銃乱射事件をワンカットで映像化。ジャンルとしてはパニック映画という括りになってしまうがメッセージ性が強い社会派映画の一面もある作品。演出で注目したのが全編『ワンカット』の撮影技法をとっていたこと。『ワンカット』は現場での臨場感や役者たちの緊張感が観客にダイレクトに伝わる効果がある。まるで主人公と一緒に行動しているかのような没入感が味わえてしまう。リアルに事件を演出していた事はエンターテイメントとしては非常に良いのだが事件発生から僅か7年で映画化されたという期間は当事者達が傷を癒すにはあまりにも短い気がしてしまい本当に大丈夫なのか…とさえ危惧してしまう。ただ短期間での映画化は犯人のブレイビクの刑の軽さが理由ではないかでしょうか…77人も殺害したのにも関わらず僅か21年の禁固刑だけという判決が下されている。この罰には納得がいかない

https://news.yahoo.co.jp/byline/abumiasaki/20190319-00118751

犯行動機は法廷で自分の主張を聞き入れて貰うためだけ…という理由だけで77人の罪のない人たちを殺害している。このクソみたいな男が映画の中で銃を乱射しまくっているのだが…作中でブレイビクは殆ど登場してくることはありません。誰が何の目的で銃を乱射しているのか…警察なのか、軍人なのか…犯行は何人でやっているのか…島で何が行われているのか全く分からないのである。分からない怖さ、見えない怖さ…というのは恐怖心が倍増するもので、ただ銃声だけが島に響き渡るのだが、どっちの方向から聞こえているのか…近いのか、遠いのか…すら判断できない。本作は観ている我々を2011年7月22日17時のウトヤ島まで強制的に連れていき事件を追体験をさせてくれる…といったようにココでは『ウトヤ島、7月22日』を既に鑑賞しているという前提で記事を作成しております。ネタバレ注意となっておりますのでご了承ください

軍師かんべ

東京ドーム2個分の大きさの島で銃乱射されたら…たまったものじゃない。

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フィクション

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『ウトヤ島、7月22日』の中での主人公カヤ。監督のエリック・ポッペはカヤ自身は特定のモデルとなった人物はいないと語っていて、監督自身が作り出した架空の人物と断言している。これは心の傷が癒えていない犠牲者や生存者に対しての配慮だと思われる。それだけ凄惨な事件であったことが伺えてしまう。ただ監督は多くの生存者からインタビューをしていて事件の状況や当時の心情を聞き出している。映画の中でカヤが体験していたエピソードは監督が作り出したフィクションなのかもしれないし…インタビューから聞き出した体験の再現なのかもしれない…

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本作を鑑賞しながら、かなり嫌悪感を抱いてしまったのが逃げ惑うカヤを『もうコレ以上入れない』と言いながら追い出したシーン。ただ彼等彼女等を僕は責めることは一切できない…もし同じシチュエーションになった時にカヤを必ず助けるという確信が持てないからである。そんな自分に嫌悪感を抱いてしまう。人間は残酷な事も平気でやってしまうものである。ただ日常で似たような事ってありませんか?もちろんココまで極限に追い込まれてはいないが、少し余裕がないだけで人に冷たく当たったり、自己優先になっていたりしていませんか…人は助け合っている姿こそが美しいものですよね…

フィクションの中のノン・フィクション

https://www.youtube.com/watch?v=3a7NdCQRf7I

監督のエリック・ポッペが語るには撮影は月曜から金曜の5日間で行われ、1日ワンテイクで撮っていました。つまり同じ作品を5本分撮影している事になる。最終的に4日目のテイクが公開されたみたいですが…なぜ最終日の5日目のテイクが採用されなかったのかは…主人公のカヤが役に入り込みす過ぎたため5日目になると演じきれなくなっていたらしい、更に他のキャストも犯人に対し怒りを表していたり、恐怖で涙を流すものまで現れていたみたいです。事件を忠実に再現する為に施された演出が過度すぎた事が原因で思ってた以上に俳優達の精神に大きな負荷を与えていたみたいだ。更に映画の中では事件と同じ540発の本物の銃声が鳴り響いていたとのこと。ウトヤ島で繰り広げられた銃乱射事件を5日間も体験してしまった役者たちは精神崩壊に近い状態になっていたみたいです。『ウトヤ島、7月22日』は監督エリック・ポッペが創りだした実際にあった事件をモチーフとしたフィクション映画ではあるが…役者たちにとってはノン・フィクションだったのかもしれません…

軍師かんべえ

冒頭でカヤがカメラ目線で『最後まで聞いて』と訴えかけてきます。この物語はフィクションではありますが、この事件は紛れもないノン・フィクション…だから最後まで目を背けずに観て…と

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カヤという少女

https://dot.asahi.com/print_image/index.html?photo=2019031400038_2&image=2

監督が創りだした架空の人物でもある主人公のカヤ。政治家を目指す意識高い系女子で妹想いのしっかりした女性として設定されていました。最後は犯人に狙撃されるという残酷な終わり方となってしまったため彼女に対して同情せずにはいられない気持ちになってしまうのだが…よくよく考えると面倒臭い奴で…結構な感じでウザいキャラでもある。

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冒頭から姉妹ケンカが勃発してしまう。姉のカヤは正しい事を言っていてダダをこねているのが妹のエミリエ。悪いのは妹の方なのは分かっている。コレは出来の良い兄や姉を持っている弟や妹にしか分からないウザさなのである。。自分が悪いなんて事は本人が一番分かっているのだが、心配そうな感じでこられる態度が何故か自分が劣っているような気がするのである。私もデキの良い兄を持つアホな弟なのでエミリエが持ってしまった姉ウザいの感情が痛いほど分かるのである。

