『犬鳴村』をモーっと楽しもう

軍師かんべえ

おかえりなさいませ(*- -)ペコリ
『犬鳴村』
徹底解析 完全ネタバレとなっております
賞前のお客様はご遠慮下さいませ

本記事は 『犬鳴村』感想レビューとなっておりネタバレが含まれております。
本編未鑑賞の方は予備知識編『100倍楽しもう』の記事をご確認の上で再度お越しください

犬鳴村

引用元:三吉彩花×清水崇「犬鳴村」最凶の予告編完成! 坂東龍汰
2020年:日本公開
監督:清水崇
脚本:保坂大輔、清水崇
原案:清水崇、保坂大輔、紀伊宗之
製作:紀伊宗之、中村千賀子
出演:三吉彩花、坂東龍太、古川毅、奥菜恵
   寺田農、石橋蓮司、高嶋政伸、高島礼子 他
音楽:海他荘吾、滝澤俊輔
主題歌:Ms.OOJA『HIKARI』
撮影:福本淳
編集:鈴木理
制作会社:ブースタープロジェクト
製作会社:『犬鳴村』制作委員会
配給:東映

世界を恐怖のどん底に陥れたホラー界の巨匠 清水崇が日本最恐の心霊スポットである『旧犬鳴トンネル』に纏わる都市伝説をベースにして作られたのが今回ご紹介した『犬鳴村』

清水崇監督作品の特徴でもあるジャンルの掛け合わせは今作でも存分に見られていました。

序盤はホラー展開で物語は進んでいくが後半に差し掛かると犬鳴村に隠された陰謀や森田家の血筋の謎といったミステリー要素が盛り込まれていたことで私的には最後まで楽しむことができた作品でありました。

この清水監督の2つの要素を組み込む…という特徴を知らずに鑑賞した方は途中で戸惑ってしまったのではないでしょうか…

更に本編では説明もなく過去と現代とのタイムリープが何度かされるといった難解映画でもあります。ココでは分かりづらかった点や疑問が残った点を独自の視点で解説していきたいと思います…といったようにココでは『犬鳴村』を既に鑑賞しているという前提で記事を作成しております。ネタバレ注意となっておりますのでご了承ください

『犬鳴村滅亡』の恐ろしい真実

犬肉を食べるという異様な風習があったため外部との交流を絶っていた『犬鳴村』 この土地にダム建設を目論む電力会社が村の発展のため…と近づき村人を騙し虐殺をするという…非人道的な手段で村を滅ぼしていたという忌まわしい過去がこの村にはあったのです。

おそらく電力会社の社員は想像を絶するような虐殺を住民に行っていたのだと思われます。

西田明菜・山野辺医師・悠馬の友人3人の死因は溺死。それも5人は水のない所で溺れ死んでいるという謎の死を遂げていました。これは『犬鳴村の住人』が電力会社の人間によって村をダムに沈められ溺死させられた怨みからの呪い…だったのでしょう。

村民は生きたままの状態で檻の中に入れられ水を放流させられていたのだと思われます。じわじわと水が浸食していく死の恐怖を外部の人間にも味わせたかったのでしょう…

更にハンチング帽を被った青年から犬鳴村の住民に対し行ってきた衝撃の事実が語られるのです。

『お上はいつもそうだ…臭い物には蓋をするんだ!』

『お上??』って…電力会社に対して『お上』とは言わないですよね…私の妄想ではあるが異様な風習を持つ犬鳴村民を村ごとダムに沈める許可を日本国が出していた…のではないでしょうか。これは国絡みの大量虐殺行為だったのだと思われます。ここで一つ疑問が残るのですが…電力会社の社員は何故?最初は友好的に接したのでしょうか…

電力会社の企み

電力会社の目的は2つ
・ダムの建設
・犬鳴村民の絶滅

目的の一つでもあるダム建設には長い時間が掛かってしまいます。建設中に犬鳴村民が村を逃げ出したら絶滅の目的が果たせなくなってしまいますからダム完成までは友好的に接したのではないかと思われます。

村民は外部との接触を絶っていたので電力会社がダムを作っていたとしても『この村に電気を通す工事をしているんだよ』とさえ言っておけば疑わずに信じていたのではないでしょうか…なんなら村民にもダム建設を手伝わせていた可能性も十分にありそうです。

