『七人の侍』を100倍楽しもう

軍師かんべえ

おはこんばんちわ(-ω-)/
管理人軍師かんべえです。
鑑賞前の予備知識!映画はもっと面白くなる。今回の作品はコチラ!

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七人の侍

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『人を守ってこそ、自分も守れる。
     己の事ばかり考える奴は、

        己をも滅ぼす奴だ!』

あらすじ

戦国時代の末期のとある山間の農村。村人たちは盗賊と化した野武士たちに終始怯えていた。春、野武士たちの話を盗み聞きした者がおり、麦が実ると同時に40騎の野武士たちが村ヘ略奪に来ることが判明する。村人は絶望のドン底に叩き落とされていたが村の長老は街に降り侍を雇う事を提案する。力を貸してくれる侍を求め宿場町に出た利吉、茂助、万造。与平の4人だったが…

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1954年:日本公開
監督:黒澤明
脚本;黒澤明、橋本忍、小国英雄
製作:本木壮二郎
出演:三船敏郎、志村喬、津島恵子 他
音楽:早作文雄
撮影:中井朝一
編集:岩下広一
製作会社:東宝
配給:東宝
受賞:ヴェネツィア国際映画祭、毎日映画コンクール
   ブルーリボン賞、日本映画技術賞(撮影・美術)
   ユッシ賞(黒澤明、志村喬)  

今更、改めて説明する必要はないが日本が世界に誇る名監督として真っ先に上がるのが『黒澤明』映画を語る人間として必ず触れてしまうのが『黒澤明の偉大さ』である。黒澤は生涯で30本の作品を世に送り出している。『姿三四郎』から始まり『わが青春に悔いなし』『羅生門』『生きる』『用心棒』『椿三十郎』など現在でも黒澤作品は多くの名だたる世界の監督・俳優たちに多大な影響を与え続けていることは間違いない

https://cinefil.tokyo/_ct/17047734

数ある黒澤作品の中でも名作中の名作とも呼べるのが今回ご紹介する『七人の侍』。野武士と侍たちの壮絶な戦いは圧巻という言葉では言い足りない程で令和となった今でも震えが止まらないほどの大迫力シーンの連続である。1954年という時代を考えれば当時の人たちの衝撃度は相当なものがあったに違いない。それもそのはずで『七人の侍』は東宝が社運を賭けて製作にあたり莫大な製作費と長期の撮影期間を駆使して公開に至った事は有名な話である。

https://www.pinterest.jp/pin/122160208619492644/

黒澤明が『七人の侍』の脚本を仕上げた時に撮影スタッフ等は『これは3時間越えの長編となる』と頭によぎったらしいが誰一人『コレ…長くないですか?』という言葉を発した人はいなかった…という有名なエピソードがあります。スタッフ陣は『この映画は歴史に残る作品となるはず…なに一つカットできない…』と全員が考えていたらしい…その結果3時間27分という長大作が生まれる事になりました。それに付随して製作費がカサばり、金がなくなると製作の本木壮二郎の元に走り途中まで編集したフイルムを見せては…製作費をむしり取っていた…という今では笑い話のようなエピソードがある。

https://www.pinterest.jp/pin/825003225468644490/

『七人の侍』は日本映画界の原点でもあり頂点とも言える作品。公開は1954年で戦後9年というまだ戦争の爪痕が残っている時代でもあり日本という国が再建に立ちあがって間もない時期でもありました。太平洋戦争の終結後アメリカが日本を占領・管理するためGHQ(連合国最高司令官総司令部)を派遣。再び軍事国家に戻らないようGHQは様々な分野に対し検閲を行っていました。例えるなら日本人がこよなく愛している『忠臣蔵』は検閲に引っ掛かり出版・芝居・映画は全て禁止。このような窮屈な時代は1952年のGHQが解体するまで続くことになります。GHQ崩壊後に自由に映画が撮れるようになり再び日本映画界が盛り上がって公開され始めたのが1954年という時期になるのです。

https://video.unext.jp/title/SID0002594

再び日本映画界が盛り上がった1954年という年は歴史に残る名作が続々と公開。『七人の侍』を始め『忠臣蔵』『君の名は』『二十四の瞳』そして『ゴジラ』。なんと『七人の侍』の撮影現場の隣で『ゴジラ』は撮られていて…両方に出演していた志村喬は現場を行ったり来たりしていたとのこと。時が過ぎ…伝説級となった二つの作品が同時期に隣同士で撮影されていたのは実に面白いエピソードである…少しの知識だけで映画はもっと面白くなる!『七人の侍』を100倍楽しもう!