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テロ事件発生直前にやっていた友人との政治論争。現政権がアフガニスタンで戦争加担している事に対してカヤは戦争行為をしているのではなく平和維持活動だと主張。それに対し友人は武器を持って人を殺している訳だから戦争行為だと反論している。これに対してはどっちが正解とかはないのだが…少なくても私は友人と同意見である。全くといって不必要なシーンだと私は思ってしまうのだが使われているのには意味があるのでしょう…なにか政治的なメッセージが込められていたのかもしれません

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カヤは友人たちと身を潜めている時に母親と携帯で話していたり、全員でその場を離れる時も妹を探しに一人で逆のキャンプ場の方に戻るという勝手な行動を取ってしまう。こういった自分勝手な行動が全員を危険な目に合わせてしまうかもしれない…という事は考えていなさそうである。状況が状況だけに無理なのかもしれないがカヤは空気読めない感を連発させているのである。

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なぜ監督のエリック・ポッペはカヤみたいな面倒臭い女の子を主人公にしたのか…そっち系の方が何かしらのハプニングを引き起こしそうなのは演出的に分るが…ホラー映画なら真っ先にヤラれてしまう行動をしている。もしかすると監督は鑑賞している私たちにウトヤ島という閉塞感、見えない犯人という恐怖感、そして主人公の謎の行動という嫌悪感を同時に味合わせる事で不安を掻き立てようとしたのかもしれません。

軍師かんべえ

最期はウザさが増して精神崩壊してしまい…撃たれるという結果に。パニック時には状況判断と冷静さが大切なんですね…

罪の意識

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なぜカヤは終盤になると精神崩壊してしまったのか…目の前で次々と人が死んでいく状況は極限状態といっても過言ではない。過去に味わったことのない恐怖の連続は人が壊れるには十分だったのでしょう。しかもカヤは生真面目な性格であっただけに少年と少女の死は自分のせいだと感じてしまっている。決してカヤのせいではないのだが…2人の死に対し罪の意識が芽生えてしまったのでしょう…

エミリエに重ねていた

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カヤは妹のエミリエを見つけられなかった事で妹が死んだものだと思っていたのかもしれない。重傷の少女を妹と重ねてしまった事で少女の傍から離れられなかったのでしょう。必死の声かけも虚しく少女は次第に冷たくなっていくのである。少女の死からカヤの精神崩壊が徐々に始まっていました。カヤは少女の死は自分のせいだと思い込み…同時に自分のせいで妹を死なせてしまったと…罪の意識を背負ったのかもしれません。

少年の死

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カヤは妹のエミリエをキャンプ場で探す為に少年を置き去りにしてしまいました。別れ際に『黄色いコートは目立つから脱いだ方がいい』と忠告するのだが少年の耳には届いていませんでした。少年が海岸で息絶えている姿を見た時にカヤの精神状態はMAXまで振り切ってしまいます。

この二人の死を目の当たりにした時に罪の意識が芽生えてしまったカヤ。この罪の感情こそが私たちが絶対にこの事件で忘れてはいけない事なのでしょう。悪いのは全て犯行を行ったブレイビクなのである。しかしこの事件で犠牲になった人たちの顔を忘れてはいけない。肩を撃たれた少女の顔を…兄を待っていた少年の顔を…そして77人の命を奪ったこの男の顔を…

軍師かんべえ

少年の死を見た時は…『やめてくれ~』となっちゃいました。まだ小さい子なのに…

総括

https://mirtomo.com/utoya-22juli/

こういったテロ事件を再現したような作品に対して『面白かった』とか『面白くなかった』とかいった評価をするのは非常に不謹慎だと感じてしまう。ただ率直な感想を述べさせて貰うと、鑑賞中は恐怖しか感じず…鑑賞後に色々と事件の事を調べて恐怖が怒りへと変わっていきました。何度も繰り返し見たい映画ではないのだが、人生の中で一度は鑑賞しておくべき作品なのかもしれません。ただワンカットという技法を使っているので乗り物酔いが激しい方は注意が必要です…といっても鑑賞後レビューで言う事ではありませんが…

エリック・ポッペ監督
『事件の全貌を知らない人や今の若者たち、あとはやっぱり生存者の皆さんのために撮りたいと考えた。』

「ウトヤ島、7月22日」エリック・ポッペ×上田慎一郎 対談

事件を風化させてはいけない…生き残った人たちに力強く生きて欲しい…という願いから製作された『ウトヤ島、7月22日』。だからこそリアリティを追求した演出となったのかもしれません。そのリアリティを求め過ぎた結果、最終日の5日目には主演を務めたアンドレアが精神崩壊を起こし演技ができなくなってしまった…というほどである。ワンカットは役者への負担が相当なものだということなのだろう。カメラを止める事ができないという緊張感が事件当日の臨場感に移り変わっていたのかもしれません。そして私が印象に残ったのは偶然だったのでしょうが…カヤの腕に止まった蚊…

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もちろん台本にはない偶然の産物なのだが…蚊がカヤの腕に止まっている…死んだ少女ではなく生きているカヤの血を吸っているのである。『そうだ!お前はまだ生きているんだ!』と言わんばかりの偶然の演出。この偶然を必然に変えているのが本作の魅力だと私は思います…って所でオツカレっす!

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