『ウトヤ島、7月22日』を100倍楽しもう

おはこんばんちわ(-ω-)/
管理人軍師かんべえです。
鑑賞前の予備知識!映画はもっと面白くなる。今回の作品はコチラ!
『ウトヤ島、7月22日』を鑑賞されている方は
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目次
ウトヤ島、7月22日

『わかってるって、気を付けるから
でも、ここはウトヤ島だよ…
世界一安全な場所でしょ』
2018年:ノルウェー公開 2019年:日本公開 監督:エリック・ポッペ 脚本:ジウ・ラジェンドラム・エリアセン アンナ・バッヘ=ヴィ―ク 制作:フィン・イェンドルム スタイン・B・クワエ 制作総指揮:スタイン・B・クワエ フィン・イェンドルム、エリック・ポッペ 出演者:アンドレア・ベルンチェン、アレクサンデル・ホルメン ブレーデ・フリスタット 他 撮影:マルティン・オッテルベック 製作会社:Paradox Film 7 配給:東京テアトル(日本)
2011年7月22日、ノルウェーで連続テロ事件が発生。77人の犠牲者が出た世界で最も凄惨といえる事件を映画化した作品なのだが、お恥ずかしい話、本作品を鑑賞するまで事件の事は全く記憶がなかった。言い訳になるのだが2011年は東日本大震災という日本人にとって絶対に忘れてはいけない年でもあり、同年の7月はまだ混乱を極めていた時期でもあった。連日連夜の報道は震災の事ばかりで世界に目を向ける余裕がなかったのかもしれない…事件から数十年が経ちU-NEXTで思わず目にした『ウトヤ島、7月22日』。”実際にノルウェーで起きたテロ事件をワンカットで映画化”というキャッチに『面白いかも…』と軽いノリで鑑賞したのだが…この事件は日本人が東日本大震災を絶対に風化してはいけない…という想い同様にノルウェー人もこのテロ事件は絶対に忘れてはいけない出来事なのでしょう。

事件から7年しか経っていない時期に映画が公開されていた事にビックリ。被害者の方や犠牲者の親族の中には心の整理が付いていない方もいるだろうし…なによりトラウマとなって一生苦しむ方もいるであろう。更に”ワンカット”という技法を取った事で鑑賞者は自然と事件のあったウトヤ島に連れてこられてしまう。下手なホラー映画を見るより数十倍も恐怖を感じてしまうだけに実際に被害にあった方たちは本当に大丈夫なのか…と要らぬ心配すらしてしまうのである。鑑賞後、私はどういうつもりで本作を映画化したのか疑問が残ってしまった。もちろん風化させてはいけない事件ではあるが、本作が表現していたリアリズムの描写はただ悪戯に関係者を傷つけているのではないのかと思ってしまう。ただ事件の方を詳しく調べていくと本作が訴えたかった事が理解できたような気がしました…少しの知識だけで映画はもっと面白くなる!『ウトヤ島、7月22日』を100倍楽しもう!

結構な感じでカメラがグルグル回りますので映画酔いをしてしまう方は鑑賞は控えた方が良いかと思われます。
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ノルウェー連続テロ事件

『ウトヤ島、7月22日』はノルウェーの首都オスロの中心部にある政府庁舎ビルの爆破シーンから始まる…実際のテロ爆破の映像が使用されていて、爆発により一瞬でビルが半壊されてしまう。多くの負傷者を出し8名の命が奪われている。初めはイスラム国やアルカイダのような組織的なテロ集団が疑われていたが…実は首謀者はたった一人の青年であった…

名前はアンネシュ・ベーリング・ブレイビク。政府庁舎ビル爆破後に彼は40kmほど離れたウトヤ島にタクシーで移動。ウトヤ島では労働党青年部のサマーキャンプが開催されていて約700人の若者が集っていた。アンネシュは警官の恰好をして島に紛れ込み島にいる若者に向けに銃を乱射。警察が駆け付けるまでの72分間に69人を射殺。ビル爆破の犠牲者8人と合わせて77人の犠牲者を出した世界で最も凄惨と言える連続テロ事件である。
アンネシュ・ベーリング・ブレイビク

