『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』を100倍楽しもう

軍師かんべえ

おはこんばんちわ(-ω-)/
管理人軍師かんべえです。
鑑賞前の予備知識!映画はもっと面白くなる。今回の作品はコチラ!

『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』鑑賞されている方は
鑑賞後レビュー『モーっと楽しもう』にどうぞ

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密

引用元:映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』公式サイトlongride.jp

ご自分の心に従えばいい

あらすじ

引用元:映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』予告編(60秒)

世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーは85歳の誕生日の翌朝に遺体として発見される。名探偵ブノワ・ブランは匿名の人物から捜査依頼を受ける事に…誕生日パーティーに参加していたハーランの家族や家政婦・看護師と屋敷にいた全ての人物が第一容疑者。調査が進むうちに名探偵ブランは家族のもつれた謎を解き明かし事件の真相に迫っていく…

2019年:アメリカ公開
2020年:日本公開
監督:ライアン・ジョンソン
脚本:ライアン・ジョンソン
製作:ラム・バーグマン、ライアン・ジョンソン
製作総指揮:トム・カーノウスキー
出演者:ダニエル・グレイグ、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマス
    ジェイミー・リー・カーティス、マイケル・シャノン
    ドン・ジョンソン、トニ・コレット 他
音楽:ネイサン・ジョンソン
撮影:スティーブ・イェドリン
編集:ボブ・ダクセイ
製作会社:メディア・ライツ・キャピタル
     T‐ストリート・プロダクションズ
配給:ライオンズゲート
   ロングライド

2017年にスターウォーズ/最後のジェダイで監督・脚本を務めたライアン・ジョンソンが更に製作まで務め2019年に公開されたのが完全オリジナル・ミステリー作品 『ナイブズ・アウト名探偵と刃の館の秘密』

如何にもな豪邸で…如何にもな大富豪が…如何にもな死に方をして…如何にもな探偵が現れる…ミステリーファンなら『何回も見ましたよ!』と思わず呟きそうな超ベタベタな設定ではあるが蓋を開けると唯一無二の展開が繰り広げられていく『新感覚の王道ミステリー』である本作品。

舞台はホームズやポアロが登場してきそうな1900年序盤の雰囲気ではあるがスマホやパソコンが出てくるので時代は公開された2019年あたりだと思われます。

監督自身が『アガサ・クリスティーの小説を思わせるようなミステリーを撮ってみたい』とインタビューで語っていたことから時代は現代ではあるが雰囲気だけでも合わせてきたのかもしれません。

監督のライアンは10代の頃から根っからのアガサ・クリスティー信者であった事から本作はアガサの世界観が多く詰め込まれた作品となっているのである。

アガサ・クリスティーの作品と云えば『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』『アクロイド殺し』などの派手なトリックを連想してしまいますが実は彼女が最も得意としていたのは『もの言わぬ証人』などのような読者をミスリードさせる技術だったのです。

まさしく『如何にも』な王道ミステリーの展開と思わせながらも私たちを確実にミスリードしていくライアン・ジョンソン監督のトリックにハマってしまう新感覚のハイテンション・ノンストップ・ミステリー映画…少しの知識だけで映画はもっと面白くなる!『ナイブズ・アウト名探偵と刃の館の秘密』を100倍楽しもう!

『ナイブズ・アウト』の意味は?

『Knives Out』を和訳すると『向けられた刃』となる。Knivesとなので複数形。つまり『向けられた多くの刃』ということになります。。

亡くなったハーランが著した小説の『1000の刃』をモチーフに作られたオブジェ。中心に向かって1000本のナイフが不規則に並べられています。このオブジェの前で第一容疑者達が探偵ブノワ・ブランによって事情聴収を受ける事になります。このナイフが意味するものは…是非皆様の目で確かめてみて下さい。

クセの強い登場人物

引用元:映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』公式サイトlongride.jp

2021年に公開された『007/NO TIME TO DIE』でジェームスボンド役を卒業となったダニエル・クレイグが名探偵役として殺人事件を解明していく本作ではあるが…他にも豪華なキャストが結集している。