ダム完成と同時に電力会社の村民への虐殺が始まってしまうのです。更に電力会社の社員は…もし村民の中で逃げ出した者が出たとしても『犬鳴村の人間』と分かるように刻印を押していました。この様な非人道的な虐殺が行われた事で…犬民(いぬんちゅ)が誕生してしまったのです

都市伝説と『犬鳴村』の検証

実際の旧犬鳴トンネルで噂されている都市伝説を上手にストーリーに組み込まれていました。ここでは一つ一つ解析していきたいと思います

『この先、日本国憲法は適用しません』という看板がある

『白のセダンは迂回して下さい』という看板がある

・村の入り口に白のセダンが置いてある。その先にある小屋には骸が山積みにされている。

・日本の行政記録や地図から抹消されている

・旧犬鳴トンネルには仕掛けが施されていて村人が駆け付ける(村人は以上に足が速い)

・村人は外部との交流を一切拒み自給自足の生活をしている。

・全ての携帯電話が『圏外』。近くにある公衆電話は警察に繋がらない。

若いカップルが犬鳴村に入り惨殺された。

日本国憲法は通用せず

『この先、日本国憲法は通用セズ』の看板を見た時に『犬鳴村で何かあったとしても国はコレを裁くことができないから入るなよ』という意味で解釈していたのだが…この看板の本当の意味は『この地域は日本国の管理下に置かれていないので、虐殺が行われたとしても国は関与する事はありません』という電力会社が行った犬鳴村民への虐殺を認めるための免罪符だったみたいです。

白のセダン

旧犬鳴トンネルに白のセダンで入ると無数の手跡が車に付いているという噂から白のセダンの車は迂回して下さいという都市伝説。

本作では悠馬の友人3人が閉じ込められた電話ボックスに無数の手跡を付ける事で演出していました

小屋の残骸

村の中にある小屋の中に無数の骸があるという都市伝説は電力会社が村民を生きたまま檻に閉じ込めダムに沈めていました。小屋を檻に変え大量に閉じ込められた骸が檻に残った…という演出がされていました

日本地図から抹消

犬を食し…犬と交わる…という異常な習慣を持つ『犬鳴村』の虐殺を認めた日本国は最初から村の存在自体を無いものにしようとしていました。ダムの底に沈める事で村民を絶滅させ日本地図からも抹消という計画。しかし生き残りが何人か村から脱出していた…というラストになっていました

襲ってくる村人

村には罠が仕掛けられていて村人が襲ってくる(村人は異様に足が速い)という都市伝説
病院内でメチャ足が速い幽霊に襲われていました。。。コレばっかりは恐怖というより笑ってしまいました…少し強引でしたね(笑)

外部との交流

村人は外部との交流を一切拒み自給自足の生活をしているという都市伝説。

鑑賞前の記事でも書いた様に実際に存在した『犬鳴谷村』は外部との交流は普通に行われていて…交流を禁止されていたのは途中で移住してきた『たたら職人』の方である。

森林の保護・管理を目的とした『犬鳴谷村の住人』と製鉄のため森林を伐採する『たたら職人』との間に争いが生まれぬようにした措置であったが映画の中では『外部との交流を禁止』という部分だけが使用されていました。

全ての携帯電話が圏外

犬鳴村に入るという事は過去にタイムリープしたという事ですから電波が入らないのは当然の現象です。更に言うなら現代であっても山の中では電波が届かない事はよくある事で、特に都市伝説として入れなくてもよいのだが監督はご丁寧に『電波が入らない…』とセリフを言わせていました

若いカップルが惨殺

若いカップルが面白半分で犬鳴村に入り惨殺されたという都市伝説。まさに悠馬と明菜は動画配信の撮影で面白半分に犬鳴村に入ったことで村の呪いにかかってしまいました。でも実際の犬鳴峠では工員が焼き殺されたという事件はあったがカップルが惨殺されたという事件は発生していません。

『犬鳴村』のココが怖い

犬鳴村に関わった者達が次々と謎の死を遂げるというホラー要素の強かった展開から後半は犬鳴村の謎を解明していくというサスペンス要素が強い展開となっていました。

森田家の血筋

最後は奏も犬鳴村の血筋であったため犬民(いぬんちゅ)になってしまう…というオチでした。この作品の恐ろしいところは『逃れられない血脈』で生まれた時点で運命は決定しているため回避不可という状態であるという事。