これからクソみたいな男の説明をしなければいけないと思うとヘドが出る気分になってしまう…この事件を説明する上で必要なだけに致し方がないのだが…ただ私たちは絶対にこの男の顔を忘れてはいけない!絶対に許してはいけないのである。目を背けたい気持ちは非常に分る…しかし、この映画が製作されたのは全世界の人がこの凶悪犯の顔をしっかりと焼き付けるためである…と私は思う。
思想
ブレイビクが幼少期の頃にどんな過ごし方をしたのか…なんて事は今となってはどうでもよい。確かに同情する部分もあるが、この程度の不幸話は特に珍しくもなく逆を言うなら同じ境遇でも立派に社会貢献をしている人も存在している。彼がどこでどう屈折したかは分からないが異様なまでの白人至上主義者であり自国のノルウェーが移民を受け入れている事実に憎悪を感じていたと彼は後に証言している。

ウトヤ島でキャンプをしていた労働党青年部を襲ったのも労働党が移民受け入れに対し率先的に動いていたのが原因とされている。そして何よりブレイビクという人間が異常者であると思えたのが後に69人もの犠牲者が出たという事実を知った時に『たった69人かよ…』と彼は嘆いていたそうです。
地獄の72分間

ブレイビクは警察の制服を着て警官になりすましウトヤ島に上陸している。通常は警官は2人以上の行動が原則であるため不信に思った警備員がバッジを見せるよう要求したのだが射殺されてしまう。その後、オスロでの爆破テロ捜査を口実にキャンプ参加者を一列に整列させたところで銃を乱射…警察が駆け付けるまで72分間に逃げ惑う青年たちを次々と銃撃していく。しかも確実に殺せるよう各人に2発ずつ撃ち込んでいる。まさに地獄の様な72分間であったが島に警察が到着するとブレイビクは直ぐに銃を捨て警察に投降している。警官は射殺するつもりで島に上陸したのだが直ぐに投降したため逮捕する経緯となった。ブレイビクはなぜ…政府庁舎を爆破したのか、どうしてウトヤ島で銃乱射を行ったのか…そしてスグに警察に投降した理由とは…
裁判

ブレイビクが犯行におよんだ理由は法廷で自分の信条を訴える事が目的であった。事件が大きくなれば世間からの注目度が増すと思ったため大量殺戮を行ったらしい。しかし法廷は非公開となってしまったためブレイビクの信条は公になることはなかった…当たり前である。そして私がこの事件に対し何よりも驚き、怒りを感じたのがノルウェーという国の犯罪者に対する寛大さである。ノルウェーは死刑制度も終身刑制度もない国で最長で21年の禁固が最も重い刑罰となる。自分勝手な信条のために77人の犠牲者を出した犯罪者でも僅か21年で社会に戻ってこれるシステムとなっている。現在ブレイビクはオスロ近辺の刑務所に服役しているのだが…77人を殺害した男は快適に刑務所の中で過ごしているらしい。服役中ではあるがオスロ大学に入学を許可され、囚人部屋は3室あるとのこと。更にDVDプレイヤーやPS3などのゲーム機も完備されていて冷蔵庫やルームランナーまで設置されているらしい。
2032年
2011年に刑が執行されたという事は2032年までにはブレイビクは社会に復帰することになる。果たしてそれでいいのか?77人の犠牲者と100人以上の負傷者…精神的恐怖を負った人たちは700人以上を超えているのに現在は快適な刑務所暮らしをしていたのでは犠牲者や遺族の方たちが報われないのでは…ノルウェーとはそういう国なんですよ…と言ってしまえば他所の国だし手の打ちようが無くなってしまう。ただ私たちに出来ることは絶対にブレイビクを忘れてはいけないという事。そして絶対に許してはいけないという事である。