軍師かんべえ

黒澤はラストシーンは最後まで撮影しなかったらしい…ラストを撮ってしまうと『今ある素材で編集をしろ!』という指示が出てしまう恐れがあるから。。。ココでも壮絶な駆け引きが行われていたんですね

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世界のクロサワ

https://grapee.jp/114533

1950年に製作された黒澤映画の『羅生門』ある犯罪が4通りの異なる視点で描かれる作品でベネチア国際映画祭で最高賞でもある金獅子賞を受賞。黒澤の名前が世界に広まった作品でもある。そして1954年に公開された『七人の侍』は『世界のクロサワ』を確固たるものとし映画界に多大な影響を与える事になりました。誰もが知っているスティーヴン・スピルバーグは新作に挑むときは必ず『七人の侍』を観て撮影に挑むという最大のリスペクトを示しています。スターウォーズのジョージ・ルーカスも『自分の人生と作品にとてつもなく影響を与えた』と言い、スターウォーズに出てくるダース・ベイダーやライトセイバーは『七人の侍』からインスパイアされているとコメントしている。『2001年宇宙の旅』『タクシードライバー』など多くの名作を手掛けたマーティン・スコセッシも黒澤明の影響を多大に受けている監督の1人でクロサワをと仰いでいるという。

https://www.movieplus.jp/lineup/detail/?film_id=CS-0000000199901216-000

1960年には『七人の侍』を西部劇としてリメイクした作品『荒野の七人』がアメリカで公開。今となっては仲間を集めて敵と戦う…という展開はどこにでも使われている設定だが実は『七人の侍』が大きく影響しているという事…となると漫画『ワンピース』やRPGゲームの『ドラゴンクエスト』なども黒澤の影響を受けている作品という事にになってきます。

https://akiba-souken.com/vote/v_1215/

黒澤明がいかに世界に多大な影響を与えてきたのかはご理解頂けたかと思いますが…『世界のクロサワ』とまで呼ばれる由縁はただ設定が面白いというだけではなく黒澤映画には『人間を描く』『リアリティを求める』『撮影技法』といった3つ要素があるからだと個人的には思っている。

人間を描く

https://twitter.com/shin_hayasaka/status/1243804475648659456

東宝が社運を賭けた一大プロジェクトが『七人の侍』本作では莫大な製作費が費やされ『羅生門』や『生きる』など今までの黒澤映画のヒューマニズムと違い見所は派手な立ち回りが繰り広げられる活劇映画となっている。しかし黒澤のスゴイ所はアクション映画の中でもしっかりと人間が描かれているという点である。主役の菊千代がどのような人間なのか…生い立ちは…などがしっかりと描かれる事で私たちは菊千代に感情移入ができてしまうのである。更に菊千代と対照的な存在の勝四郎を作り上げる事で菊千代の人間描写がより深掘りされている。ただのアクション映画に留まらず人間をしっかりと描く事で黒澤が得意としているヒューマンドラマとしての要素もある二段構えの構成となっている。

島田勘兵衛

https://campingcarboy.hatenablog.com/entry/2019/03/23/181622

黒澤映画にとって切っても切れない人物である志村喬が演じたのが『七人の侍』の頭脳とも言える島田勘兵衛。7人の侍だけではなく村人をも指揮し野武士の強襲を迎え撃つことになる。勘兵衛は数々の戦場を乗り越えてきた猛者ではあるが運悪く負け戦を繰り返してきた…と語っている。時代背景は戦国時代の末期と謳われているだけで詳しくは語られていないのだが例えるなら信長に仕えていたが明智の謀反で敗北を喫し…その後は柴田勝家の元に仕えるが羽柴秀吉に賤ケ岳で敗れ…秀吉に仕え安泰と思いきや秀吉没後に徳川家康が牙を向け大坂夏の陣で敗北を喫す…みたいな人生を送ってきたのかもしれない(あくまでも勝手な想像ですが…)人望もあり知略も持っていて武芸も達者なのだが運だけは悪いといった人物。主役である菊千代目線で映画を観るのも良し…リーダー役の勘兵衛目線で見るのも良し…また違った印象の作品となります