少なくとも日本のサスペンスドラマの様なキャスティングを見ただけで犯人が特定できるようなメンバーではない…どいつもこいつもクセが強すぎる上に主要メンバーは13人と登場する人物が非常に多すぎるのです。

探偵ブノワと亡くなったハーランを除いた11人全員が第一容疑者。ここでは鑑賞中に混乱しないよう簡単に登場人物の説明をしてみましょう

名探偵ブノワ・ブラン

彼の生い立ちはアメリカ南部の出身で亡くなった父が刑事…という点だけ。この作品がシリーズ化すれば詳しい情報が次々と明かされそうではある。理屈や感情より事実を重んじる捜査方法で真実を突き止める合理主義タイプの探偵。過去にはテニス殺人事件を解決して『最後の紳士探偵』と世間では呼ばれている

ミステリーの巨匠ハーラン・スロンビー

貧しい中でタイプライターだけで誰もが知る有名ミステリー作家になる。代表作は『1000の刃』『女と銃』『小さい子豚』『THE NEEDLE GAME』など。

彼の資産は6000万ドル(日本円で約63億円)にも及ぶと言われている。更に最も価値があるのが出版社の独占所有権。彼の相続を一部でも受けるという事は多額なお金が入ってくる…これだけでも家族全員には十分と言える殺人動機があることが分かります。

ハーランは富や名声を手に入れた代わりに家族に対し疑心暗鬼となっており心を開いていたのは孫のランサム専属看護師のマルタのみ。特にマルタには家族の事情を事細かく相談している。

本編と関係はないがハーランは85歳で亡くなっている。そしてライアン監督が崇拝するアガサクリスティーも享年85歳となっている。

ワネッタ・グレートナナ・スロンビー

世界的有名ミステリー作家ハーランの実の母親で年齢は誰も知らない…ただハーランが85歳と分っているので少なくても100歳は超えていることになります。高齢のため本作ではジッと座っていてセリフも少ないので認知症が出ているのか…フリをしてるだけで本当は正気なのか…も全く分からない謎のキャラ

リンダ・ドライズデール

ハーランの長女でリチャードと結婚した事でドライズデールの名になっている。女ながら不動産会社を経営『父の手は借りずに0から自分の会社を設立した』と豪語している。気が強く、竹を割ったような性格で、かなりの神経質。問題児の息子ランサムには既に愛情を失っているため無関心な状態。

リチャード・ドライズデール

ハーランの長女リンダの夫。立場的にはリンダが設立した不動産会社に勤めていることとなっている。つまり義父ハーランと妻リンダには頭が上がらないマスオさん状態。もしリンダと離婚となれば彼には何も残らない…紳士ぶって余裕を醸し出しているが実は断崖絶壁にいる立場なのである。

ヒュー・ランサム・ドライズデール

長女リンダとリチャードの息子でハーランの孫。祖父であるハーランとは何かと衝突して喧嘩を始めることが多いが…何故かハーランはランサムを家族の中では一番可愛がっている

ランサムは一家の中の問題児で一度も働いたことはなく祖父の金で贅沢三昧な生活をしている。ただ祖父譲りなのか感が鋭く知性も非常に高い上に行動力もある。この能力が違ったベクトルに向けば大成すると思われるのだが…彼は金を浪費することしか興味を示さない男みたいである。

ジョニ・スロンビー

亡くなった長男ニールの妻。スキンケア会社『フラム』を経営しているが上手くいっていない様子である。義父ハーランから娘の学費と自分の小遣いを援助して貰っている事から想像できます。

ハーラン家の長男である夫が亡くなったのだが何故か一家の輪の中心に居ようとするため家族の中ではかなり浮いている存在。ただインスタのインフルエンサーで何かしらの魅力は持っていそうなのだが…彼女もベクトル違いで明後日の方を向いているのかもしれません。

メーガン・メグ・スロンビー

亡くなった長男ニールとジョニの娘。祖父のハーランの援助で大学に通っている。年齢が近い事もありハーランの専属看護師のマルタとは仲が良く連絡をまめに取り合っている関係。

ウォルター・ウォルト・スロンビー

ハーラン家の次男でハーランが経営している出版会社『ワインの血』で役員として勤めている。

作品を映画化しようと試みるがハーラン自身が反対をしているため彼自身は会社の中で何も成果を出していない事に焦っている様子。作中で語られる事はないが脚を怪我していていつも杖をついている。