『ウトヤ島、7月22日』がなぜ製作されたのか…それは国が彼を許そうとするからである。私たちは絶対に彼がやったことを許さないし、忘れない…という意思から映画が製作されたのでしょう

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映画好きならよく聞く撮影技法である『ワンカット』。カットをせずに長い間カメラを回し続ける映画の技法で役者の緊張感や映像の臨場感を維持し続けることができるという効果がある。百聞は一見に如かず…コチラをご覧ください
2020年に日本で公開された『1917 命をかけた伝令』の一部分を抜粋した映像である。兵士2人に戦闘機に乗っていた敵兵1人…という構成であるが鑑賞している私たちが4人目として如何にもそこにいるかのような錯覚を覚えてしまう臨場感が味わえるのがワンカット効果。『1917 命をかけた伝令』も全編を通してワンカット風に構成されている。本記事でも考察しているので併せてお楽しみください。
『1917 命をかけた伝令』
時間の経過

『ワンカット』は臨場感や没入感を味わえるという点の他に『時間の経過』という特徴もあります。10分間のワンカット映像の時間の経過は10分間である…という事です。少し分かりにくいかもしれませんが『ウトヤ島、7月22日』の中での72分間というワンカット映像は4時間の出来事を短縮した72分間ではなく…実際にウトヤ島で主人公が体験した72分間という時間をも忠実に映像化したもの…という事になります。私たちと同じ目線で映し出され、時間経過も同じ…となればまさに映画の世界の中に入ってしまったような感覚になってしまうのが『ワンカット』という事になるのである。つまり客観的に鑑賞しているのではなく主観的に鑑賞しているという事になる。下手なホラー映画より何倍も恐怖を感じてしまうだけに不安定な状況で鑑賞する事はオススメできない作品。気持ちが落ち着いている時にだけ鑑賞して下さい。

正直…本作は何回も繰り返し見直す映画ではない。でも一度は観ておくべき映画でもある。だからこそ一度の鑑賞で印象を植え込む『ワンカット』という技法を使ったのではないだろうか…
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『ウトヤ島、7月22日』を楽しむポイント

実際に起きたテロ事件のワンカット映画というキャッチに釣られ軽いノリで鑑賞してしまった自分にものすごく嫌悪感を感じてしまうほど本作は感慨深い作品であった。犯行はたった一人で行われていた…と映画鑑賞後に知った時に島には700人もいたのに何故止めれなかったのか…など邪推してしまったが…よくよく考えれば銃乱射をしているのが何人いるのかなんて知りようがない訳ですし、犯人は警察かもしれないし…軍人かも知れない…まさしく疑心暗鬼の中で島を逃げ回っている状態で島の大きさも東京ドーム2個分程度の大きさらしい。情報がない中で逃げなければいけないのである。これほど怖い状況には普通に暮らしていたら中々遭遇はしない。しかし彼女等は普通に生活をしていて遭遇してしまったのである…私たちも当たり前の様に日常を過ごしているが危険とは常に背中合わせなのかもしれません。つい先日も世界的にも治安が良いとされている日本の地下鉄で頭の狂った犯罪が発生していた

実はこの事件を受けての今回の作品であり…この記事となっている。この男を許していいのか?彼がどのような生い立ちをしてきたのか…は関係ない。彼には罪を償ってもらわなければいけない。そして私たちはこのような事件があった事を風化させてはいけないのである…まさしく『ウトヤ島』での事件も同じように絶対に忘れてはいけない事件なのである。そのメッセージが冒頭で表現されていました

冒頭から投げかけてくるやん…今から流れる72分間はしっかりと目に焼き付けて忘れないで…というメッセ―ジがガンガン感じられました。
それでは素敵な映画の世界へ行ってらっしゃいませ