利吉

https://twitter.com/masato009/status/1230520719835926528

年若の百姓で迫りくる野武士と闘う事を村民に勧めようとする。他の村民とは違い野武士に対し非常に憎しみを持っている姿は鬼気迫るものがある。自分の住処を侍たちに明け渡し馬納屋で過ごしている。また利吉にもしっかりとしたドラマがあり彼目線で鑑賞するのも良し。ただ少し演技が聞き取りずらいのはご愛嬌といった所(笑)

リアリティ

http://sasurai.biz/0002867.html

黒澤映画の魅力の一つには徹底された時代考証や貪欲なまでのリアリティの追求が挙げられる。どこかの本で読んだ事があるのだが…黒澤は机の引き出しの中にある拳銃をどの様に演出するか…と考えていた時に証明で雰囲気を出すとか…不穏なBGMを入れるとか…スタッフ陣は案を出すが…もちろんそれらも正解なのだが黒澤が出した答えは実に簡単であった。皆の前で実際に机の中に拳銃を入れたのである。そうする事で役者も拳銃が机の中に入っている演技をしなくてもよい…実際に机の中に入っている訳だから。カメラマンも照明も音声も全てのスタッフが机の中の拳銃を意識しながら撮影する事になる。これこそが黒澤流のリアリティの追求の仕方なのである。

聞き取りずらい農民

https://tennimuhou.com/japanese-movies/sitininnnosamurai/

ネタバレというか…先に言ってた方が良いのでバラしてしまうが本作は全体的にセリフが聞き取りづらくなっている。可能であれば字幕表示した方が断然に良いくらいである。実は何でこんなに聞き取りづらいのかというとコレも黒澤のリアリティの追求だとの事だ。この時代の農民がハッキリと言葉を発する訳がないという事で演技指導が入ったらしい。確かに雰囲気は出てるが聞き取れなかったら本末転倒となってしまう。当時の批評家も唯一音声の聞き取りづらさだけを批判していたらしい。一応書いておくが当時は今よりも断然に音が悪くもっと聞こえづらい状況だった…という事は頭に入れて置いて欲しい。

怪我人が続出

https://www.shortnote.jp/view/notes/ANLSwhCk

黒澤明のリアリティの追求があまりにも度が過ぎているため今では何かと問題となる事も当時は平気で要求をしていた。例えば『あの電柱が邪魔だからワラってこい!』ワラうとは業界用語で取っ払うという意味。電柱を切り倒していたりしたそうだ…ウソのようなホントの話だが当時は撮影のためなら何でもアリだったのかもしれない。もちろん役者も命がけで撮影に挑む事は珍しくない。スタントマンなんて存在すらしていなかったので危険な芝居は役者自身が行う事が当たり前であった。『七人の侍』だけでなく黒澤映画では怪我人が続出。全身火傷を負った土屋嘉男や、馬に蹴られながらも演技を続けていた三船敏郎、志村喬も誤って太ももに矢が刺さるという大怪我を負うがカメラは止められなかったらしい…まさに死闘ともよべる黒澤組の撮影で命がけという言葉すら生ぬるく感じてしまう。良いか悪いかという事はまた別問題として黒澤明がこだわるリアリズムとは何か?が垣間見れたエピソードであった

撮影技法

https://grapee.jp/114533

黒澤明が『世界のクロサワ』と呼ばれるようになったのは斬新すぎる撮影技法が評価される部分が大きい。上でも書いた様にスティーヴン・スピルバーグが新作の撮影に入る前になぜ『七人の侍』を観るのか…それは黒澤のカット割りを頭に入れておくという作業をしているからである。それほどまでに黒澤明はカット割り一つにしても素晴らしい才能を持っているという事が理解できる。とくに『七人の侍』ではマルチカメラ方式が初めて採用された作品でもある。複数のカメラを用いて同時に別方向からのアングルで撮影を行う方式。コストの関係から複数のカメラでの撮影は行われていなかったが…その効果や迫力は想像を超えるものがあり以後、黒澤はマルチカメラ方式を主流とするようになった。

https://www.fotogramas.es/noticias-cine/a444787/los-siete-samurais-vuelven-a-la-carga/