ドナ・スロンビー

次男ウォルターの妻。一応11人全員容疑者となっているが…ほとんど出番のない彼女は間違いなく。こんな女性いたか?そういえば…いたな程度のレベル

ジェイコブ・スロンビー

次男ウォルターとドナの息子。いつも携帯をいじっている現代っ子でネットで政治活動を行っているネトウヨ。本人を目の前にすれば何も言えないウジウジ型の人間だがネットの世界では痛烈な誹謗中傷を書き込んでいる痛いタイプの少年。

マルタ・カブレラ

亡くなったハーランの専属看護師でもあり、ハーランが心を許す数少ない友人。南米からの移民者で決して裕福な暮らしをしている訳ではなく母と妹と3人で質素に暮らしている(父の存在は不明)。彼女は変わった性質があり嘘を付くと嘔吐してしまう『人型嘔吐式噓発見器』という特殊アビリティを持ち合わせている。

フラン

ハーラン家の家政婦で今回の事件の第一発見者。屋敷の事を誰よりも知る彼女は家族さえ知らない事を知っているのかもしれませんね

ミステリー作品の特徴

フーダニット・ホワイダニット・ハウダニット

ミステリー小説で事件の解明に必要とされている3つの要素が『フーダニット』『ホワイダニット』『ハウダニット』
『フーダニット』Who done itで『犯人は誰?』
『ホワイダニット』はWhy do itで『動機は?』
『ハウダニット』はHow do itで『犯行方法は?』

この3つの分類は推理小説の興味の対象が単なる犯人当てからトリックの面白さへと移り変わり、そして動機に変わっていく…という推理ならではの流れとなっている。

ただ、どこに重きを置くかによってストーリーの性質が大きく変わってくるもので一般的な推理小説は探偵視点で描かれる『フーダニット形式』がよく使用されます。

『事件が起こり…探偵が現れ…容疑者の尋問が行われ…謎を解明して…犯人を割り出す』といったもので観てる側は非常に理解しやすい流れとなるが盛り上がりは謎を解明する後半部分となってしまう事から序盤の展開が少し退屈なものになりやすい傾向があります。

更にキャスティングで明らかに一人だけ大物俳優がいた時に犯人がバレてしまう可能性も高く…それを防ぐなら本作みたいに全員豪華キャストにしなければいけません。このフーダニット形式と逆になるのが『倒叙形式』となります。

倒叙形式

『えぇぇぇ…あなたが~犯人でぇすぅ』で有名な古畑任三郎が『倒叙形式』の代表作。他にも刑事コロンボなどがコレに当たります。

倒叙形式では初めに犯人を主軸に描写がなされ読者は犯人と犯行過程がわかった上で物語が展開されます。その上で探偵役がどのようにして犯行を見抜くのか、どのようにして犯人を追い詰めるのかが主旨となってくるのです。この形式だと一人だけ豪華俳優を犯人役として起用ができます。古畑任三郎でもSMAPや明石家さんま・イチローまでもが犯人役として起用されていました。

『ナイブズ・アウト』を楽しむポイント

引用元:映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』公式サイトlongride.jp

豪邸で大富豪が謎の死を果て名探偵が現れる…といった『ベタベタな設定』であるのに何故か斬新だと感じてしまう『ナイブズ・アウト』最後まで息を付かせない流れはハイテンション・ノンストップ・ミステリーに呼ぶに相応しい作品である。

果たして『ナイブズ・アウト』は『フーダニット』『ホワイダニット』『ハウダニット』のどの要素に重きを置いているのか…一般的な流れを取り入れているのか…倒叙形式を取り入れているのか…これだけでも十分に楽しめる作品ではあるが…更に監督は本作に社会的テーマも投げかけている。

一度見ただけでは中々気づかない監督のトリックや2度目だからこそ理解できるカットなどなど…何度見ても楽しめる作品となっています…少しの知識だけで映画はもっと面白くなる!『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』を100倍楽しもう!

それでは素敵な映画の世界へ行ってらっしゃいませ

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