奏は自らの手で自分の血筋が犬鳴村と繋がっていた事を探ってしまう結果となり、犬鳴村で預かった赤ん坊(奏の祖母)を見捨てる事で呪われた血筋を絶つ選択もあったのだが…生きる道を選んだことになります。

いやいやいやいや…いきなり赤ん坊を預けられ犬民から無我夢中で逃げて…気を失った時は祖父の家の前だった…ので考える暇もなく偶然に血筋を守ってしまった…という解釈もあるが…奏は全て理解した上で自ら血筋を守る選択をしたのではないでしょうか。

謎のカウチング帽の男に犬鳴村のフイルムを見せられ過去に村で何が起こったのかを知り…祖父からも 祖母の秘密を知らされて…しかも家に帰れば母親が犬化していたら

『あかん、絶対に私…犬やん』って普通は思うでしょ!

犬鳴村でカウチング帽の男に『この赤ん坊を連れて逃げてくれ…犬鳴村の血を絶やさないでくれ!』と言われた時に全てを理解したのだと思います。『この赤ちゃん…私のお祖母ちゃん?』

摩耶が追いかけてきて犬化している時に『なぜ逃げない?』と多くの方が思っていたみたいですが…これは奏は葛藤していたのではないでしょうか…

このまま赤ちゃんを摩耶に返せば犬鳴村の血筋は途絶えるが自分たちも消えてしまう。赤ちゃんを連れ逃げ切れば自分たちは生き残れるが犬鳴村の血筋が残ってしまう…という究極の選択を迫られていたのなら動けなかった理由は理解できますよね。

目を合わさない遼太郎

奏にカウンセリングを受けていた遼太郎君が別路線のホラーを演出していたんだが…結局最後はこの子も犬鳴村に繋がっていたのね…というオチ

奏にもママにも目線を合わせない遼太郎君が見ていたのは死んでしまった本当のママ。子供を残して逝ってしまった無念から常に母親が見守っている様に思えるのですが…見守っている様に見えましたか?

もう…何が怖かったかと言うと…このお母さんが一番怖かったです。この恐怖とも言える母親の存在が最後の最後に分かりました。

遼太郎君も犬民(いぬんちゅ)だったのです。…という事は死んでしまった母親も犬鳴村から逃げ出す事に成功した犬鳴村の血筋だったのです。あの恐怖ともいえる目は半分は犬鳴村を虐殺した電力会社の社員の血筋を持つ奏から遼太郎を守るために睨んでいたのではないでしょうか

『ふたしちゃろ』

『わんこが ねえやに ふたしちゃろ あかごは みずに ながしちゃろ』

明菜が死ぬ前に歌っていた童唄は犬鳴村で伝わっていた唄という設定。作詞が清水崇監督がなっていたのでオリジナルの童唄となります。歌詞に出てくる『~ちゃろ』は舞台となった宮若地区の方言で『~してやろう』とか『~したんでしょ』という意味です

『犬が女性に蓋をしてやろう…赤子は見ずに流してやろう…』

前半部分は少し卑猥な歌詞となっていて『犬鳴村の住人は犬と交わっていた』
後半部分は『生まれてきた赤子は犬との混血だが知らない事にして育ててしまおう』

カウチング帽の男が『俺と摩耶の子を連れていってくれ!』と叫んでいたけど…お前の子じゃないやん!

『犬鳴村』恐怖回避バージョン

引用元:映画『犬鳴村』恐怖回避ばーじょん予告

総括

引用元:映画『犬鳴村』特集 | 東映ビデオオフィシャルサイト

地元福岡が舞台となった事もあり個人的には楽しめた作品であったが…結構厳しい意見がある作品で『途中でホラー要素が消えた』といった評価をしていたの意見を多く目にしました。

ただこの意見に関しては清水崇監督はこういった演出をする監督で特徴を知っていればさほど気になる事はなかったんじゃないかと思います。

多くの方が評価を落とす要因となった後半のミステリー展開は僕的には非常に面白く『日本国憲法通用セズ』なんて『やられたぁ~コッチだったか~』と思ってしまうほどでした。ただホラーだけの展開ではなく謎解き要素があったので最後まで飽きずに観ることができました。最後に旧犬鳴トンネル…あそこはマジでヤバいから!面白半分で行かないように…って所でオツカレっす!

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