『七人の侍』で映画史上初めて…とある演出でスローモーションが使われた事により現在は当たり前の様に使用されている。今、何気なく観ているアニメや映画のワンシーンも実は黒澤明が演出していた…なんてシーンはたくさん存在する。この当たり前を作る事ができるのも名匠と呼べる所以なのかもしれない。

黒澤明の撮影技法を文字だけで表現するのが如何に難しいか…に現在悩んでいて他にも伝えたいことが山ほどあるのに書き表せないという自分の語彙力の無さを痛感している。もう作品を観てもらうしかないのだが今となればカメラの性能も上がりピントがズレることもないのだが…『七人の侍』はとにかく侍も農民も野武士も走る!走る!走る!走る!とにかく走るのである。私たちは何気なく観ているがあの頃のカメラ性能であれだけ動きがあればピントがズレてくるのは当たり前なのだが、それでも黒澤は走らせてしまうのである。しかもスタッフ陣は黒澤の要求をしっかりと答えてしまうのである。

『世界のクロサワ』たる由縁

https://www.sankei.com/article/20180922-3WTNYU5ETFM5VDAUL35RZDAMKA/photo/GRAQC7M2QJLGTCOTY2DSSKQQZI/

黒澤明が世界から評価を受け『世界のクロサワ』と呼ばれるようになったのはなぜか…それは黒澤明の才能はもちろんだが黒澤明がイメージする世界を見事にまで再現ができる黒澤組の力があってこその結果である。深掘りする人間描写、貪欲なまで追求するリアリティ、常識に捉われない撮影技法…これらを全て現実のモノにできるスタッフあってこそ『世界のクロサワ』なのである。そう黒澤明は島田勘兵衛なのかもしれない。侍や村人全員をまとめあげ一つの偉業達成へと導いた島田勘兵衛なのだ…

軍師かんべえ

偶然にも私こと軍師かんべえと同じ名前でもあり軍師的な存在なのだが…私の名前の由来はペットのハムスターの名前を戦国武将の黒田官兵衛から取り…更にハムの『かんべえ』から取ったのが軍師かんべえなのである

今度もまた負け戦だったな…

https://twitter.com/illcommonz/status/1123922994986987520?lang=fi

「今度もまた負け戦だったな。勝ったのはあの百姓たちだ、私たちではない」

ネタバレとなってしまうが…最後のシーンで島田勘兵衛が呟いた一言である。この言葉こそが本作が伝えたかったメッセージなのではないでしょうか…なぜ負けたのか?その言葉の真意は?『七人の侍』とはいったい何だったのか…続きは鑑賞後のレビューにて…

軍師かんべえ

強き立場の侍が弱き立場の百姓に負ける…とは?

『七人の侍』を楽しむポイント

https://eiga.com/movie/14122/ & https://www.banger.jp/movie/36643/

日本が世界に誇る長編大作映画『七人の侍』。3時間27分という長さだけに気軽に鑑賞という訳にはいかないが是非とも時間を作ってでも一度は鑑賞して欲しい作品である。黒澤明の映画は、なぜ心が動かされるのか…黒澤映画を鑑賞した事がある人間なら殆どの方が心が揺れ動いたのではないだろうか…それは黒澤が最もこだわりを持っていたのが『動き』だったからです。サンフランシスコを拠点に映画製作などをしているトニー・シュウ氏が黒澤映画の動きについて分析した動画がYoutubeに投稿されている。人物の動きはもちろんカメラワークや編集、背景とあらゆる動きの分析を分かりやすく解析しています。私の長ったらしい文章よりも、この動画を観れば一発で100倍は楽しめそうなのだが…是非とも本編鑑賞前にコチラの動画を観る事をオススメしたいと思います。

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http://blog.livedoor.jp/sinumadeni-mitaieiga/archives/9738137.html

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それでは素敵な映画の世界へ行ってらっしゃいませ

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